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第二都市バジリコ

 俺達の目の前には、オーク材で作られた門扉があった。入領審査に伴う行列が出来ていた。


「皆、通行手形持ってるよな?」


 俺はメンバーのそれぞれに声をかけた。


「これっスよね!」


 バズは俺に確認をとるとティナやジルも俺に確認させた。通行手形は辺境伯領主のランチャが子飼いの行商人のアバルトに作らせたものであった。


 アバルトは商会を経営しており、辺境伯領内では右に出る者が居ない程の人物として知られていた。


 アバルトは商会を通じて旅芸人や大道芸人を管理する組合の長などを任されていた。そのツテで俺達は通行手形を支給してもらった。


「師匠、俺達冒険者のだからギルドカードでいいんじゃないっスか?」


 バズは俺の顔を見た。


「何度も言うけど、隠密で来てるんだから、身分の秘匿が必要なんだ」


 俺はバズに説明した。


 バジリコの城門の両脇には、領主の紋章が刻まれた鎧に身を包む衛兵が立ち、鋭い視線で俺達の素性を(あらた)めた。領主の紋章と言っても、ランチャの身内なので少しの違いしかなかった。


「お前ら、大道芸人何だろ? なんかやって見せてみろ!」


 衛兵の一人が俺達に向かって言い放った。


「わかりました、バズ、リュートを頼む」


 俺はバズに命じた。


「了解っス!」


 バズは返事をすると背に背負うリュートを抱きかかえて、軽く演奏して見せた。


「こいつはいいや!」


 気を良くした衛兵が褒めると、入領審査のために並んでいた旅人達が歓声を上げた。


「お前達通っていいぞ!」


 衛兵の許可が降りると俺達はバジリコの領内へ足を進めた。規模こそ、辺境伯領に劣るものの質実剛健を絵に描いたような軍拡都市の様相を呈していた。


「旦那さま、何か、緊張感が漂っているように見えますわ」


 ティナは俺に話しかけた。


「そうだな、魔王軍が現れた時のような緊張感があるな」


 俺はティナの顔を見て答えた。すると俺の身体に激痛が走った。


「ぐああぁ~!」


「どうされました、旦那さま!」


 ティナは俺に心配そうな顔を向けた。


「ジ、ジルが、俺の足を思いっきりつねるんだ!」


 俺は必死に訴えた。ティナは俺の足元を確認した。


「ジル、何をやっているんですか!」


 ティナはジルをどかそうとした。


「し、師匠、ジルのヤツ、目がいっちゃってるっス!」


 バズは俺に訴えた。


「ジル、頼むからもう、ヤメてくれ!」


 俺は必死の形相のジルを退かそうとした。


「ジル、いい加減にしなさい!」


 ティナは叫んだ後、ジルの後頭部に手刀をお見舞いした。するとジルは気を失った。


「ジルの病気が始まったっス」


 バズがボソリとつぶやいた。


「バズ、今日のお前のリュートの演奏、すごく良かったよ!」


 不安気なバズに元気が出るようにエールをおくった。


「そうよ、バズ、本物の音楽家みたいでしたわ!」


 ティナも褒めた。


「ティナ姉さん、俺、一応、師匠に免許皆伝の許可を得てるっス! 何か、俺、ショックっス」


 ティナは、ハッとした顔をしたが、バズはしょぼくれた。


 そんな時、ジルが目を覚ますとティナをひとにらみし、唸り声をあげた。


「ジル、お前、いい加減にしろ! ここから出て行け!」


 俺はジルを拒絶した。ジルは振り返って俺の方を見るとシクシクと泣き出した。


「お前に注意するの何度目だ! もう、うんざり何だよ!」


 俺は言い放った。


「レックス、見捨てないでくれ! 俺が悪かった。ティナとレックスが親しくしているのを見ると切なくなってきて、我を忘れたんじゃ!」


 バズはそう言うと俺の足にすがりつき、追放されないように命乞いをした。俺はティナの方を見るとティナがうなずいた。


「もう良いよ、これからは気をつけろよ」


 俺は足元に這いつくばるジルを抱き起こすとジルに笑顔を向けた。ジルは潤んだ瞳で俺を見ると、変なスイッチが入り、俺を押し倒し、マウンティングの姿勢を取ると、ズボンを履いたまま腰をヘコヘコ仕出した。


「タスケテ」


 俺は必死でもがいた。そんな中、俺の目に映るジルはティナを挑発しているように見えた。


「ジル、甘えてんじゃ無いわよ!」


 ティナはいまだかつて見たこともないような顔で、ジルの後頭部に手刀を食らわせ、気絶させた。ティナは俺の顔を見た。


「コイツは欲望に魅入られている、中々、欲望の奴と折り合いがつけられないんだろうな、コイツが欲望と折り合いがつけられるようになるまで、辛抱してくれないか?」


 俺はティナの顔を見て懇願した。


「わかったわ」


 ティナはそう言うと俺に近寄って来て俺に抱きついた。


「でも、私がいることも忘れないで下さい」


 ティナは顔を上げて俺に告げると瞳を閉じて俺に抱きついて来た。


「今はバズがいるからまた今度な」


 俺はそう言いながらティナのおでこに軽いキスをした。


「俺、気にしてないっスよ!」


 バズはスコルンを撫でながら俺に向かって言った。


「俺は気にするんだよ」


 俺はバズに答えた。


「ところで旦那さま、今日の宿はどうしましょう?」


 ティナが聞いてきた。


「あっ!」


 俺は泊まる宿の存在を失念していた。


体調不良のため、5月中は週2くらいでかければと思っています。御迷惑をお掛けします。

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