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男の娘が魔女になって大変な目に遭う話  作者: クエクト1030
1章 魔女社会というもの
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26話「編み編み」

「おはよー!」


「おはようございます」



 翌日、僕たちがロビーに顔を出すと。



「おはよぉ?ございま?す……ぷふっ」


「フレスノ先輩笑っちゃだめですよ……!」


「ふっ。朝チュン」






 思いっきり三人に茶化された。







☆☆☆




「おはよー、ミコくん」


「おはようございます」



 昨日、まだ日も出ているというのに夜を共にした僕たちは、今日の昼過ぎに目を覚ました。隣では布団をまた被って満足げに笑ってゴロゴロしている恋人の姿が見える。


 まぁ、可愛いから時間とかはさしたる問題ではないのかもしれない。

 うん、どうでもいいよねそんな事。

 僕もまたベッドに寝っ転がってゴロゴロすることにした。



「〜♪」



 ただ寝っ転がるだけでも、ベッドがこうもフカフカしてると気持ちよくて楽しい。家に居た頃には全く想像していなかった感覚だ。

 そうしてごろごろしたり、横になりながらぼんやりと時を数えていると……ふと、ある事が頭に思い浮かぶ。




 ────ゴム、したっけ?




 そもそも魔法世界にゴムという概念があるのかはわからないが、ともかく急激に冷や汗が出てくるのを感じる。



「あ、あの。リーベさん」


「むー、またさん付けしてる」


「いやその。リーベ……昨日って」


「むふふ。熱い夜だったね。思い出してまたシたくなっちゃった?」


「あ、いやそうではなくてっ」


「じゃあなぁに?」


「その。僕……ゴムしてました?」


「ゴム?」




「そんなの、してないけど。」




 思わず顔で手を覆う。おおう、マジか。

 これは……うん、責任を取るしかないな。

 現代日本の不足している保健体育の授業を受けている僕でも、ことの重要性が頭の中に次々と非常事態を告げていく。


 いや、大丈夫。リーベさんと二人ならきっと……


 あぁいや片親の子供はロクな親にならないって聞くしどうなんだろうな、僕きちんと父親出来るのかな。サンプルケースとは無縁だったし。




「そもそも必要ないじゃん、お互いに望まないと魔女は妊娠しないんだし」


「……へ?そうなんですか?」




 なん、だって?



「うん。というか女の子も生理コントロール出来るしそこら辺便利なんだよ。魔女の変容って初授業であったでしょ?」


「え、えぇ。ありました」


「その反応だとちゃんと聞いてないなぁ?しょうがないんだから……魔女の変容は単純な外見以外にも内側、内臓にも適用されるの。極端に言えば、ガン患者だっけ?が魔女になったらゆっくりと時間をかけてガンが治ってく。色々細かい作用順序とかあるらしいけど……まぁ私はそこは知らない」



 め、めちゃくちゃ便利だ。こんなの医者いらずじゃないか……



「まぁ魔法とか現象による病、呪い、毒とかにはどうしようもないけどね。あくまで物理法則による病は変容の範疇ってことだね。不調、変化っていう意味でも、生理や妊娠も対象になるの、それは男側も同じね」


「……つまり?」




「つまり、さっき言った通り。お互いに妊娠を希望しての行為じゃないと妊娠しないってことだね」




 やば。魔女って完璧な生命体じゃん。

 生理現象すらコントロール出来るって……なに、何なの?



