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【全属性耐性ゼロ】だったのに、全ての攻撃が効かない最強バグスキルを手に入れました※タイトル詐欺です  作者: Y.K
第1幕

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焼きそばパンがしゃべったんですが?

宇宙ベーカリー騒動の余韻も冷めぬまま、次にやってきたのは──しゃべる焼きそばパン!?

カグラたちの世界、ついに「パン自体が喋りだす」という新たなステージに突入しました。

パンは語る、パンは空を舞い、パンは大陸を形成する……。


もはやバグでもSFでも収まらない、パンの叡智(?)が炸裂する回、はじまります。

「……あー、腹減った」


朝、カグラはゆるゆるとベッドから這い出ると、手近に置いてあった焼きそばパンをもそもそと取り出した。


 


「今日もお前しかいねぇよな……」


 


そうつぶやきながら、パンにかぶりつこうとした瞬間──


 


「……その通りだ、我こそが“すべてのパン”の原点にして終点……」


 


「──っ!?!?!?!?!?!?」


 


カグラはパンを床に落としかけた。


今、聞こえた。確実に。

頭の中ではなく、パンの中から声が。


 


「誰だ!?てか、どこだ!? てか、なんでパンがしゃべる!?」


 


「落ち着け、カグラ=シノノメ……我はそなたの名を知っておる」


パンが、**“上下に小さく動きながら”**しゃべった。


「我が名は“ヤキソバー”。焼きそばパンにして、パンの祖たる存在だ」


 


カグラ「いやいやいやいや!? なんで俺のパンが自己紹介してくんの!?!?!?」


 


部屋の扉がガチャリと開く。


「ちょっと朝からうるさいわよカグ──って、なにそのパン!?動いてない!?喋ったよね今!?」


 


セリスティアも素でパニック。


 


「落ち着け。まずは聞け。──時は遥か古代、“パン創世”の時代にさかのぼる……」


「いや落ち着けねぇよ!?なんでナチュラルに回想入ろうとしてんだよ!!」



「……時は遥か昔──パンなるものがまだ“概念”でしかなかった頃……」


 


カグラとセリスティアは、ちゃぶ台を囲んで正座していた。

その中央には、湯気をたてながら語る焼きそばパン《ヤキソバー》が鎮座している。


 


「なにこれ……シュールすぎる……」

「セリスティア、お前の魔法でどうにかできないの? パン封印魔法とかない?」


「そんなもんあるわけないでしょ!?パンに感情ある前提の魔法体系なんて聞いたことないわよ!」


 


ヤキソバーはふむ、と唸った。


「今の世界は、我らパンの祖たちに忘れられた“第二の時代”。

そなたらが日常的に食しているこの形──これは我らの遺志がほんのわずかに残っている証だ」


 


「……つまり、お前は……なんだ、“神”? パンの神様ってやつ?」


「神というより、“起源”だな。我が生まれし時、世界はまだバターの概念すらなく……」


 


「いや、お前の話、バター出てくるタイミングいつも変だな?」


 


セリスティアがメモ帳を取り出して真剣な表情で言った。


「とりあえず確認したいんだけど、あんた、なんで今になって目覚めたの?」


 


「うむ、それはな──」


パンは、じっとカグラを見つめた。


「お前が、あまりに雑に俺を温め直したからだ。

──電子レンジ、3分だと熱しすぎだ。我が中のバグが再起動された」


 


「は?俺のせい!?てかパンがバグって目覚めたの!?しかも電子レンジで!?」


 


「電子レンジは現代の火山に等しい……目覚めるには十分だ」


 


セリスティア「ちょっと待って、つまりそれ、カグラのせいでパンの神が復活したってことよね?」


カグラ「やめて!?その言い方すっごい責任重いからやめて!?」


 


 


──だが、この後、ヤキソバーの“本当の目的”が明らかになるとは、

この時の二人はまだ知る由もなかった。



「……そして我は思い出した。

この世界は、我ら**“一次発酵体”**によって形成された“パン世界仮設実験体Ω(オメガ)”なのだと……!」


 


「なにそれ!?意味がぜんっぜんわからないんだけど!」


セリスティアがちゃぶ台をばーんと叩いた。


 


「いやちょっと待って、それつまり──この世界そのものが、パンの副産物みたいなもんってこと?」


 


ヤキソバーはうむ、と頷きながら焼きそばをこぼした。


「この現象、かつては**“炭水化物シミュレーション”**と呼ばれていた。

だが、第二次スチームブレッド大戦の後、我らは記憶を封印し、沈黙のラップに包まれ眠りについていた」


 


「黙ってる間に、パンの歴史が軽くSF入ってきてるよね?」


 


そこに、不意に部屋が揺れる。


──ドゥゥンッ!


 


「……また、何か来るわよ!」


セリスティアが結界を張ろうとした瞬間、窓の外に現れたのは──


 


**“浮遊するバゲット型モンスター”**だった。


 


「パンが空から降ってきてる!?しかも敵意むき出しで襲ってきてるんだけど!?」


「……あれは、“空中酵母生命体”!かつてパン文明が栄えし頃、宇宙を渡って旅をしていた者たちだ!」


 


「いやどんな設定だよ!!」


カグラが叫ぶも、もう空からはフランスパン、メロンパン、果ては揚げパン型の巨大飛行体までが続々と襲来していた。


 


「セリスティア、避難するぞ!ついでにパン買い占めよう!!」

「落ち着け!!これはパンじゃない、兵器!!」


 


そのとき、ヤキソバーの声が響く。


「時は満ちた……我がパンコードを発動する時──

“バグレシピ・コードゼロ(0)”!」


 


──彼が光を放った瞬間、空から落ちてきたバゲットたちがピタリと静止した。


 


「え、なに?止まった……?」


「今のうちに……語らせてもらおう。“始まりのパン”の物語をな……」



「むかしむかし──この宇宙がまだ、粉と水と酵母だけでできていたころ……」


 


「え、そんな状態あるの?宇宙ってどこから始まったの???」


セリスティアが戸惑うのも無理はない。なぜなら今、ヤキソバーが浮かび上がりながら背後に“星型のパン銀河”を投影しているからだ。


 


「我らはパン銀河団ベーカリウムより来たりしもの。かつて我らは**“パンコード”**によって全てを支配していた──」


 


──ドォン!!


