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婚約破棄された公爵令嬢は、無能扱いの第二王子の政務を支えることになりました ~捨てた第一王子が後悔しても、もう遅いです~  作者: 藤宮レイ


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第35話 王命の重み

 王命は、静かに出された。


 鐘も鳴らされず、広場に兵が集められることもない。

 ただ、正式な文書として、確実に回された。


「――王命により、騎士団の指揮系統を再確認する」


 それだけの内容だった。


 だが、その一文が意味するものは明確だ。


 非公式な命令は、すべて無効。

 王の名を伴わない指示は、存在しないものとして扱う。


 王国騎士団長レオンハルト・ヴァルツは、

 自ら各部隊長を集めた。


「剣を抜く必要はない」


 低く、よく通る声。


「今、求められているのは力ではなく、秩序だ」


 部隊長たちは、無言で頷く。


 誰も異を唱えない。

 それが、彼の信頼の証だった。


「本日より、巡回・配備・交代は、すべて正式文書を通す」


「例外はない」


 それだけで、流れは止まった。


 非公式な動きは、行き場を失う。

 命令を出した者も、受け取った者も、

 次に何かすれば“明確な違反”になる。


 王宮内の空気が、はっきりと変わった。


 ざわめきは消え、

 代わりに、静かな緊張が満ちる。


 一方、第一王子アルノルト殿下の元にも、王命は届いていた。


 文書を読み終え、彼はゆっくりと目を閉じる。


「……そうか」


 誰に向けた言葉でもない。


 これで、周囲は動けなくなった。

 彼自身も、動けない。


 それは、敗北ではない。

 だが、抵抗の余地が消えた瞬間だった。


 その頃、私は執務室で、状況報告を整理していた。


「大きな混乱は、起きていません」


 マリエルが、安堵した声で言う。


「はい」


 私は、短く答えた。


 混乱が起きなかった。

 それこそが、最良の結果だ。


「殿下は?」


「騎士団長から、全隊の確認が取れたと」


 私は、静かに頷いた。


 力を見せつけることなく、

 国は守られた。


 それは、これまで目指してきた形だった。


 夕刻、ルシアン殿下が執務室を訪れる。


「終わったな」


「はい」


「壊れなかった」


 その一言に、胸の奥が熱くなる。


「……それが、一番大事です」


 殿下は、私を見て、わずかに笑った。


「君の言う通りだった」


 私は、言葉を返せなかった。


 王命は、剣より重い。


 それを、誰もが理解した一日だった。


 そして同時に――

 第一王子の“最後の足掻き”は、

 静かに、完全に封じられた。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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