表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/39

【二年の情景】第27話:『文化祭ライブ!』 

『文化祭ライブ!』 

https://youtu.be/Zi2-GPzl8wE

※こちらで視聴可能です

日常の風景、そして忘れられない文化祭


秋風が心地よい、文化祭の数日後の放課後。いつもの練習スタジオには、心地よい疲労感と、まだ冷めやらぬ興奮の余韻が漂っていた。


「はぁ〜…文化祭、楽しかったなぁ!もう一度やりたいくらい」


練習を終え、床に座り込んだミオが、天井を仰ぎながらしみじみとつぶやいた。その一言に、他のメンバーも深く頷く。

「うんうん!楽しかったー!でも、始まる前は心臓が口から飛び出るかと思ったよー!」

ユメカが思い出しながら言うと、ルナがニヤリと笑った。

「あんた、ステージ裏でずっとソワソワしてたもんな。『お客さん、来てくれるかなぁ』って」

「だって、クラスメイトとか先生とか、知ってる人ばっかりの前でやるのって、ライブハウスとはまた違う緊張感があるじゃない?」

「わかる。でも、黒幕の向こうから聞こえてくるざわめきが、なんか心をくすぐるっていうか…ワクワクしたよね」

ミオの言葉に、りんも優しく微笑む。

「はい。ドラムのカウントが始まった瞬間、ああ、私たちの文化祭が始まるんだなって、鳥肌が立ちました」


「1曲目はやっぱり『東京たんこぶ』でしょ!って決めてたけど、まさかあんなに手拍子してくれるとは思わなかったよね!」

ミオが興奮気味に言う。

「ねー!普段あんまり話さない子までノリノリで!嬉しくて泣きそうになっちゃった!」

ユメカが瞳を潤ませる。

「……音が、跳ねてた。体育館の木の床、悪くない」

いつもはクールなあおいも、満足げにポツリと言った。


「てか、ルナ!あんたまたスティック落としてたでしょ!」

ミオが思い出したようにルナを指さす。

「あれは演出だっての!盛り上がったろ?ミスしても気にしない、この時間が最高だってことが伝われば、それでいいんだよ!」

ルナが胸を張ると、ミオは「はいはい」と笑って流した。


「でも、一番びっくりしたのは『校歌アレンジ』だよね!まさかあんな大合唱になるとは!」

「わかるー!担任の先生までノリノリで歌ってて、爆笑しちゃった!」

ユメカが手を叩いて笑う。

「その後の『思春期のバラード』で、みんなシーンとなって聴き入ってくれて…。あそこでグッときた女子、絶対多いって」

ルナが言うと、ミオは「でしょ?」と得意げな顔をした。

「そして、そのしんみりした空気を、ユメカのゆるいMCが一瞬でぶち壊すっていうね」

「えー!そんなことないよー!和んだでしょー?」

ぷくっと頬を膨らませるユメカを見て、スタジオは再び笑いに包まれた。


「でも、本当にそうかも。バラバラだったクラスの想いが、あの瞬間、ひとつのリズムになった気がした」

凛がしみじみと言う。

「音楽って、魔法みたいですね」

「うん。ステージから見てて、誰かの声が、うちらを包んでくれる感じがした。最高の気分だったよ」

ミオは、あの時の光景を思い出し、目を細めた。

「最後、『おかし』でみんなでジャンプしたのも楽しかったー!」


「私たちを、見てくれてありがとうって、心から思ったな」

ミオの言葉に、全員が静かに頷いた。

「“最初で最後”なんて言わないで、何度でもやりたいよね」

「うん!だってうちら、まだまだ走れるから!」

ユメカが元気よく言う。


「あの日のライブ、全部が宝物だよ。ステージは体育館だったけど、うちらにとっては世界で一番のステージだった。拍手が波みたいに広がって、全力で歌いきった今日を、いつか笑って思い出せるんだろうなって」

ミオは、噛みしめるように言った。

「青春は一瞬だけどさ、私たち『東京たんこぶ』の音は、ずっと響き続けるって信じてる」


その言葉は、メンバー全員の心に深く刻まれた。

この文化祭での経験は、ただの思い出ではない。彼女たちの絆をさらに強くし、音楽に新たな深みを与えてくれた。

この日の会話が、そのまま一つの曲になったかのように、「東京たんこぶ」の歴史に、また輝かしい1ページが書き加えられたのであった。

『文化祭ライブ!』 

https://youtu.be/Zi2-GPzl8wE

※こちらで視聴可能です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