「説明してる間にまた襲来してるー!?いや今度は……クリームパンに顔ついてるんだけど!?」


「……あれは“第七種パン属・メンタルフィリング種”。甘さで相手の理性を溶かす……!」


 


「どう考えてもおやつでしかないでしょそれ!!」


カグラの叫びは空しく、クリームパンが群れで突っ込んできた。


 


「こっちもなんか出せよ!バグスキルとかないのか!」


「うむ、ならば見せよう。

この混乱を収束する──**“バグスキル:再構築するパン理論”**を!」


 


──ボワァッ!


ヤキソバーの背中から光るトースターみたいな装置が飛び出し、上空のパン生命体を次々と「再焼成」し始める。


 


「え、焼きなおしてる!?ていうか、どんどん美味しそうになってるんだけど!?

──あっ、あいつら……争うのやめて食べ始めたぞ!?」


 


そう、戦っていたパン生命体たちは焼き直されて次々と“和解”していた。


 


「……争いを終わらせるのに必要なのは、武力でも対話でもない。

──焼きたての、あたたかいパンだ」


 


「いや名言風にまとめんなよ!!」


 


宇宙は、いったん静けさを取り戻した。だがその裏で、ある計画が始動していた──



──ザザ……ザザザ……


宇宙の静寂を切り裂くように、銀河通信トーストウェーブが鳴り響いた。


 


「こちら“パンコード管理機構”より全銀河に通達。

現在、天空パン大陸グラン・バケットが発酵しすぎにつき、構造崩壊の危険性があります──」


 


「発酵しすぎって、そんなことある!?てか、それ宇宙構造物でしょ!?」


カグラがツッコミを入れるも、巨大パン大陸はすでにふくらみすぎていた。


 


「見て……地平線が……焼き色ついてる……」

セリスティアがぽつりとつぶやく。


その通り、天空に浮かぶパン大陸の表面はカリカリに焼けていた。


 


「なんでこの世界、何でもかんでもパンにすんの!?」


 


だが──


その焼き色の裂け目から、何かが出てくる。


 


「な、なんか出た!ていうか……あれ、コロッケパン!?飛んでるの!?なんで!?!」


空を舞うパン。叫ぶ魔法使い。沈黙するシオン。


 


「……これはもう、パンではない。

もはや、“超パン”だ……」


 


「超パン!?バカっぽすぎるぞシオン!」


 


──そのとき、ヤキソバーが再び語り始める。


「聞け……これはかつて滅びた**“天界のパン文明”**の復活である。

発酵の果てに到達した者たちの、最終形態なのだ──」


 


と、そのとき。


 


──ズドォォォォォン!!!


 


巨大な何かが、天空パン大陸を貫いた。


 


「……あれ、焼きそばパン特大サイズじゃない……?」

セリスティアの声が震える。


 


それは、全長3kmの焼きそばパン型飛行物体。


「名を名乗れぇぇぇ!!!」

カグラが叫ぶ。


そして、返ってきた声は──


 


「我が名は“焼きそばパン・オリジン”。

お前たちのパン文化は、すべてここから始まったのだ──」


 


「──しゃべったあああああ!?!?!?!?」




焼きそばパン・オリジン。


それは、空を割って現れた、圧倒的サイズと存在感を誇る超古代のパンだった。


 


「我こそは、始まりのパン。

この星にパンをもたらした、“第一の発酵体”である──」


 


「……焼きそばパンがしゃべってる……」

セリスティアが遠い目をした。


 


「つまりお前が……この世界の“パン問題”の元凶……?」


 


「否。我はただ、焼きそばを抱いたパンとしての使命を全うしたに過ぎぬ。

争いも、空中都市も、宇宙ベーカリーも──すべては人類のパンへの欲望が生んだもの」


 


「メッセージ性が強い!!!」


 


「だが、今こそパンは語る。

“腹八分目で止めておけ”とな──」


 


……その瞬間、空に浮かぶパン大陸が爆ぜた。


 


──ボォォォォォン!!!


 


天から降り注ぐ、無数のパンくずと焼きそば。


人類の街々は、やさしいパンの香りに包まれた。


 


「うっわ……なんか……めっちゃうまそうな雨降ってきたんだけど」


「小麦の香りだけでお腹いっぱいになるって、どういう理屈よ……!」


 


一方、パンの神パンヴァーナは遠くからつぶやいた。


 


「これでよい。これで……すべてのパンが……やさしく、温かく、受け入れられる世界が──」


 


パン大戦、終結。


残されたのは、空にうっすらと残る“焼き目の雲”。


そして、


 


「……あ、そろそろ本物の昼メシの時間だわ」


「パンで満たされたあとに焼きそばパン食うやつ、俺ぐらいだろな……」

というわけで、焼きそばパンの“始祖”がまさかの人格持ちで登場しました。

思ってたよりも真面目で語り口が哲学的でした

パンってなんなんでしょうね……(考えるのをやめた)

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