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第7話『ダンジョンへの道中、ぱくぱく!』

「これからどこに向かうの?」

「まずはダンジョン上層で肩慣らしかな」


 ミィラも合流し、私たちは街中を歩いている。


 その間、私は子供の頃から変わった目線の高さに感動しつつ、改めて街並みに感動していた。

 なんせ子供の頃は、街並みを見渡そうにも大人の背丈に阻まれていた記憶ばかり残っている。


 じゃあ今はどうかというと。


 とにかく全てが新鮮で、珍しいほどでもない2階建ての宿屋や飲食店でさえ目移りする対象であり、通路に並ぶ露店や商売をしている人はキラキラと輝いて見えてしまう。

 行き交う人の多さにも目移りするし、子供たちが楽しそうに駆け回っていることすら微笑ましく、次々にすれ違う人が珍しく感じる。

 それらと同じく、いろんな匂いや音も堪能中。

 目線を下げてみるとエドとラグも同じようで、器用に人とぶつからないよう歩きながら首を左右に振っていた。


「あ、もしかしてだけどルミナ」

「ん?」

「小腹が空いてたりする?」

『ぐぅ~』

「あ」

「長距離を移動していたようだから、仕方ないよ」

「じゃあ買ってくるよ。ボクも小腹が空いたからちょうどいいし」

「ありがとうサーレ」

「はいよー」


 最初は前のめり気味なサーレだったけど、仲間として認めてくれたのかな。

 ついでとはいえ、正直に嬉しい。


「サーレは、私たちが警戒しないから1人で頑張ってくれているんだよ」

「そうなの?」

「最近だと勇者パーティとして顔が知れ渡ったから気にすることはなくなったけど、少し前までは面倒事に巻き込まれることがあってね」

「特にあたしなんかは多かったかな。ほら、ミィラと違って装備でガチガチに固めてないから弱弱しい感じに見えるから」

「それだと、まるでワタシが変な奴らに絡まれなかったみたいじゃないか。ちゃんとあったぞ、全員ボコボコにしたけど」

「でしょうね」


 ハンノが言っていることは、簡単に想像できる。

 私も冒険者ギルドの建物内に入ってすぐ経験した、あの感じが何回も続いたんだと思う。

 メンバー全員が実力者であるから、誰も被害に遭ったわけじゃないだろうけど、回数が多いと面倒でしかないはず。


「でもミィラの場合は、男連中よりも女性関係が面倒そうだったけどね」

「リイン、その言い方は悪意がないか?」

「そうかも。でも、事実でしょ?」


 リインはクスッと笑いながらツッコミを入れたけど、ミィラは迷惑そうに応えている。


 でもなんだか、言っていることは理解できちゃうかも。

 ミィラは凛としていて、綺麗だけどかわいいというよりはかっこいい寄りな雰囲気ではある。

 髪の毛はポニーテールにしているから長いし、口調こそ少し硬く感じるけど、今も少し焦って表情豊かだし――身振り手振り言い訳している姿はちゃんとかわいい。


 ――はぁっ!?


 な、なるほど……クールな見た目に対する女の子らしいギャップが、女性人気の秘訣なのね!?

 危ない危ない、私もその魅力に引き込まれるところだった。


「ちなみにハンノは、本当に多くて大変そうだったけど誰一人として触れることはできなかったみたいね」

「何それ」

「さっきは控えていたけど、ここだったら大丈夫ね。聖眼を持っていてね。精霊かどうかは見ただけで判断できるし、他にも魔法の威力増大や発動待機とかとかできるの」

「ひぃえぇー、凄い」

「ルミナには同じ後衛だから能力を憶えておいてほしいわ。ちなみに、まだまだあるから」

「わかった、頑張る」

「ちなみにもう1体の精霊と関係があるようだけど、心当たりは?」

「あるよ。お馬さんなんだけど、そっちは私もわかってた。でも街に到着したら、どこかへ行っちゃったの」

「なるほど。必ず再会できるから、それまでに名前を決めておいてあげて」

「わかった。教えてくれてありがとう」


 そっか、また会えるんだ――嬉しい。

 短い時間とはいえ一緒に居たし、この街まで運んでくれたからね。

 友達みたいに思っていたから、再会するまで絶対に名前を決めてあげよう。


「――買ってきた。これ」

「ありがとうサーレ。とっても美味しそうな匂い」

「ボクも大好きな露店で買ってきたんだ。上手いぞぉ」


 見た目的に鶏肉のてりやきかな。

 少しパリッとするぐらい火が通っている感じで、上には空腹を加速させるほどいい匂いのソースがかかっている。


「それで、こっちはおチビちゃんたちのだ」

『ヘッヘッヘッ』

『んなーおっ』

「ペット用って言ったら、味付きじゃない肉を売ってくれたんだ」


 さっきの話、本当にその通りみたい。

 面倒見がいいというか、気を遣ってくれているというか。

 最初はちょっと怖そうな印象があったけど、それは私がみんなに対して危害を加える人間じゃないかを見極めていたということ。

 仲間想いの優しい子というわけね。


 エドとラグも焼けたお肉を美味しそうにパクパク食べている。


「どっちかわからなかったが、生のほうがよかったりするのかな」

「どうなんだろう。でも精霊は基本的に人間と同じものを食べられるし、味付けも人間と同じで大丈夫らしいよ」

「そうなのか? 見た目によらずって感じなんだ」

「うーん、まだ確認していないから正確なことは言えないけどね」

「ボクは知識が全くないから、間違えていたら教えてくれな」

「頑張って知識を蓄えるね」


 さて、私もいただきますっ。


 うほぉ~~~~簡単に言ったらてりやきソース!

 外は見た目通りパリッとしていて、中はジューシーな感じでジュワッと肉汁が溢れて、美味しい~!

 ちょっと味が濃い目だけど、体を動かした後に食べると格段に美味しく感じるっ。


 この味付けをエドとラグが食べて大丈夫なのか心配になるけど、本当に食べて大丈夫なら食べさせてあげたい。

 でも実験的に食べさせてダメだったときが怖いから、うーーーーーんんんんんん。


「ルミナは、歩きながら食べるの抵抗感がなさそう?」

「ええ。立ったままでも歩きながらでも全然大丈夫」

「なら、エドとラグの分は半分ぐらい残して足を進めよう」


 そうよね、私は観光に来ているわけじゃない。

 これからダンジョンに向かって、力を試しに行くんだ。

 美味しいお肉は堪能するけど、ゆるゆるな心で居てはダメよね。


「大丈夫そうだし、行こう」

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