第六話『絶望と復活の捕食者』
天津猫です、前回に戦闘シーンがあると言いましたが、申し訳ございません、それは次回になってしまいますが、どうか最後まで読んで頂けると幸いです。
ではどうぞ!
第六話『絶望と復活の捕食者』
ウィーチア旅行の一日目を終えたなぬい達はホテルで体を休めた、音水祭の前日祭での目玉である劇を見ることが出来なかったので、音水祭本番を全力で楽しむことにしたのである。
————ウィーチアの大広場
現在時刻は朝の8時50分、なぬい達はウィーチアの大広場にて音水祭の開幕宣言を待っていた、開幕宣言が始まるのは9時の為なぬい達は残りの10分を持て余していた、そこになぬい達を後ろから声を掛けた人がいた。
「よ!お前らおはようさん!」
「おはようございます皆さん」
「菊さんじゃないですか…それにマレナちゃんまで」
「もうすぐ音水祭だろ?俺たちも開幕宣言を見に来たんだ!」
「じゃあ一緒に見ませんか私たちと?」
「あぁ!そうさせてもらうぜ!」
菊とマレナであった。二人もなぬい達と同じで音水祭の開幕宣言を見に来たのである、そうして菊とマレナと一緒に音水祭の開幕宣言を見に行くため、ウィーチアの大広場の真ん中に設置されている号令台に足を進めていった。すると、レイナがある事に気づきなぬい達に質問をした。
「なんだか人が昨日よりも増えていませんか?」
「多分だけど自分たちと同じような旅行客だと思うよ」
「なぬいの言う通りだよレイナちゃん、今日から音水祭が始まると言うことはオルガネを聴きに着たり、ウィーチアの郷土料理などを食べに来る人たちは僕たち以外にも居るからね」
今日から始まる音水祭を楽しむために来る旅行客はなぬい達だけではない、それどころか、音水祭前日に来る旅行客の方が珍しいほどである、だが浩介は音水祭当日にウィーチアに行く事の恐ろしさを良く知っていた、それは列車の中がぎゅうぎゅうになる事である。
「どうしたんですか浩介先輩?」
「何でもないよレイナちゃん……ただ、音水祭当日に来るなんて馬鹿だなぁ~って思ってね」
「「「「「「え?」」」」」」
浩介の言葉に理解できなかったなぬい達と理解できた菊とマレナ、浩介は笑いながら旅行客の顔をよく見るように促した、促されるまま旅行客の顔をよく見ると、やつれていたのである。
「なんか……すごく……やつれてません?」
「ふ、ふ、ふ、あれが音水祭当日にウィーチアに来る愚か者どもだ!見ろ!前人がゴ「言わせねえよ!」」
普段の浩介から一変してどこかの大佐のようなセリフを言おうとした浩介、それを頭をたたき妨害した陽太であった。
「でもどういう事なんです?音水祭当日に来ただけであそこまでなるんですか?」
「レイナちゃん達はあれを知らないからなぁ~」
浩介の言うあれとは列車の中での旅行客の多さである、余りの多さに小さい頃の浩介は一両車から五両車まで流されるほどである、その為浩介はあらかじめに音水祭の前日に列車の座席を取っておいたのである。
「お~い!そろそろ開幕宣言が始まるぞ!」
浩介の悪い顔からの解説にドン引きしていたなぬい達の下に菊が元気な声を上げた、それを機になぬい達の興味は浩介の悪い顔から音水祭の開幕宣言へと移った。
「皆様!今年も皆様の協力の下!無事に音水祭を開幕することが出来ました!それでは皆様!ご一緒に音水祭の開幕を数えましょう!!」
「「「「「「「「3!……2!……1!」」」」」」」」
「音水祭開幕!!!!」
「「「「「「「「「「「「うぉおおおおおおお!!!!!」」」」」」」」」」」」
ウィーチアの本当にお爺ちゃんかと疑うレベルの声を出した長老による、開幕宣言によって始まった音水祭の開幕である。
「よっしゃあぁあああ!!行くぞ!」
「ちょ、ちょっと陽太!!」
音水祭が始まった途端に何処かに行ってしまった陽太とそれを追いかける有馬、それを見たなぬい達は全員で顔を見合わせ頷いた。
「ほな予定通りここからは二人一組の自由行動としよか、またウィーチアの大広場に集まるのは6時間後やで」
「このことも陽太と有馬に会った人は伝えておいてね」
「「「「「「了解!」」」」」」
各自が別方向歩いて行った、それはなぬいとレイナも同じであった、二人は顔を見合わせさっそく屋台が並んだ居る所に足を運んで行った。
「見てください!なぬいさん!」
「デッカイわたあめだね……」
最初に綿あめ屋に行ったなぬいとレイナは驚愕した、殆どの屋台では30cmのわたあめが主流だが、ここウィーチアでは50cmという破格の大きさである綿あめを売るのが主流であった。
「…………」
「…………食べたいの?」
「えっ!いや、その、………食べたいです……」
綿あめをジーと見つめるレイナになぬいは食べたいかを聞いた、すると、最初は慌て否定していたレイナであるが徐々に顔を俯かせ、顔は見えないが耳が赤くなっていることから赤面していると分かり、小さい声で食べたいと言ったいと答えた。
「ちょっと待ってろ……」
「は、はい……」
「おっちゃん、綿あめ一個」
「あいよ!一個だから200円な!」
「はい」
「よし!ちょうどだな毎度あり!」
