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第四十八話 少し離れた湖

 少し離れた湖にジルは俺達を連れて来た。開けた土地に水量豊かな川も流れ、湖の向こうには山も見えてロケーションがかなりいい場所だ。


「この湖にはカエルの巨大フロッグがいる。ソイツらを仕留めろ!」


 ジルの話によるとフロッグは悪食でたまにオーガも犠牲になるらしい。しかも繁殖力も強く間引きが必要なのだという。


「よし! 経験値稼ぎだ」


 俺達はそれぞれ配置についた。以前ニートリアをやっつけた時の様に俺が雷魔法で気絶させティナが仕留めるという形だ。


「ティナ、ある程度俺とバズの分も残して置いてくれ」


「わかったわ、逃げられないように手足を切り取るわ」


「俺は何をしたらいいスか?」


「お前は何もしなくて良い」


 そんなこんなで雷魔法を湖に落とす。巨大な稲光が水面に叩きつけられると、もの凄い雷の轟音とともにフロッグがプカプカ浮かび上がってきた。


「師匠、カエルどもが浮かんで来たっス!」


 バズは木の上から湖の様子を俺に報告した。


「そうか」


 俺は軽く返事を返した。


「ん! なんか他のヤツも浮いてるっス!」


「なにが浮いてるんだよ」


「ブラックサーペントみたいっス」


「ブラックサーペント?」


 俺はシーサーペントなら聞いた事があるが、もしかして淡水生物だからブラックなのか? 等と考えていたその時だった。


「それ以外にもサハギンが転がってるっス!」


「嘘だろ」


 俺は自分の落とした凄まじい雷の破壊力に驚愕した。これがダンジョンの成果なのか? 圧倒的だな、そんな事を考えているとティナが声をかけて来た。


「旦那さま」


 風魔法で湖に浮かぶフロッグやブラックサーペントとサハギンを陸地に運んで来て、俺に声をかけた。


「私の分は終わりましたので残りはバズと旦那さまで始末して下さい」


 そう言うとそのまま自分の分をマジックバッグに詰め込み、俺達が始末し終えた物も後でバッグに収納した。


 その日は野営をしてフロッグの肉を焼いて食べた。非常に巨大な割に硬くなくあっさりした味だった。


 その日は皆で野営して、翌朝になった。


「経験値も溜まっただろうからダンジョンの入口に行ってみよう」


「そうっスね」


「良いですわね」


 ジルは無言だったが、他の皆は納得している様なのでそのまま出発しようとした時だった。


 目の前に、ポイズンスネークJrが現れた。ヘビが毒を放つと木の幹に掛かり溶けて木が倒れた。


「あの毒ヤベェな」 


「希少性も高くあまり市場に出回らなくて高値がつくそうスよ師匠」


「ところで、なんでJrなんだ?」


「知らないっス、皆そう呼んでたっス」


「私はあの毒を弓矢の先端に塗って狩りに使っていましたわ。そしてあの毒、少量を薬草に混ぜると特効薬になるんですわ」


 ティナが得意げに語った。


「ヘビの皮は高く売れるから傷つけられないな、バズはそこで見学だ」


 そう言って俺はギターで雷魔法を放とうとした。


「ギターを置いて、手を奴に向けろ。ギターのフレーズを意識して魔法を発動させてみろ!」


 ジルが進言した。


「嗚呼、わかった」


 俺はジルの言う通りにした。


 バチッ! という音がするとヘビは死んでいた。


 そこへティナの短剣で念の為にトドメを刺し、それをぞんざいにマジックバッグに入れた。


「えっ! どうなってんだコレ! 俺、攻撃魔法は楽器が必要なはずなのに」


「それがお前があの段階のダンジョンで得た力だ。バズやティナも同様だ」


「俺も試して見るっス」


 バズはそう言うと、ギターも持たず、湖に向けて魔法を発動した。


「スゲーッ! 魔法陣が展開されて火炎が出てくるっス」


 今までギターを使って魔力を増幅して魔法を発動していた時のようだった。


「今まで通りギターを使うとさらに威力が増すのか?」


「そうだ、お前等、ゴブリン退治の時、山火事を起こしたり、滝のような雨を降らしていただろう」


「そういえば、確かに」


「お前達の能力は確実に向上している」


「急にレベルが上がって疑われないのか?」


「その能力は自分でコントロール出来るから魔力測定の時や敵を(あざむ)くときなんかは能力が隠ぺい出来るぞ」


「人前で、俺達の力を誇示するなって事か」


「そうだ、とにかく目立つとロクな事にならんからな」


「そうだな、気をつけるよ」

 

 俺達は崩れた洞窟のダンジョンの入口に向けて出発した。

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