表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【全属性耐性ゼロ】だったのに、全ての攻撃が効かない最強バグスキルを手に入れました※タイトル詐欺です  作者: Y.K
第1幕

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
44/300

保護者、やめてもいいですか?

宇宙戦争が起きるかと思ったら、なんかパンの会議が始まってました。


パンってすごいね。何でもできる。

たぶん宇宙の始まりも、焼きそばパンだったのかもしれない。


今回は、カグラの言葉が多元宇宙を揺るがしたり、

セリスティアが限界を迎えたり、スーツ着たパンがしゃべったりと、

まともな要素がひとつもない回です。


それでいいんです。パンだから。


「……ねえ、カグラ?」


朝、目が覚めて最初に飛び込んできたのは、セリスティアの声だった。


「んー……焼きそばパン……どこだっけ……」

「夢の話じゃなくて! 現実の話!」


俺が顔をあげると、セリスティアは寝癖のまま、頬をぷくっと膨らませてこっちを見下ろしていた。

白の庭園の朝はいつも穏やかで、鳥が鳴いて、空は高い。……はずなのに、今日はちょっとだけ、空気が張りつめてる。


「昨日のこと、ちゃんと覚えてる?」

「えーと……怪獣がパンで滑って宇宙に飛んでった……とか?」


「だからそれよ!なんで毎回こうなるのよ!?」


彼女は両手で頭を抱えたあと、ふっとため息をついた。

「私、こんな毎日になるとは思ってなかったのよ……。最初は、“保護者”って名乗るのも、ちょっと背伸びしたつもりだったのに……」


俺はむくっと起き上がりながら、口元に残ってた焼きそばパンのソースを指で拭う。


「……でもまあ、俺のこと守ってくれてたし、助かってるよ? マジで」


「だからそういうとこよ!!」


セリスティアが手をバタバタ振る。魔法でも発動するのかと一瞬びびったけど、ただの感情表現だった。


「“助かってる”とか“ありがとな”とか……それ、全部“次のやらかし”の前フリじゃない!!」


「え、バレてた?」


「バレてるわよ!っていうか、**むしろ“バグの前兆”**として魔導院の論文に書きたいぐらいよ……!」


朝から大騒ぎしてたら、どこからともなくミルミとアロマが顔を出した。


「おはよー! あ、ケンカ? ねえケンカ? 見ていい?」

「……ログ取りたいなら勝手にやって」

「アロマちゃんつめたっ!」


俺はぼんやりと朝の空を見上げながら、思った。


──セリスティア、保護者ってやつ、やめたがってるかもなあ……。


その日のブランチタイム。

白の庭園のテーブルにて──


「でね、記録をとってみたのよ、私」


セリスティアが、透明な魔導スクリーンをポンッと展開する。

そこには、俺と彼女が出会ってからの“事件”ログがズラーッと並んでいた。



•焼きそばパンを追いかけて、魔王城へ侵入

•焼きそばパンを焼こうとして、王立魔術院に喧嘩を売る

•焼きそばパンを宇宙に放って、観測機構をバグらせる

•焼きそばパンが時空を歪め、異世界に“パンの神”が降臨



「ねぇ……なんで全部、焼きそばパンが主語なのよ……」


「いや、パンは被害者だって。俺はただ、パンに導かれてるだけで……」


「もうね、あんたの人生、パンがラスボスなんじゃない?」


セリスティアは、額を押さえて深いため息をつく。

「私、ちょっと本気で考えてるの。“保護者”って立場を、降りること」


「……マジ?」


俺が目を丸くすると、セリスティアは神妙な顔でうなずいた。


「毎回、魔王軍とか観測機構とか、宇宙人とか、怪獣とか……もう保護対象が世界壊してんのよ?

