崩壊のチャイム
本作は、魔法や術が当たり前に浸透している世界で日本の高校に通う平凡な主人公が争いに巻き込まれていくといった物語です。転生で書いてく予定だったんですが、世の中に溢れすぎていて個性が無いと思ったのでこのような設定にしました!(嘘です。本当は話が突飛になりすぎて上手く書けなかったんです。)ぜひ読んでいってください!
「このことから、あー……七百年前に、なぜ茜術が、ね、えー世界中で確認されかたは、えーはっきりとは分かってないんですね。えー」
(相変わらず母音伸ばしすぎだろハッキリ喋れや……)
俺の名前は凛堂坂 李玖。固有術未発現の高校生……今授業してるハゲはもう三十年も生物歴の授業やってるそうだが……全く話が入ってこん。
「また、あー固有術の取得をした者に法則性は無いと考えられており、いー幼少期から既に茜術が発現していた者もいれば、あー七十代になってから発現した者も、います。幼い頃に発現した者は、あー肉体が最盛期を迎えたタイミングで老化は止まり、遅く発現した者は、あーその時点で老化が止まり、いずれも他殺や自殺等の外部の要因が加わらない限りは死亡しません。いやー…先生もね、若い頃は茜術が欲しかったよ。うん。今から発現してもね。遅いからね。まあここらへんは一般常識だからね。みんな知ってるでしょう。ね。それじゃあ本題入ってくんだけど……」
(クッソつまらん…)
「なあ、リク」
「ん? どったの」
コイツは奇跡的に隣の席になった唯一友達と呼べる男のハル。どうやらハルもあのハゲの喋り方にイラッときてるみたいだ。そりゃそうだよな…シンプルに聞き取りづらい。
「リクってさぁ茜術持ってねえんだよな?」
「あぁ。俺も欲しいぜ……発現せずに一生を終えるなんてつまらねぇ」
「でもさでもさ、発現しちまったら反社の奴らに目ぇ付けられて無理矢理仲間にさせられるって話だぜ? いいのかよ」
「そんなの噂だろ? 実際よぉ、固有術持った人間は今までの人生で何十人か見たことあるけど、普通に生活してるし。茜術使って犯罪やってる奴なんて見たことあるか? そもそもモノホンの反社自体見たこと無えのに。俺等の住んでる地域は全体的に平和だろ……そりゃあ数キロも離れれば無法地帯が広がってるけどさ」
「そりゃそうだけどよ……ていうか、うちの学年に居んのかな?茜術隠し持ってるやつ」
「さすがに居ないだろ……俺とハル含めて四十人このクラスにいるけど、それっぽい奴なんて一人も居ねえ。他のクラスもそうだろうよ」
「そうだなー……」
確かに……否定はしたが、もしかしたら居るんじゃないか? 茜術が発現したのを家族含め全員に黙ってる奴。居たら羨ましいな。その時点でこの地区から出なければ不老不死が手に入ったようなもんだ。
「今となっては、あー当たり前となっている術。それには、えー大きく分けて三つ種類があります。一つ目は、あー自身を本体として何かしらの生物を呼び出し、護らせ、共に戦う『守護獣』二つ目は、実物の武器を媒介としてそこに術を発動させて戦う『醒闘士』三つ目は特殊な鉱物結晶が埋まった杖を持ちそれを操って戦う『奇術師』そしてこの杖に埋められている鉱物結晶は、あー……よく分かっていないみたいらしい。で、えー……なぜ七百年前に急にこのような現象が発生したかと言うと、当時に茜術が発現した人の話によれば、この世界の神とやらが普通すぎる世の中に飽きたから、ゲームやアニメや漫画のような世界にしてしまおう。と思い立ち、世界を変えたそうだ。本当にこんなことがあるんかねえ…この話はあくまで、何かしらの身体の変化による幻覚とされている。神様が居るっていうなら会ってみたいもんだよ。で、えー当時に茜術を発現させた人達はその大多数が術者組織の争いによって死亡。その争いの影響で茜術が広まる前に比べて日本の国土面積は変わらなくとも、えー…まともに機能してる地域は国土の半分と少しになってしまい他はスラムやら無法地帯となってしまっています。」
(これ、授業でやる必要無え内容だよなどう考えても……ただの一般常識だ)
そう思いハルに視線を向けると、同じように退屈そうな顔をして黒板を眺めるハルが居た。授業早く終わらないかなー……
“キーンコーンカーンコーン”
と、ここで無機質なチャイムが鳴る。ハゲが終わりの挨拶をする前に俺は目を閉じ座ったまま軽く背伸びして休み時間のことを考えていた。
「ハイ、じゃあね、続きは来週の授業でやり…………」
そこでフッとハゲの声が止まった。変だと思い目を開けると、衝撃的な光景が広がっていた。俺の目の前に青空が見えたのだ。
教室の前半分程が綺麗に削り取られている。
「え…コレ、え?」
「リク! なにぼーっとしてんだ!! 逃げるぞ!」
「ハル……え、コレ何…………」
「どう見ても術だろ! 破壊されたんだよ学校が! また攻撃される前に逃げようっつってんの!」
まさか、そんなことがあるのか。確かに、ここから十キロ程度離れれば犯罪組織が仕切ってるスラムのような場所はある。だが、平和な側に住んでる人間は皆薄っすらと、遠い異世界のように思っていた。
茜術による攻撃も全く想定していなかったのだ。しているわけがない。ただ、目の前に起こっている光景だけが俺に現実を叩きつけてきて、逃げなければという本能が湧き上がった。
夢中でハルと走り続け、気がつけば通学路の商店街まで来ていた。これから一体どうなってしまうのだろう。




