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20世紀シーン1 若山編
老婆は、皺枯れたその顔を更にくしゃくしゃにして、
「あんた!どこの師団、方面軍じゃったんじゃ?この佐賀に戻って来る帰還兵にはニューギニアの師団の者もたまに居る・・」
「自分は・・第2方面軍第36師団、歩兵224連隊でした」
「ほうか!ニューギニアに居たんか!そしたら!そしたら・・第51師団の事を知らんか?」
若山は首を振った。現地での悲惨な状況、分断された通信網・・そこでは情報など一切入る事などなかったからである。老婆は、落胆しながらも、若山の手を引き、自分の家に来るように促し、大きな握り飯を作ってくれた。殆ど麦の握り飯だったが、
「美味しいです・・」
「ほうか、ほうか・・大変じゃったのう・・本当にご苦労じゃったのう・・」