なぬいは綿あめ屋に足を向かわせ、店主のおっちゃんに綿あめを一個頼んだ、その後レイナの元に戻ると、綿あめをレイナへと手渡しまた歩き出した。
「ハム、ハム、美味しいです!」
「それは良かった」
その後、なぬいとレイナは射的屋に行ったり、射的屋で全く弾が当たらなかったレイナは涙目になっていたり、ため息を吐きながらレイナの代わりに射的をやり、目を瞑りながら全景品を見事当て店を出禁になったり。ウィーチアの音楽団の曲を聴いたり。迷子の子供を両親の下に連れて行ったり。気づけばウィーチア中を巡りまくり集合場所のウィーチアの大広場へと戻っていた。
「疲れましたけど楽しかったですね!」
「あぁそうだな……まさか射的で子供でも簡単に当てていた景品すら当てれないことにビックリしたが……」
「それは言わないでください!って言うか目を瞑ってるのに全部の景品を当てて、しかも出禁を食らったなぬいさんの方に私は驚きましたよ!」
「………………」
そんな雑談をしていると続々と皆が帰ってきた。だが、唯一傷だらけである陽太に困惑していた。
「陽太…お前…猫にでも引っかかれたのか?」
「……ん?……あぁ…そうだな……猫…だったな」
「……随分と暴れっぽいんだな……」
「暴れっぽい?……いや…どちらかと言うとか「フン!」……ガハ!」
陽太が何か言いかけたその瞬間、恐ろしく速い蹴りが陽太の腹を襲う、その蹴りの正体は赤面した有馬による蹴りであった、そしてあまりにも精密すぎる蹴りのせいか陽太は一発でダウンしてしまった。何故有馬が陽太に蹴りを入れたのかは有馬のみが知る。
「えっと……取り合えず一人を除いて無事みたいやね……」
「はい……そうみたいですね……」
地面に撃沈している陽太を除き、なぬい、レイナ、有馬、アルメルト、浩介、春明、サヤカ、菊、マレナの全員が揃い、浩介は今日の夕食を食べる場所について話そうとした時ゾック!その場に居た10人が謎の殺気を感じた、地面に撃沈していた陽太でさえもその殺気に気づいて一瞬で立ち上がった。
「何か……来る……」
「何これ……何か恐ろしいものが近づいてきている」
「……空が暗くなっている」
「ねぇ?それから何か来てない……」
全員がその殺気を感じた瞬間にウィーチア全土に異変が生じ始めた、海は荒れ、風は強くなり、空が暗くさっきまで太陽が出ていたのが一瞬で雲で覆い尽くしてしまった。全員が異変に気付いた中サヤカが空に向って指を指した、サヤカが指を指した先には………………灰色のスライムの様な球体が空に浮かんでいた。
「 」
「アレは!」
「マレナちゃん、アレが何か分かるの?」
「アレこそが……リルラナ王国を滅ぼし……音の神リルギナと水の女神ラナが命を犠牲にして封印した……消滅の捕食者」
「「「「「「「「「!!!」」」」」」」」」
マレナの言葉に驚いていると消滅の捕食者が動き始めた、球体が体の形を変えて何百本もの触手を出し、ウィーチア中の生物へと触手を伸ばし始めた。
「危ないレイナ!」
「!…………ありがとうございます//」
なぬい達はその触手を回避した、レイナや他の女子たちは近くに居る男子に助けられた、だが逆になぬい達以外のウィーチア中の生物が消滅の捕食者の触手に捕まり————
「うわぁあああ!!」
「助けてぇえええ!!!」
————吸収されてしまった。その様子になぬい達は目を見開いたのである、そして全ての生物を吸収し終わると消滅の捕食者は触手を閉まってしまった。
「動かなくなった?」
「いや……何か様子がおかしい」
ドクン、ドクン、ドクン、脈を打ち始めたのである。
「脈を打っている……」
「アレが真の姿になろうとしている……」
「真の…姿?」
「リルラナ王国を滅ぼした消滅の捕食者の姿……それは巨体の姿をしていたと記されていた……」
「つまりアレは……」
「音の神リルギナと水の女神ラナが封印したことにより弱体化した姿」
「だが……自分達以外のウィーチアに居る生物を吸収した事により……元に戻ろうとしている」
「させるかよ!」
全員がその場で固まっている中、陽太がたった一人だけリボルバーの弾を消滅の捕食者に打ち込んだ。だが、その弾も吸収されてしまった。
「!」
「体が宙に!」
「重力がおかしくなっている!」
「マズイ!」
そして、消滅の捕食者の影響なのかなぬい達の重力がおかしくなってしまった、いや、周りの重力が狂ってしまったのである、そのためか何とか宙に浮いていた屋根の一部に各自別々に乗ると、消滅の捕食者を全員が目を離さないようにした。だが、消滅の捕食者は禍々しい光を球体中から放ち、ブシャ!球体から手が出始めたのである、すると、球体から切れ目が現れ、禍々しいオーラを放ちながらその姿を現した。
「…………」
「やべぇ……肌から感じるこの威圧感、とにかくやべぇ」
その姿は全身が灰色の肌に背中からは黒色の羽が生え、上半身は服を着ておらず下半身のみが獣の皮の様な物で隠されており、逆立った赤髪が後ろに流れるような長髪、赤い目が光る、右手には両手剣の様な物を片手に持ち、まさに魔王そのものであった。
今回も最後まで読んでくれてありがとうございます。次回の更新は日曜日の予定です。
それじゃあバイバイ!




