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相棒はテントで1人暇を潰す

お久しぶりです_(._.)_

更新再開と言いたいところですが、更新が安定するまでは不定期更新になりそうです。

お付き合い頂けると幸いです。


 異世界生活5日目の朝は、気怠い充足感と共に幕を開けた。


 昨夜は久しぶりにスッキリしたことで、グッスリと眠ることが出来たが、どうにも罪悪感を感じてしまう。

 それは、少女の隣でしてしまった事に対してのと言うより、最後の瞬間に一昨日見た少女の下着姿を思い浮かべてしまった事に対する罪悪感であった。


 だが、俺は何も間違ってはいないはずなのだ。むしろ隣に魅力的?な少女がいるのにネタにしないほうが失礼では無いか。


 等と理論武装するも、心という物はなかなか納得してくれない。困ったものだ。

 

 ベッド脇のサイドチェストの上に置いたヤカンから、自分用のマグカップに麦茶を注いで一息にあおる。

 隣のベッドではミノムシの如く毛布を被って丸まった塊から、安らかな寝息が聞こえてくる。


 俺はホッと一息ついてからリュックから自分の分の朝食を取り出し、遅めの朝食を摂る。

 明るさからして、陽が昇ってから2時間は過ぎているだろうか。

 昔の生活からすれば早すぎる時間帯だが、宿の外で人々が動き出している音を聞く限り、この世界では起きていて当然の時間帯のようだ。

 

 朝食を食べていると、匂いに気付いたのか隣のミノムシがモゾモゾと動き出し、さながら蝶が羽化するかのように、毛布の中から小森ちゃんが産まれ出でた。

 視線を中空に彷徨わせたままの彼女は、鼻をスンスンと鳴らすと「ごはん」と一言呟き、そのままペシャリと崩れ落ちる。


「おはよ小森ちゃん。リュックは枕元に置いとくから朝食、済ませといてな。俺はちとトイレに行ってくるからさ」


 わずかばかりの気まずさを振り払うようにして、寝ぼけ眼の彼女に朝の挨拶を済ませて部屋を出る。

 俺は荷物を持ってトイレに向かい、出す物を出すついでに昨夜使ったティッシュ等を捨ててしまう。

 証拠隠滅完了! これで完全犯罪の成立である。


 部屋に戻ると小森ちゃんはやっとこ起き出し、朝食をモソモソと食べていた。

 どうにも眠そうだが、あれだけ寝てまだ寝足りないのだろうか?

 まあ自分も、若い時は幾ら寝ても寝足りなかったのを思い出し、そういう物かと納得しておいた。



 食事が済んだら、今日も悪草狩りへと出発だ。

 相変わらず身体はミシミシと悲鳴を上げているがいい加減慣れて来たし、これが何の痛みなのか想像はつくので我慢も出来る。


 悪草の繁殖地帯でテントを設置し、昨日洗って生乾きだったタオルや下着類を干したら、まずは魔導拳銃の試し打ちだ。


 魔導拳銃を手に取り、魔力を一定まで込めると拳銃が淡い光を放ち、魔力の吸収が停止する。

 体感的に消費する魔力量はそれほど多くは無さそうだ。


 拳銃側面の魔力の充填状況らしきゲージは満タンとなっており、目盛りの数からすると満タンで6発分。

 持ち手の上部にセーフティらしきものが有り、それを下ろして準備完了だ。

 

 地面から突き出た直径50㎝ほどの岩が有ったので、それに向かって引き金を引くと、「パスッ」という軽い音と共に、魔力弾らしき光弾が発射される。

 貫通するほどの威力では無かったが、岩には10㎝ほどの深さの穴が開いており、人を殺傷するに十分な威力であることを物語っていた。


 まあ最初から小森ちゃんの護身用にしようと考えてたけど、はたして彼女に持たせて大丈夫なのだろうか?


