第14話『神聖女はダンジョンで聖域展開!』
「ということで!」
まだまだダンジョン攻略を続けていようとしていたみんなは、やる気を宿したまま止まってくれた。
「私も体を動かしたいので、力を使う」
「え、さすがにそれは」
「でもみんなは許可をしてくれないと思うから、別の方法で発散しようと思う」
「別の?」
リインが反応を返してくれているけど、他のみんなも懐疑的な目線を向けてきている。
みんなの認識的には【聖女】という存在は、たぶん非戦闘員であり、そもそもの力を把握していないのだと思う。
だから私は、役割を果たすだけでなく【聖女】の能力を知ってもらいたい。
「疲れていなさそうだけど、みんなを回復し続けて能力向上させ続けようと思う」
「それって、さっきも施してもらったやつとは違うの?」
「うん。さっきよりももっと凄いやつ。これを発動させ続けていると、私は超超超強くなるの」
「ねえルミナ、質問していい?」
「うん」
「1人でダンジョン攻略していたって話、何階層まで行ったことがあるの?」
「40階層ぐらい」
「え!?」
全員がリインと同じく体を仰け反らせて驚いた。
でも、その反応をした理由は、自分たちの経験から来るものだということはわかる。
犠牲者も出たダンジョン攻略なんて想像も絶する戦いを経験した後に、私の話を聞いたら驚いても仕方がないし、自分の凄さもわかり始めた。
「説明は後、じゃあいくね――【パーフェクトエンハンスヒールプロテクション】」
私が発動させた神聖魔法は、簡単に言えば【聖域】。
威力、速度、防御に加えて常時即時回復、持続状態回復を広範囲に展開し続ける魔法。
そして使用者だけには、【ヒールリターンアーマー】も常時発動状態だから攻撃を自分ですることもできる。
「な、何この光の領域は」
「凄い……まるで聖堂に居る気分になる」
「おいおいおい――体が軽すぎて、さっきよりも軽快に動ける」
「あたしでも魔法じゃなく拳でモンスターを倒せそうな気がする」
直径20メートルは円形状に展開されているし、移動すると私を中心に聖域も動く利便性も備えている。
ちなみにジャンプしても足元についてくるから、高低差があっても大丈夫。
「これは私にとっての【聖域】。まだダンジョンのラスボスと戦ったことはないけど、階層ボスなら倒したことはあるよ」
「嘘でしょ……」
下から光が漏れ出ているようになっているけど、下から照らされているというより、上からドでかいスポットライトに照らされている感じ。
「ね、ねえルミナ」
「ん? 今の私は止まらないわよ?」
「それはそうだろうけど、違う違う。後ろ」
「――え」
私がつよつよモードになってしまったせいで、エドとラグもさらに巨大化してしまった。
ダンジョンの階層をギリギリ移動できる大きさではあるけど、たぶん3メートルはある。
「もしかして私が強くなる魔法を発動させると、エドとラグも大きくなるのかな」
『ワオォーンッ!』
『ガウガウワッ!』
「声でもでっか!」
規模感が変わりすぎて、全員がエドとラグを見上げている。
「うわあ、凄い。でもダメだよ! 私の出番――え、ええええええええええええええええええええ」
なんでえええええ!?
モンスターを倒すのは私なのに、エドとラグが周りに落雷と風刃が舞ったりしていると思ったら、次々とモンスターを殲滅してしまった。
「私の出番……」
「ルミナ、諦めるしかないね。その【聖域】を展開しちゃうと、歩いているだけでモンスターが倒されちゃうみたいね」
「うぅ……」
『ガウゥ』
『ナウゥ』
悲しそうな声を出しながらお座りをしてもふもふに挟まれる私。
そうよね、私の言っていることを理解できるのだから、自分たちが良いことをしたと思ったら私が落ち込んだら悲しくなっちゃうよね。
もしかしたら無意識かもしれないけど、やっぱりダメだ。
「いいのよエド、ラグ。私のためにモンスターをやっつけてくれてありがとね」
ここまで大きいと撫でて感触が伝わるのかわからないけど、私は優しく手を動かす。
ふわふわしすぎるだけじゃなく、毛の1本1本が大きくて体を撫でることはできないのが悔まれる……。
「でもこれ――もしかしなくても、この戦力なら試すことなく50階層まで攻略できるわね」
「そうね。ワタシたちも聖域によって強化されているのなら、50階層以上も余裕だと思う」
「ボクはまだまだ力を試したいし慣らしたい気持ちはあるけど、まあ引き際だろうね」
「あたしは今回ほとんど何もしていないけど、撤退でいいんじゃないかな。帰りもあるし」
「じゃあ今回は撤退しよう。快進撃なダンジョン攻略だったけど、時間は進んでいるからね」
「そういえば全然気にしていなかった」
言われてみたら、時間なんて気にせずダンジョン攻略していたし話をしていた。
ダンジョンを封印していたときは、迎えに来る人たちのことを気にしていたから返る時間を考えていたけど、完全に忘れていた。
「帰り道なら、少しぐらい暴れてもいいんじゃない?」
「いいの?」
「あたしは出番がなさそうだし、エドとラグと一緒に体を動かすぐらいでモンスターは倒せそうだしいいと思うわよ」
「いや、今回は残念だけど帰り道も急ごう」
「――わかった。今は次もあるんだし諦めるわ」
「ちなみにその聖域は、どれぐらい出し続けられるの?」
「結構長い時間出し続けられるよ」
「じゃあエドとラグの力を借りよう」
『ヘッヘッヘッ』
『ンナーオォン』
「この大きさだと片方でもいいけど、さっきと同じ感じでいこう」
エドに私とリイン、ラグにミィラとサーレとハンノね。
もしかして、リインはエドとラグに気を遣って体と力を使わせてあげようとしているのかな。
「よいっと、おおっ凄い凄い。ふわっふわっ」
リインはぴょんと軽くジャンプして乗ったと思ったら、そんな感想が聞こえてきた。
と思えば、他のみんなも同じく跳び乗っていって同じ感想を漏らしながら気の抜けた声が。
じゃあ私もっ。
「ふわふわもこもこ~気持ちいぃ~。じゃあエドとラグ、出発ーっ!」
『ガウッ!』
『ガーッ!』




