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20世紀シーン2 石橋帰還
そんな石橋が、地の利として神戸という貿易港に近く、様々な資材も手に入れやすい環境下で、あるものをしきりに探し始めていたのだった。あるもの・・とは、何であったか・・それは、次第に明らかになっては来るが、この時点では未だ彼は、そのものを誰にも明かしてはいない。
大阪にある、船場の市場にて、石橋が懇意にしている 韓栄泉と言う者が居る。在韓の者だが以前より交流があった。
「久しぶりやな、石さん」
「色々あってな・・帰国が遅うなってしもた」
「こっちも大変やったで・・俺はもともと指が2本無いさかい、徴兵にはとられなんだけど、韓国人ちゅうだけで、色んな目に遭うた・・今もそうや」
「うん・・分かるわ」




