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《適正》の軍師――SSS級冒険者は、天才皇帝の侵攻に挑む  作者: 竜太郎


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皇帝が受け取った敗報

レオンハルトは葦原の小競り合いを聞き、王国側へ踏み込んだ小隊が撤退した理由を尋ねた。隊長は敵の槍兵が異様な動きを見せたと報告したが、その一人を相手にしただけで部隊が止まったわけではない。足場が悪く、後続が続けなかったという。


クラウスは王国の軍師が現地にいた可能性を口にした。皇帝は兵から聞き取った戦い方を詳しく読んだ。泥に槍を支点として使い、倒すより味方を守った男。セイルの噂と重なるものはある。しかし顔を知る兵がいない以上、断定は避けた。


サビーネは小隊を褒めすぎないよう上申した。新しい葦原の地形を探れたのは成果だが、王国兵を傷つけたことで相手の警戒を強めた。今後は同じ経路で偵察しても、得るものが少ないだろう。レオンハルトはその判断を採り、無理な再突入を禁じた。


夜、軍医から負傷者の記録が届いた。帝国兵にも泥に膝を取られた者がおり、弓矢ではない怪我が目立つ。皇帝は靴の底を改めるよう命じた。戦術を変えるとき、兵の体がその動きについていけなければ何の意味もない。


負傷兵の泥だらけの靴は軍医へ渡され、足首のひねり方を調べる資料となった。レオンハルトは報告の最後に、王国側の人数を確定できなかったと書かれているのを見た。敗北を説明するため数字を盛れば、次に必要な兵数も狂う。クラウスは調査隊を増やしたが、皇帝は急がせず現地の地面が乾くまで待つことを許した。


レオンハルトは机の上の敵将名簿を閉じた。相手を天才一人だと見なせば、戦場の小さな事実を見落とす。だが、もしセイルがあの槍兵なら、敵軍の中心は机の前に座るだけの人物ではない。皇帝は次の報告に、兵が見た手の動きまで記す欄を設けた。

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