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第十二話 柔らかな光

「しばらくここに滞在するんだったら住む所、ちゃんとしないとな」


 俺は竹が生えている方を見た。


「長く住むわけでもないし、とりあえず、あれを使えば木より簡単に家を作れそうだ」


 手持ちの短剣で竹を切りだそうとした。


「木を切るよりは良いんだけど時間掛かりそうだな」


 そんな事を呟いていると女が自身の短剣を持ち出して竹を切ろうとした。


 短剣に魔力をまと)わせ、振り抜くと柔らかいモノでも切るかのように竹が、スパッ! と切れた。


「スゲェ、どうなってんだ! こんなにあっさりと切り倒すなんて!」


 驚いて、言葉に出すと女は照れたように微笑(ほほえ)んだ。


「ありがとう! 助かったよ」


 女にお礼を言った。


 直径十〜二十センチを超える巨大な竹を数十本ほど切り出してもらい俺は枝葉を切り落とした。住居用だ。


「取り敢えず、先にテーブルとイスを作ろう」


 生活用の素材として直径三〜十センチ程度の竹も数十本ほど切り出してもらったのを使い加工して組み立てた。


「完成したから座ってみてよ」


 そう言うと、女はイスに座った。


「座り心地、良くない」


「座る部分には小さめの竹を並べたんだけどな」


「まぁ、仕方ないわ、シロウトですもの」


「テーブルはどうかな?」


「パッとしないわね」


 微妙だったようだ。それでも会話が成立しただけで、一歩前進だと思う事にした。


「あと、食事に使う竹の器とコップも作ってみた」


「まあ! 良く出来てるわね!」


 こちらは気にいってくれたようだ。


「あとフォークにスプーンもそれに東方に存在するハシという竹の棒も作ってみた」


「へぇ、全部見たことある!」


 見たことあるだけで使っているかどうかは定かではなかったが、喜んでいる事は確かなようだった。



 俺は少し離れたところから女の方を見た。



 木漏(こも)れ日から差し込む柔らかな光が、女の 髪をきらめかせ、白い肌の輪郭を浮かびあがらせた。自然に溶け込むエルフの神秘的な美しさに、目が釘付けになった。


 俺は息をのみ 、思わず、その場に立ち尽くしたまま、女に見入った。




「キレイだ……」


 つい口に出てしまった。


「まあ!!」


 そう言って両方の手のひらを頬にあて驚いてみせた。そして、女の視線は俺を(とらえ)えながらも、わずかに 身を()らすような仕草を見せた。


「あっ! ゴメン、深い意味はないんだ。忘れてくれ」


 そう言うと、何故か女はよそよそしくなった。


 俺はあくまで風景の一部として、エルフが、美的に、綺麗に見えただけで、とくに好きなわけでも何でもないはず、である。


「ちょっと魚の罠を確かめてくる」


 気恥ずかしくなって、その場を離れたくなった俺は仕掛けた罠を見に行く事にした。






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