 うっかり誤射して怪我でもされたら事だし、不用意に使って問題でも起こされたら困る。

 とはいえこのまま丸腰のままというのも問題だろう。


「小森ちゃんは護身用にこれを持っておくといい。ただし、身を護るとき以外は絶対に人に向けて撃っちゃダメだからな!」

「あ……はい、ありがとうございます……」


 おかしい……。

 『内弁慶』発動中の彼女ならもう少しこう、新しい玩具を前にした子供のようになるかと思いきや、この上の空。

 これはこれで心配になるな。

 

「どうした、何かあったのかい?」

「な、何もないですから! その……気にしないでください」


 そういって目を逸らす彼女に、話す気は無さそうだった。

 まあいいけどね。


 魔導拳銃を彼女に渡して、代わりに「魔導ライフルType-A」を出してもらう。


 同じように試してみたのだが、こっちのセーフティは弱、中、強の3段階に別れており、側面のゲージを見る限り、弱で240発、中で60発、強で15発撃てそうだ。

 威力に関して言えば、弱は魔導拳銃よりも僅かに低く、中なら魔導拳銃の威力を軽く上回る。強で打つと標的の岩が消し飛んだ。

 しかし消費魔力はなかなかに多く、1回の充填で俺の魔力の半分近くは持って行かれたはずだ。


 ちなみに連射速度は毎秒3発程度、有効射程は500mといったところで、発射音は「ポワン」って感じだ。

 気が抜ける音を面白がって連射し、「ポワワワワワン」とか鳴らしてあっさり残弾がゼロになったのは内緒だ。


 ★4武器なだけあって性能については申し分無いが、やはり残弾には注意が必要だろう。

 調子に乗って撃ちまくりいざと言う時に弾切れ、とかなったら目も当てられない。


「あー、悪いけどこの小銃の魔力充填を頼んでもいいか?」

「あ、はい、もちろん良いですよ。――――はい、どうぞ」

「ありがと、ちなみに魔力消費はどのくらいだった?」

「う~ん、たぶん1割くらいでしょうか? このくらいならお安い御用です」


 ということは、小森ちゃんの魔力量は俺の5倍くらいなのか? 

 パラメータ数値的には俺が7で彼女が12と、2倍にも届かないのにこの差は何なんだろな。

 とはいえ多くて困る事は無いだろう。


 無駄ステだと思ってた彼女の魔力だったが、今後は魔力タンクとして存分に役に立ってもらおうと思う。


「そっか、頼りにしてるよ。じゃあ俺はこれから悪草刈りに行くけど、留守番よろしくね」

「はい、行ってらっしゃいです」

 

 彼女とテントで別れて高枝切りバサミを携えた俺は、魔導ライフルを肩から下げて悪草刈りに向かうのだった。




 テントから480mは正に俺の草刈場だった。比喩でもなんでも無くね。

 刈場に着いてから午前中の約4時間で、約1500本もの悪草を刈り取ることが出来た。

 レベルは7から8に上がり、たぶん間もなく9になるはずだ。順調だな。


 そうやって俺が頑張っていた間、小森ちゃんが何をしていたのかと言えば、どうやら魔導拳銃で悪草を狙い撃っていたらしい。

 魔導拳銃を撃つ音が微かに聞こえたし、マップ上で悪草が魔石を表す紫点に変わっていたので、それが分かった。

 

 きっと他にする事が無いのだろうな。

 洗濯は食後に俺が着替えた後で、まとめて洗って収納し翌日乾かすようにするそうだし、『通販生活Lv3』では漫画等の娯楽は手に入らない。

 『内助の功』のスキル発動条件で拠点内にいなきゃならずに暇な小森ちゃんが、ちょっと可哀想にも思えたが、やはり他のスキルを優先すべきだろう。

 しばらくは我慢してもらうしかない。


 午前中に身体と頭を洗ってすっきりした小森ちゃんと一緒に昼食を取りつつ、現在のステータスを確認する。


┌─────────────────────

│【小森 陽雪】引きこもりLv8

│[パラメータ]

│ 筋力:1(+2) 耐久:1(+2) 敏捷:2(+3)

│ 器用:5(+2) 魔力:7(+5) 精神:1(+4)

│[クラススキル]

│ 内弁慶、情報端末[T]

│[コンビスキル](SP:2)

│ 通販生活Lv3、収納上手Lv2、内助の功Lv3

│[ドレススキル]

