前へ目次 次へ PR 63/125 20世紀シーン3 吉永帰還 その鳩は実に気ままで、餌の時間になれば戻って来るし、ふらっと飛んで行ったかと思えば、何時のまにか戻っていて、天敵に襲われにくい納屋の天井を支える梁に止まって、体を休めていた。 「あんた、ここに住み着いて、一杯子を作ったら駄目だよ」 妻の加奈子は言う。しかし動物が身近に居る、裕福では無いが、のどかな農村地帯にあって、子供達二人はペットを飼っているように、嬉しそうにさしのべた手から餌を食べるこの鳩に、それ以上は、加奈子も口を出さなかった。