38話 風邪に気をつけて
「ふわぁ〜〜〜、朝かぁ」
目が覚めて小さな欠伸をひとつ、でも今日はいつもとはなにか感覚が異なるような……?
「なんか寒気がするような……? それに喉も痛いし……」
おでこに手を当ててみる、すると熱が手のひらに伝わってくる。
……風邪だね、これは。とりあえずみんなに伝えに行こう。
「お、カオル。起きたか、朝食出来てるぞ」
キッチンに行くとミリアちゃんが出迎えてくれた、ミリアちゃんに熱が出てることを伝える。
「どれどれ……うわ、確かに熱いな。昨日の雪合戦のせいか?」
おでこに当てられたミリアちゃんの手が冷たく感じる。
「とりあえず部屋に戻っておいてくれ、食欲はあるか? 普通の食事が食べられそうになければおかゆでも作るぞ」
うーん、確かに食欲が出ないかも。ミリアちゃんにごめんねの言葉と共に伝える。
「なに、いいってことよ。それじゃあすぐに料理して持っていくから安静にしといてくれ」
言われた通りに自分の部屋に戻ってベッドに潜り込む、思えば昨日の時点で熱っぽかったから注意すればよかったなぁ。
「おーい、カオル、おかゆ作ってきたぞ」
ちょっと休んでいるとミリアちゃんが部屋に入ってくる。
「急ごしらえだから口に合うかわからないが、自分で食べれるか?」
大丈夫だよ、と応えておかゆを口に運ぶ。優しいけど適度に塩味が効いていて、あっという間に完食してしまった。
「その食べっぷりなら問題無さそうだな、あたしはこれから風邪に効く薬を探してくるから何かあったらユニ達に声をかけてくれ」
……そう言えば、風邪ってわたしの治癒魔法で治せないのかな?
集中して治癒魔法を発動させようとする。だけどイメージがわかずに魔力が発散してしまった。
「あー、治癒魔法で治せないのかって思ってるな。残念だが出来ないぜ」
心を読まれてた、ちょっと恥ずかしい。
「治癒魔法はな、切り傷や擦り傷には使えるが風邪や持病みたいな体調不良には使えないんだ。不便だよなぁ」
なるほど、勉強になった。
「それじゃあ行ってくるぜ。あと、3人から伝言だ、お大事に、何かあったらすぐに言ってね。だとさ」
ありがとう、行ってらっしゃい。とミリアちゃんに言って再びベッドに横になる。何だか頭がぼーっとしてきた、それに眠気も……
「……さん、カ……ルさん……」
……ん、これはユニちゃんの声?
「はーい!」
慌てて応える、するとユニちゃんが桶を手に部屋に入ってきた。
「あら、起こしてしまいました? すみませんわ」
「ううん、大丈夫だよ。どうしたの?」
「汗をかいてると思いましたので、身体を拭いておこうと思って用意してきましたわ」
うーん、気遣いは嬉しいんだけどちょっと恥ずかしいかも……
「ありがとう、でも1人でも大丈夫だよ」
すると、ビシッと指を指してユニちゃんが言う。
「もう、カオルさんはいつもそうですわ! 偶には私達を頼ってくださいな」
「恥ずかしいのもわかりますが、タオル有りとはいえ裸の付き合いをした関係ですし、ね?」
そこまで言われちゃ頼らないわけにもいかないよね。
「……ありがと、それじゃあお願いしようかな」
服を脱いで、ユニちゃんに身体を拭いてもらう。まずは上半身。
「……それにしても、ほんとにカオルさんって無駄毛とか無いのですわね、羨ましいですわ……」
レーザー脱毛とかしたおかげなんだけど、ユニちゃん達に話しても意味不明になるから黙っとこう。
「……よし、上半身は終わりましたわ。下半身もしますわね、局部はカオルさん自身でお願いしますわ、私は後ろを向いておくので」
言われた通りに自分で股関部を拭いておく、蒸れて痒くならないようにしないとね。
その後、足もユニちゃんに拭いてもらっておしまい、さっぱりしたね。
「それでは失礼しますわ、夕ご飯も消化のいい物をアリスさんとツバサさんが用意してますわよ。出来上がったら持ってきますわね」
その後、夕ご飯もアリスちゃんが持ってきてくれた。
「カオルお姉ちゃん、ごめんね。私が雪合戦しようって言ったせいで……」
「ううん、アリスちゃんは気にしなくていいんだよ。楽しかったしわたしが体調崩しちゃったのとは関係ないよ、きっと」
「……ありがとう、カオルお姉ちゃん。これ、風邪のお薬だって。飲んでね」
そうしてお薬を飲んでゆっくり眠る。そしたらいつの間にか翌日になっていた。
「……うん、熱も下がったかな」
熱っぽくないし、体調不良も無さそう。治ったのかな。
「薫、体調は戻ったのか?」
キッチンに行くと、翼くんが朝食を用意していた。
「うん、大丈夫そう。心配かけてごめんね」
「……無事ならよかった。朝食ができた、食べられるか?」
そうしてみんなと一緒に朝ごはんを食べる、美味しい。やっぱり健康が第一だね。
そうしてちょっとした騒動も無事解決したのでしたとさ。