│ 聴覚強化、敏捷強化[小]

├─────────────────────

│【山城 護】自宅警備員Lv8

│[パラメータ]

│ 筋力:3(+2) 耐久:2(+2) 敏捷:2(+2)

│ 器用:6(+5) 魔力:5(+2) 精神:3(+4)

│[クラススキル]

│ 内弁慶、情報端末[S]

│[コンビスキル](SP:5)

│ 拠点設営Lv1、遠隔回収Lv1、領域拡張Lv4

│[ドレススキル]

│ 消臭

└─────────────────────


 俺のSPが5まで貯まり『領域拡張』のレベルを上げたいところだが、Lv11で取得可能なスキルの為に残しておくことにした。


 そして、今日の小森ちゃんは猫のようだ。


 何が猫なのかというと、ステータスのドレススキルを見てもらえば一目瞭然だ。

 今現在身に着けている装備のスキルが表示されているのだからているのだから、何を装備しているのかがそこから予想可能だ。

 そして彼女が所持している動物パンツシリーズは、プリントされている動物の柄によって強化される能力が異なる。

 つまり、今のように『敏捷強化[小]』が付いているなら敏捷の猫パンで、『魔力強化[小]』なら魔力のウサパンなのである。


 ニヤニヤと彼女を見ていた所為で怪訝な顔をされたが、彼女がこの事に気付くにはしばらく掛かるだろう。

 ふふ、しばらくはこのネタで楽しめそうだな。


 そんな俺に罰が当たったのだろう――。

 

「あ、そうでした。また1回だけ11連ガチャったのですが、こんなのが当たりまして。よろしければどうぞ」

「そっか、まあ1回だけならいいか。うわぁ、これって……」


 ――彼女が俺に渡したのは、動物の象を模した男性用下着であった。

 「耐久のゾウパン[M]」と言うらしい。このシリーズ男性用もあったのね……。


 どうやら男性用は、大型ディスカウントストアとかでジョークグッズと一緒に売られているような物で、股間部からは象の鼻が垂れ下がっている。


 なるほどここにアレを入れるのか、って勘弁してくれよ!


 いやでも、これを穿くだけで耐久が上がるんだよな。

 耐久が上がるって事は体力的にも有利になるって事であって。


 う~む、やはり見た目を気にして有用な物を使わないって手は無いよな。

 小森ちゃんにも実益優先でお願いしている手前、自分も我慢せねばなるまい。



 食後はテントに入り歯磨きを済ませて身体と頭を洗って、さっそく「耐久のゾウパン[M]」を装備してみる。


 これで良しと、ステータスを確認してみた訳だが、何故かドレススキルが付いていなかった。

 どうやらちゃんと装着しないと、装備したと見なされないようだ。

 ちゃんとと言ったらちゃんとだ、前の筒にアレをだなぁ……ま、言わなくても分かるよね?


 ともあれ結果として、鼻の長さが少し余って残念な気持ちになった代わりに、『耐久強化[小]』を身に付けることが出来た。

 これで悪草刈りも今以上に捗る。

 

 サッパリした身で悪草を1時間ほど刈ってみたが、心なしか疲れにくくなったように思えた。

 レベルも間もなく9に上がって、あと2つ上がれば新スキルだ。

 などとステータスを見つつ皮算用していると、ある事に気付いてしまった。


 小森ちゃんのドレススキルから『敏捷強化[小]』が消えているのだ。

 こ、これは!?


 プライバシーもくそも無いな……トイレ中とか普通にバレるやん。

 なんだかもやっとするし、後でさりげなく小森ちゃんにも教えてやろうか。


 そう決意した訳だが、5分経っても10分経っても彼女のドレススキルが戻る事は無かった。

 もしやトイレ中に何か有ったとか?

 トイレ中や風呂の間が最も刺客に狙われやすいというし、様子を見に行った方が良いかもしれない。


 そう思い、テントに近づいて様子を窺うと――。


「ん……あ…………はぁ……」


 ――悩まし気な声が漏れ聞こえて来たのだった。


 どうやら、別の意味でお取込み中だったようだ。

 参ったねこりゃ。


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