プロローグ『倭統一戦争』
時は1877(慶安6)年。
太閤――明智季明の死後、源川康時が成立させた源川幕府は、過渡期を迎えていた。
数年前のこと、倭は鎖国政策をとっていたにもかかわらず、近隣の強国――アルメリカ合衆国の圧に屈し、開国を宣言した。
それに対し反開国派は蜂起、各地で武装一揆が絶えず起こるようになる。
木々の葉が落ち始めた頃、『佐武藩』『和泉藩』『津島藩』『和歌上藩』の四藩が連合を結成。
彼ら――四藩は破竹の勢いで幕府軍を制圧、およそ10日余りで都を占領した。
一方幕府は、情報を聞くや否や、北方のエニシエへ逃亡、エニシエ共和国を建国した。
都を占拠した藩軍は一条鳳凰城へと入城、宮様へ謁見を申し出た。
「宮様、今や幕府は北方へ逃亡、宮様をここに置いて先早と逃げるなど、天に対する裏切りも同然」
「わかっておる、そもそも先々代のころから朕らに対する幕府の対応は、目にあまるものだった……朕らは、うぬらに賛同する」
宮様の言葉を聞き宮代理官――福元容保は奥の方から旗を持ち、それを藩軍へと渡した。
「これは”錦の御旗”うぬらに天が味方した証拠である、うぬらは今日から官軍である」
天を味方につけ藩軍もとい官軍は、将軍――源川嘉義のいるエニシエまで進軍、ついに共和国の柳稜城へ入城した――
城内に兵はおず、ただそこにあるのは無数の幕府軍の死体のみ、親衛組、幕臣、その他の女子供までもが、ただそこには倒れていた。
そして、それは将軍も例外ではなかった……
――数日後、新聞にて報道された『統一戦争終結、親衛組局長、副長行方知れず』と。
統一戦争終結後の倭は新進のユーランド国家――ドヴィリツ帝国を模範として、大倭皇国としてアルシアの近代国家として芽吹いた。
元号を天明とし、宮様とよばれた彼はのちに”天明天皇”とよばれることとなる。倭は内務卿――大迫利信のもとでアルシアの大国を目指すのだった――
大迫邸付近はいつも静寂に包まれていた。虫の鳴き声、風の音さえ聞こえない。ある深夜、ただ一つだけ違った。
多数の足音がゆっくりと官邸へ近づく。
足音と刀だろうか、何かが足音と同時に動く音が響いた。
足音は官邸で止まり、扉を開ける音が響く――
大迫利信 享年50歳――大迫が窓に近づき様子を伺おうと、布団から出た矢先の事だった。
内務卿死後の対応は迅速なものだった。大警視――河路憲之が臨時内務卿へ、内務卿暗殺を過激攘夷派とし処罰。
のちに正式に内務卿となり、国家を掌握した。
憲之の死後、子の憲利が内務卿となり、天皇は実権を失いお飾りといっても過言ではなくなってしまった――
――そんなある日、ある少年は刀を携え、この国を変える決意を胸に、ただ一人家の扉を開いた。