どこに連絡すればいいの? 神様? 法王庁? 消防署?」


「まぁ……俺、たまに火も出すしな」


「そこじゃないっ!」


 


そのとき──


「カグラ=シノノメ、セリスティア=レーヴェ。観測機構より通達──」


突如、空中に観測機構のドローン球体が出現した。

その声は無機質で、だが内容は衝撃的だった。


「──“保護者機能の交代”が承認されました。近日中に、新たな管理者が派遣されます」


 


「……えっ」


セリスティアの目が、ゆらりと揺れた。


「ちょ、ちょっと待って!? 私、申請した覚えないんだけど!」


セリスティアが慌ててドローンに詰め寄るが、冷たく返される。


「……“申請ログ:セリスティア=アルマ=レーヴェ 第873件 嘆きの発言による自動申請処理”に基づき、保護者交代プロトコルを実行中です」


「えっ、それって……」


「“もう保護者やってられない”という発言を“本音”とみなし、機構判断で申請完了としました」


「そんな勝手なオート判定ある!?」


 


──そして。


空がぐにゃりと歪んだかと思えば、


ふわりと降り立った、新たな保護者候補がひとり。


「……やあ。初めまして。カグラさん。セリスティアさん」


──声が、やけに落ち着いてる。

背は高め、髪は銀色のショートカット。白いコートに、観測封印の紋章を片目に刻む。


「私が、新しい“保護者候補”……シオン=ヴァレアです」


「シオン!? え、うそ、なんであんたが!?」


セリスティアが素で驚くのも無理はない。

何故なら、彼は以前から、パンについてポエムを語りだした、自称・世界に意味を問う男である。


「焼きそばパンとは、存在の中間であり、崩壊と再構築の媒体だ」


「いや、それもう“保護者”っていうか“詩人”じゃね!?」


 


カグラは戸惑いながらも、なんとなく納得していた。


「いやでも……シオンなら俺のパンライフ、理解してくれそうな気もする……」


「待って待って待って! 本当に交代しちゃうの!?」


セリスティアは、なぜか不安げに叫んだ。

一方でシオンは静かにうなずく。


「彼の保護は、存在論的に非常に価値がある……パンの未来を紡ぐために、私は来た」


「その動機がダメだわ!」


 


──やがて、ドローンが淡々と告げる。


「なお、正式な交代には、当事者双方の“本音スキャン”による合意が必要です」


「……つまり?」


「“本当はどうしたいか”を、お互いに認め合えば、保護者の決定がなされます」


 


ふと、空気が静かになる。


──果たして、セリスティアの本音とは?

そして、カグラはどう答えるのか?


「では、保護者適性評価・最終フェーズ──“本音スキャン”を開始します」


ドローンが告げると、セリスティアとカグラの足元に、ふわりと光の円が浮かび上がった。


「ちょ、ちょっと待って、本音って……え、なに、嘘つけないやつ!?」


「心を可視化します。逃げ場はありません」


「最悪じゃん……!」


 


光のリングが、それぞれの胸元に優しく触れる。

次の瞬間──


 


「セリスティア=アルマ=レーヴェ、あなたの“本音”は──」


 


光の文字が、空間に浮かび上がる。


『本当は、カグラと一緒にいたい。もう、ぐちゃぐちゃでもいいから──“一緒”でいたい。』


 


「──」


場が、静まり返った。


セリスティアは、顔を真っ赤にして、そっぽを向く。


「……言ったじゃないわよっ! あれ、本音じゃないからっ! 見なかったことにしてっ!」


「いや無理だろコレ……ログ出てるし」


 


今度はカグラの番だ。


「カグラ=シノノメ、あなたの“本音”は──」


 


『正直、保護者って何なのかまだよく分かってない。でもセレスティアがいると、ちょっと安心する。焼きそばパンも冷えないし。』


「パン基準かよ!!」


「……でも、ありがとう」


セリスティアは、どこか泣き笑いの顔で、そっと呟いた。


 


──その瞬間。


ドローンがふわりと浮かび、冷たい声を放つ。


「“本音一致”確認。保護者継続──セリスティアに決定」


「うわぁぁぁぁ!! なんかもう、恥ずかしすぎて複雑ッ!!」


「シオン、ごめんな。でもパンの保護は任せた」


 


シオンは静かに頷いた。


「……理解した。私はパンを、詩とともに見守ろう……」


そして空へと消えていった。


 


──こうして、保護者の座は揺るがず。


だがカグラの周りには、ますますバグで奇妙な存在たちが集まりはじめる──


「それでは、新たなバグ干渉波が観測されました。対象:焼きそばパン。座標、複数世界線に拡散中」


 


セリスティアとカグラがようやくひと息ついたころ──

またしても頭上に、見慣れた“観測者ドローン”の影が映る。


「……あれ、また来たのかよ。今度は何だよ……?」


「警告:対象“焼きそばパン”の存在が、複数の平行世界で同時発生。観測上、以下の現象が確認されました」


 