「はーー……良かった」



 思わずベッドに倒れ込む。懸念が解消して本当に良かった。無責任に子供を作るとか本当に良くない、これ他の事にも言えるからもっと勉強しておかないと……



「ふふ、焦ったの?昨日はあんなに激しく──」




「わーー!言わなくていいですから!」




「ふふん」


「リーベさんだってあんなに乱れてたし。可愛かったからしょうがないじゃないですか……」


「……」



 二人して顔が茹だる。流石にリーベさんも指摘されると弱いらしい。



「こほん。えっと、とりあえずこのままいるのも何だし。ロビー顔出しに行かない?」


「そうですね」



 いそいそと衣服を見に纏う。

 下着を身につけシャツにスカートを履いていく。




「そうだ。せっかくだし、お互いの髪の毛弄らない?」




 帽子を被ろうとした時、リーベさんはそう提案した。



「髪の毛ですか?でも僕、後ろでまとめるくらいしか出来ないですけど……」


「大丈夫大丈夫!教えてあげるから!じゃあ分かりやすいようにミコくんのからやろっか。見本ってことで、ね!」



 そう言って、リーベさんは僕の髪の毛を弄り出した。

 物理世界にいた頃から伸びていたけど、魔法世界に来てからは更に伸びるのが早くなったような気がする。


 幸い魔法のお陰で髪の毛を洗うのも簡単だったから、せっかくだし伸ばしていたのだけど。



「〜♪」



 伸ばしていたのは正解だったみたい。

 リーベさんは鼻歌を歌いながら髪の毛を編んでいる。

 何の淀みもなく髪の毛は操られる。



「はい、三つ編み。簡単でしょ?」


「おぉぉ、すごい」



 ものの一分やそこらで僕に三つ編みが出来上がる。

 触ってみるとふんわりしていて、髪の毛が逸れる事もなく綺麗に仕上げられてる。あと髪の毛が纏まってるから、何というか軽い重さが伝わる。

 頭についた尻尾みたいな。



「そんな感じで私の髪の毛も弄ってごら〜ん」


「けほん。では失礼して……」




☆☆☆




「いひひひ、それで、そんなぼさぼさの三つ編みになってるんですか!?」


「こら!そんなに笑わないの!」



 結論から言う。諸君、僕は失敗した。

 やってもらったようにふんわり仕立てになんか出来なかった。

 出来あがったのは逸れた毛を生み出しながらも、のぺっとただ三つ編みを組みました、と言いたげな髪の毛の束だった。

 


「笑うなら笑ってください……」


「初めならみんなこんなもんだって!」


「ふふっ……ぶふー!」


「ふんっ!」


「いったぁ!」



 またフレスノ先輩、拳骨食らってる……

 くっ。人が頑張ってやったものを笑うなんて……と言いたいけど自分でも酷い出来なのは分かりきってるから責める気にすらならない。



「わ、私も三つ編みしてほしい……!」


「リーベさーん、アン先輩が三つ編みを」


「ミコくんに……」


「僕に!?」


「ほほー。」


「僕下手くそですけど……」


「そ、それでもいいからっ」



 そうですか、と答えつつもアン先輩にも三つ編みを作る。

 やっぱりお世辞にも上手いと呼べる仕上がりではなかったけど、アン先輩は満足してくれたようで、不出来な三つ編みでも嬉しそうに撫でてくれていた。


 ……あと何故かリーベさんの視線が怖かった。




 その後は流れで編み編み大会が開催されて、ショートのムネメ先輩以外が参加した。

 いや、ムネメ先輩も自分の髪の毛を編めないだけで、他人の髪の毛を弄る事には参加してたけどね。


 編みながら昨日は何をしたとか、ナニをしていたんじゃないんですか、とか。色々と茶化される。僕は恥ずかしいのと一応プライバシーで言わなかったのに、リーベさんは普通に自分の痴態含めて喋るんだから恐ろしい。




 女子は……怖いのかもしれない。




「「自分のはめんどくさいけど、他人の髪の毛に好き勝手にするのは面白いよね〜」」



 ……そして、そんなお喋り会を兼ねた編み編み大会の最中、こんな言葉が何度も呟かれた。


 普通に失礼というか自己中な考えだと思うんだけど。





 最終的には僕も納得するようになってしまったのが、何とも悔しい。

 これにて一章は終了となります。お付き合い頂きありがとうございました!

 二章はまたストックを作ってから投稿する事になります。


 あと、文の作り方も進行形で勉強中なので幾つか習作を作ったりと時間がかかると思いますが、気長にミコくんの話は続けていきたいと思っています。変わらない応援、どうかよろしくお願いします!

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