前へ目次 次へ PR 4/125 20世紀シーン1 若山編 老婆は、若山の肩を優しく抱いてくれた。涙が零れ落ちた。 老婆は、新庄タネと言い、空襲で夫新吉を亡くし、戦線に送った新庄一志をほぼ毎日のように、終戦の日から佐賀の港で待つ日々だったと言う。若山には、家族もなく、遠い親戚が、大阪にあって、そこへ訪ねて行く予定だと、タネに話すと、 「佐賀も空襲で焼かれたが、長崎では、ピカドンが落ちて、大勢の者が死んだ・・大阪も空襲で殆ど焼け野原じゃろう・・あんた、行く所が無いんなら、ここで暫く居ったらどうじゃ?」