第6話『自己紹介と名前付けの時間です!』
「よろしくお願いします」
『ワンッ』
『にゃー』
わんちゃんとねこちゃんも一緒に挨拶してくれる姿はかわいいけど、なんだか恥ずかしくなっちゃう。
いつの間にかずっと同行する流れになってるけど、私が保護者になるんだよね。
ああ、みんなもこの子たちに目線を奪われていて拒絶されない雰囲気だけど……これからどうしよう。
「戻ってきたと思ったらパーティメンバーを増やすなんて聞いてないけど」
「ごめんごめん。でも、ルミナは凄い回復技術を持ってるんだよ」
休憩や談話をする場所なのだろう、丸テーブルと丸椅子が設置してあって。
そこには3人の勇者リインのパーティメンバーらしき3人の女の子たちが座っている。
全身を鎧を見に包んでいて大きな盾が椅子に立てかけている人、武器は見えないけどリインと同じく軽装備な人、マント付きのローブに大杖を抱えている人。
みんな年は近いと思うけど、なんだろう……全員が別々のオーラや覇気を身にまとっているみたい。
「どうせ、その流れだと手続きも済ませてきているんだろ?」
「ご明察」
「私はルミナです。いろいろあって、冒険者になりました。回復や支援が得意です」
最初からリインと言葉を交わしている軽装備の人を怒らせないよう、私から自己紹介をしてみる。
他の2人は私を観察しているみたいだし、コミュニケーションは積極性がスタートだもんね!
「まあしょうがない、か。ボクはサーレ。【闘士】だよ。得意なのは近接戦闘だけど、得意戦術は一気に間合いを詰めること。回復と支援が得意なら、これからかなりお世話になりそうだね」
「はい! 頑張ります!」
「はははっ。サーレ、パーティで一番の元気っ子という座をルミナに奪われないよう頑張りなよ」
「そんな不名誉な座、いつだって渡してあげるよ」
ふぅ……よかった、なんとか距離を詰めることができた……ぽい?
「ワタシはミィラ。【騎士】で防御を主に担っている。前衛との連携を主軸に、後衛の防御も臨機応援に行う」
「よろしくお願いします」
「あたしはハンノ。【魔女】って言われているけど、魔法使いよ。支援とか回復は苦手だったから大歓迎するわ」
「ありがとうございます」
「これで、やっと平均的な組み合わせになったね」
リインの言う通り、パッと聞いただけでも攻撃的な編成だったことは容易に想像できる。
それでも勇者パーティと呼ばれているからには、不十分を凌駕するほどの実力があるに違いない。
戦闘が始まるわけでもないのに、ちょっと緊張してきちゃった。
「それで? そちらのかわいらしいお供は?」
「え、あ。この子たちの名前はまだ決まってなくて」
「飼い主が話をしているときに、ちゃんと静かにお座りしているの偉いね」
視線を落とすと、たしかにお座りしていた。
さっきの殴り合いをしていたときも手続きをしているときもそうだったけど、躾をしていないのにお利口さんだ。
でもたしかに、これから一緒に行動するなら名前を付けてあげた方がいいよね。
え~~~~私の意図がわかるのかな?
目をウルウルキラキラさせてこっちを向いてきたぁっ。
「たぶん知らなそうだから伝えておくけど、その子たち精霊よ」
「え」
「精霊との契約についても知らなさそうだから教えてあげる。名前を付けて、精霊自身も承認すると契約が成立するのよ」
「な、なるほど」
私も精霊についての知識はある方だと思っていたけど、まだまだ知らないことの方が多そうね。
屋敷とダンジョンを行き来することがほとんどだったから無理もないか。
でもまさか、この子たちも精霊だったなんて。
見分け方とかもあったりするのかな?
「ちなみに、普通の人が精霊と動物を判断するのは契約後でもわからなかったりするのよ」
「じゃあどうやってハンノさんはわかったんですか?」
「ああ、あまり声には出したくないからあたしの目を見て」
言われた通りにハンノさんの目を凝視してみると、人間のソレとは比べ物にならないほどキラキラしている。
まるで眼球の中に宝石が散りばめられているかのように。
「き、綺麗ですね」
「まあ、これのおかげというかせいというか。【魔女】なんて言われているのは、これが由縁になってる感じね。あと、ハンノでいいし普通に話して」
「うん、わかった」
「じゃあワタシも分け隔てなく接してくれると嬉しい」
「流れに乗ってボクにも。そんなことより名前」
「そうね、どうしようかな」
屈んで撫でてあげると嬉しそうに反応してくれる。
ネーミングセンスはあるわけじゃない。
だからシンプルになっちゃうけど……この世界だと種類的なのは決まっていないようだし――。
「わんちゃんがエドで、ねこちゃんがラグ――かな」
たぶんサモエドとラグドールだから、そこから文字を取ってみた。
どうかな、気に入ってくれるかな、どうかな……。
『ワンッ』
『にゃおん』
「大丈夫……そう?」
「少なくとも嫌がっているようには見えないわね」
「よかったぁ。わあっ」
エドが飛び掛かってきて床に腰を下ろしてしまう。
でもジャレてきているのだとわかるし、ついでにとラグも体と膝の間に入ってきた。
「さて、各々の自己紹介が終わったところで場所を変えよう。ここで話し続けると、いつも目線が気になって仕方がないからね」
もふもふに襲われながら、リインが発した言葉の意味を確かめるべく辺りに目線を向けてみると――なるほど。
あからさまにガン見している人も居れば、コソコソと飲み物を口にしたり人と人の間から目線を向けてきている人も居る。
みんなは慣れている様子だけど、こんな状況で普段通りに会話をする方が難しいと思う。
少なくとも、私はソレに気づいてしまったからソワソワ背後が気になっちゃうかも。
「依頼はワタシが受けてくる。その間に外へ出ていてくれ」
「ありがとうミィラ、よろしくね」
私も立ち上がり、リインの後を追うように歩き出す。
勇者というものは飾りだけではないようだ、私のときは誰も道を開けようとしなかったのに、今は何も言わなくてもスーッと避けてくれる。
歩きやすいと言えばその通りだけど、さっきよりも自分に向けられる目線の数が増えたようにも感じちゃう。
たぶん私には目線を向けてきていないのだろうけど。
「これも、慣れていってね」
「う、うん――」
ここまで読み進めていただき、本当にありがとうございます!
もしよろしければ、
1、ブックマーク
2、★~★★★★★評価
この2点を、ポチポチっとしていただけると幸いです。
読者の皆様から応援していただけるだけで、モチベーション維持や執筆の励みとなります!
より多くの皆様へこの作品が届いてほしいと思っていますので、どうかお力添えいただけないでしょうか!
まだまだ更新していきますので、どうかよろしくお願い致します!!!!




