第二話 ワイルドボアを狩る
森の奥深く、陽の光が 細く 差し込む 薄暗い場所に、 セドック、バルサム、サミーの三人は身を潜めていた。
目の前には 獣道を踏みしめながら 闊歩する ワイルドボア。イノシシに似ていて 毛は硬く 筋肉は 岩のように 隆々としている。
「油断すれば一瞬で 突進され、命を落としかねない。バルサム ! 盾を構えろ!!」
「サミー 脇から 回り込め!」
セドックが声をかける。
バルサムは分厚い 盾を構え 一歩前に出る 。ワイルドボアはそれに気づき 鼻息を荒くして地面を引っ掻いた。
次の瞬間、 轟音とともに 突進 が始まる。それを合図に後方から強化魔法を掛ける為、ギターの力強い音色を響かせる。
ボアの突進に 衝撃を受けながらも バルサムは踏みとどまる。 彼の肉体と強靭な盾がそれを見事に受け止めた。
「今だ!」 セドックの声が響く。
サミーは 俊敏に動き ワイルドボアの背後へ。高く 斧 を振り上げ、 勢いよく 振り下ろす。
その鋭い刃は分厚い皮膚を切り裂き、 ワイルドボアが悲鳴を上げた。
怒り狂った ワイルドボアは暴れ バルサムを押しのけようとする。
しかしその隙を逃さず セドックが前へ出る 。熟練の 剣捌きで正確に急所を狙い、鋭く突き刺した。
ボアは一度跳ね上がり 、そして崩れるように倒れた。静寂が戻り 3人は息をついた。
「ふう…… 良い狩りだったな」
セドックが剣を振って血を払いながら言う。
「ケヘッ! ワイルドボア、案外、 厄介な相手でしたな!!」
バルサムは盾 を地面につき、 汗を拭った 。
「い、意外とはやく片付きましたでゲスね!」
サミーは抜けた歯の隙間から笑みをこぼす。
そこに 先ほどまで、完全に気配を消していた自称 魔法使いの女グロアが、その存在をあらわにした。
気だるい風が、むせ返る女の香りを三人の男達に運ぶ。
その香りは、ボアを倒した興奮で気分が高揚していた男達をさらに勢いづかせた。
「カシラ、相変わらずグロアの姉御は、フェロモンむんむんのワガママボディですな!」
そう言うとバルサムは、ニヤけながらイヤらしい手つきをしたり、虚空に腰を何度もふったりした。
「うむ!」
バルサムの進言にセドックは機嫌よく頷いた。その横をグロアが通り過ぎようとした時、セドックは声をかけた。
「グロアやったぞ!」
グロアはそんな言葉を受け流し視線すら会わせなかった。女の視線はその先の一点に向けられていた。
そこにはギターを持つ魅力的な男が佇んでいた。グロアはためらいもなく男の下へ歩み寄り熱い眼差しをむけた。
セドックは言葉を失い、ただ沈黙の中に立ち尽くした。
「あのヤロウ! 許せねぇ! コネで俺達のパーティに加入した分際で!」
プライドをイタく傷つけられたセドックは復讐の炎を宿していた。
「カシラァ、良いんですかい! そのまま放っといて! 姉御、アイツのものになっちまいますぜ!」
腹心のバルサムはセドックを焚き付けた。
「あのナルシストヤロウ! 支援魔法が使えると言うから頼まれて仕方なく雇ってやったが、もう限界だ!」
「おっしゃる通りですぜ! カシラ! ナメたアイツを締めてやりましょう!」
バルサムはニヤリとしながらさらなる燃料を投下した。