● 世界A:全員が焼きそばパンで構成されている

● 世界B:パンが人を食べている

● 世界C:焼きそばパンが議会を支配している

● 世界D:焼きそばパンを巡る戦争が勃発中(既に第七次)


 


「いや、バリエーションおかしくね!? なんでパンが議会入りしてんだよ!」


「ていうか、人を食べるパンってなに!? 調理法逆転してるじゃない!」


 


セリスティアが頭を抱えて座り込む。

カグラは遠い目をしながら、そっとひとつの焼きそばパンを掲げた。


「……たぶんさ。俺の持ってるこのパンが、“元祖”だったんじゃないかって、最近思うんだよね」


「え? え? なに言ってるの? また世界の真理みたいな話してる??」


「だってこれさ、冷めないし。腐らないし。……あと、たぶん、世界をつなげる何かになっちゃってる」


「そんな大事なパンだったの!?」


 


その時。


空が、微かにゆらいだ。


「──観測干渉発生。パンによる世界線超越が、臨界点に到達しました」


 


頭上に、巨大なパンの影が落ちる。


「うわ、また何か来たっぽいぞ!? でっか!? あれ、宇宙戦艦くらいあるって!!」


「え、待って、パン戦艦ってこと? パン型なの? 名前は? **“S.S.ヤキソバ”**とかそんな感じ!?」


 


──そして、影の中心から聞こえてきた声は、


 


「……保護者、追加申請します。“多元世界焼きそばパン協議会”から派遣されました」


「なにそれこわい!!!」


「ようこそ、我々の世界へ。パンの力を、あなたに──」


 


パン戦艦《S.S.ヤキソバ》から降り立ったのは、

スーツ姿のパン頭集団だった。


名札にはこう書かれていた:


“多元世界焼きそばパン協議会 監査部隊”


 


「……なんかスゴいの来ちゃったけど!? なんでパンがスーツ着てるの!? どうやってボタンとめてんの!? ……っていうか、顔パンなんですけど!!」


 


セリスティアがすでにテンパりモード突入。

カグラは割と冷静にパンをかじりながら彼らを見つめていた。


「うん……やっぱ焼きそばパンって、いろんな世界で重宝されてんだな……」


「いや、納得してる場合じゃないでしょ!? この状況、冷静に見たら異常よ!? 世界の終わりのワンシーンよ!?」


 


パン協議会の代表格(食パン顔、片眼鏡付き)が前に出る。


「我々は、過去にあなたが発した“パンに具を詰めただけで世界が救えるなら、苦労しねぇよな”という言葉に感銘を受け、観測を開始しました」


「俺そんなこと言ったっけ……」


「我々の世界では、その一言がパン宗教改革の発端となりました」


「なんかごめん」


 


代表パンは深く一礼した。


「カグラ=シノノメ。我々は、あなたを**“パンの可能性を超越したブレッドトランセンデント”**と認定し、全世界の焼きそばパンをあなたに託します」


「──って、重っっっ!!」


 


セリスティア、もはや完全に意識が遠のいている。


「……もうだめ、わたしの保護者メンタルが保てない……この子どこまで行っちゃうのよぉ……」


 


そのとき、カグラがふと空を見上げた。


焼きそばパンの形をした衛星が、

ゆっくりと夜空に浮かんでいる。


 


「──まあ……食えるなら、なんとかなるっしょ」


 


──その瞬間、

空から焼きそばパンがしとしと降ってきた。


どこかの世界線では、

雨ではなく“祝福”としてパンが降るのだという。


 


 


――そして夜は静かに更けていった。


 



次回予告(仮):


『保護者、やめてもいいですか?2』

「……さすがにもう、限界かも」

カグラの宇宙バグに振り回され続けたセリスティアの心に、初めての迷いが生まれる――。


本当に、保護していて大丈夫なのか?


ギャグと感情の揺らぎが交錯する、

シリーズ転機の回!


お楽しみに!


ここまで読んでくれてありがとう。

本当にありがとう。

焼きそばパンが空から降ってくるラスト、どう思いましたか?


さて、次回は少し雰囲気を変えて、

セリスティアが「保護者やめてもいい?」と悩む話です。

この作品、ギャグですけど、ちゃんと人間関係も描きます。たぶん。


ではまた次回、焼きそばパンとともに。

(胃もたれには気をつけて)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