表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/26

プロローグ

 ・・・・・・いやだ。

 黄色い花の咲き乱れる草原で、僕はナイフを手に握りしめる。

 僕の視界の端には、赤色の文字。


《おさななじみ を ころせ あと ろくじかん》


 そして、僕の前にはその幼なじみのリルンが。

 僕は、彼女を殺さなくてはならない。


 なぜ、こんなことになったのか。


 あの理不尽な“j64”が、僕を『j64候補』に加えたからだ。


「いいんだよ」


 リルンがそう呟いただけで、僕は体を大きくびくつかせる。


「・・・・・・何が」

「私を、殺さないといけないんでしょ?」


 ああ、そうだ、殺さないといけないんだ・・・・・・。 

 殺さないと、僕は、地獄を味わって、また戻ってくることになる。


「ケル。あなたになら、いいわ」


 そんなこと言わないでくれ。

 心が、揺らいでしまうじゃないか。


「だって、ちゃんと私に話してくれたんだもの」


 違う、それは少しでも自分を楽にさせたかっただけだ。

 リルンを手に掛けるのが、少しでも楽になるように。


「だから・・・・・・」


 リルンが淡い水色の瞳を細めて、微笑む。


「いいの。あなたのためなら。・・・・・・好きな人のためなら」


 好きなら、僕に殺させないでくれよ。


 僕だって・・・・・・。


「僕だって、好きな人を殺したくない・・・・・・」


 でもだめなんだ。殺さないと、もっと恐ろしい“j64”が来る。

 僕が先に進まないと、“j64”は何かをする。


 だから、だから、だから・・・・・・。


「なるべく、苦しませないでね?」


 赤いしぶきが黄色い花を染めた。



《セーブファイル2 とうろく かんりょう》 

最後までお読みいただきありがとうございます。次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