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その五
「よう、遼、また夫婦登校か?」
そうからかってきたのは石垣 悟だった。悟は中学の頃から一緒で、よく鈴と3人で遊んでいたこともある。
「お前なぁ、くされ縁って言葉、知ってる?」
「もちろん!お前らが昔から仲よかったのも知ってるぞ!」
「ならそんなくだらないからかい方するなよ…」
「まぁまぁ、そういうなって…」
悟は椅子から立ち上がると、俺と肩を組んできた。
「昔からのくされ縁は、俺も同じだしな!」
「だな、お前のハイテンションと無駄なボディタッチは相変わらずだしな…」
「ははは!」
悟は笑いながら、俺の肩をバシバシと叩いた。悟はいつもこんな調子だ。俺は悟のボディタッチをかわし、席に座ると悟を含めた男友達とたわいない話をした。気が付けば鈴も女友達に囲まれ、さっきまでのふてくされた態度とは打って変わって笑顔で話をしている。しばらくすると、担任が入ってきて、俺らはいつもと同じように授業を受けていった。