武士になるには部首を知れ
「まだまだ知らない名前ってあるよなあ」
年賀状を見ている光道。
「待って。知らない人から年賀状が来たの?」
真面目なツッコミがいると、ボケを潰してしまうことも。
「じいちゃんの古い友達だと思うんだけど、変わった名字なんだ」
日本には10万種の名字が存在するという。
「あんたの名字も大概変わってるけどね」
高村ではなく、篁である。
「日本語を学ぶ際の最も大きな障害が漢字なんだ」
欧米と比べて扱う文字数がダンチである。
「そうよね。ただ表意文字だから、意味を把握しやすいのと、文章が長くなるのを抑えられるメリットがあるわ」
仏陀は沙羅双樹で涅槃に入った。この文字列でしか言い表せない何かがある気がする。
「そう。日本語を巧みに操るにもまず漢字からなんだよ」
大人になってその言葉の漢字を知り、とんだ思い違いをしていたと気付くことも。
「LINEでやりとりするようになったけど、どういう漢字を書くか伝える場面はまだまだあるわ」
その漢字についてよく知らなければ、LINEでも間違って書いてしまう。
「たけかんむりに皇帝の皇、とかね」
ちょっと自分で言うのは不遜になってしまう。
「相手も漢字を知らないと、てんで伝わらないことがあるわ」
和菓子屋さんだけに、古文・漢文は得意な沙羅。
「ポイントは部首だね」
花は桜木、人は武士。
「確かに言えてるわ。部首の読み方って面白いのよ」
竹の下のブッシュを探す。
「読み方が分からないと、説明のしようがないからね」
耕の部首は教わらないと読めない。(すきへん)が(らいすき)れす。
「隹とかね」
これで唯の説明が出来る。天上天下唯我独尊を持ち出すのはオーバーだ。
「岐阜の阜って岐阜県民はどう説明してるんだろう?」
これで(おか)と読むのだと布武せねばなるまい。
「釆・采も覚えときたいわ」
これで采女の場所が伝えられる。
「舛なんて言えたらカッコいいね」
舜はむくげと読む。
「役の右側は(るまた)ね」
これが言えたら役者である。
「流川があれば、(まがりかわ)もある」
巡るに使われる。
「先の部首は(ひとあし)お先にね」
光道は逃げ足が速い。
「これは日本語がもっと好きになるから是非やって欲しいなあ」
「右に同じの(どうがまえ)だわ」
鬭の部首は(たたかいがまえ)と言う
「気を付けないといけないのもある」
「どんなの?」
「麥は絶対に言い間違えてはいけない!」
「麬にしてやろうかしら」




