パンデミック・コード:全人類、焼きそばパン化計画
今回のお話は、「焼きそばパンが原因でパンデミックが起こる」という、もはや何がどうしてそうなったのか分からないところから始まりました。
でもそれでいいんです。バグスキル、ギャグ、パン、世界崩壊──全部のせで、やれるだけやってみた回です。
途中で出てきた“焼きそばΩ(オメガ)”とか、シオンの哲学的パン語りとか、わけわからん状態でどこまで押し切れるかを実験してみました。
これぞ“世界律をバグらせた”者の朝食。そんな感じです。
「なあ……なんか最近、世界の空気がソースくさくね?」
カグラが目をこすりながら、テーブルの上の“ふわふわ湯気を立てる焼きそばパン”を見つめてつぶやいた。
セリスティアはカップを持ったまま、無言でこちらを見る。
……いや、無言というより、完全に固まっていた。
「……え、なにその髪」
「ど、どうかしら? ちょっと……朝起きたら、こうなってて……」
セリスティアの金髪が、まるで“紅しょうが”みたいなピンクレッドに染まっていた。しかも、ウェーブがソースの渦みたいに整っている。
「てか、それだけじゃない。なんか外がザワザワしてるぞ?」
カグラが窓を開けると──
「パン! パン! パーン!!」
「焼きそばパンは、尊い……!」
「我が名はパンソン・ライト! 世界は今、再生される!」
完全に終わってた。
王都の広場が、焼きそばパン教の布教ステージになっていた。
「…………あれ? おれ、なんかやったっけ?」
そのとき、突然セリスティアの通信魔法が発動した。
「こちらアロマ。コードが拡散している。これは……パンデミックだわ」
──こうして、世界は「パン」の手に落ちた。
王都ではすでに、焼きそばパン中毒者が続出していた。
・屋台の全商品が「焼きそばパン(ソース増量)」に差し替えられ
・王立魔術院の賢者たちが、焼きそばパンを崇めて浮遊しており
・兵士たちは「パン型魔導具」で戦闘訓練を始める始末
一方、白の庭園では緊急パン対策会議が開かれていた。
「感染経路は、昨日カグラさんが落とした“焼きそばパンデータ”と判明しました」
アロマが指先からコードを投影する。
そこには、「焼きたてフレーム:v4.2.3」のラベルが。
「って、そんなの落としたっけ?」
「あなたが寝言で“パッチ、うまいな〜…”と言いながら、パンを魔導炉に突っ込んだのが原因です」
「うそぉ……?」
セリスティアは頭を抱え、紅しょうがヘアがふわふわと揺れる。
「つまり、これは……精神型パン・ウイルス。
接触・視認・香り・記憶によって感染する。回避不可能」
アロマは静かに結論づけた。
「世界を救うには……“抗パン剤”を作るしかない」
その瞬間、庭園の床がバリバリと割れた。
「出たな、パンどもォォ!!」
空から現れたのは──
対パン組織『N.Y.P.A』の特務隊員、リリィ=ハートフィールド!!
「パンに染まるくらいなら、私はおにぎりになる!!」
──混沌のパンデミック、まだ始まったばかり。
「このままじゃ世界が……!」
セリスティアが叫んだ瞬間、空から巨大なパン型飛行船がゆっくりと降下してきた。
そこには焼きたての香りとともに、“P.A.N”と書かれたロゴが。
「P.A.N……?」
アロマが即座に検索結果を映し出す。
【P.A.N】:“Pan-demic Authority Network”
正式名称:汎銀河パン統制機構
本部:天の川銀河第3パン帯
「銀河パン組織!? 宇宙規模!?」
カグラはすでにパンをかじっていた。
「やっぱソース多めは裏切らないな〜」
そのとき、飛行船のスピーカーから声が響いた。
「地球におけるパン摂取率が限界値を超えました。
ただいまより、“完全パン同化プロトコル”を発動します」
ズズズ……と空間が歪み始める。
空気に香ばしい匂いが充満し、空がベージュ色に染まっていく。
「このままじゃ、空気もパンになるぞ……!」
シオンが冷静に呟いた。
「いや、ちょっと意味わからんて!!」
セリスティアのツッコミが響くが、足元の芝がすでに焼きそばパン化していた。
「これが……“パンの波動”……!」
立ち上がるリリィ。「私の家は米農家! 負けるわけにはいかない!」
そしてアロマは、静かに言った。
「──コードを書き換えます。“パン耐性β”を全人類に配布します」
カグラ「焼きそばパンにも、抗えるのか……?」
一瞬、空が静まり返る。
アロマがコードを走らせると、世界中のネットワークに謎のアップデートが適用された。
【アップデート内容】
•パン摂取抑制機能「米魂β」搭載
•パン依存度スキャン機能
•ソース香耐性フィルター(限定時間)
その瞬間、セリスティアの持っていた焼きそばパンが──
「うわっ、冷たくなった!? これ…ただのパンの死骸じゃない…?」
「効いてる……! これが米魂の力……!」
ジルドが熱く叫ぶ。
「ふざけんな!焼きそばパンを冷ますなんて!!!」
カグラが泣きながら天を仰ぐ。
一方、シオンは静かに状況を観察していた。
「……世界は、二つに分かれようとしている。パン派と米派……いや、主食戦争か」
セリスティアは頭を抱える。
「お願いだからそんな深刻な顔でギャグに変換しないで!!」
そして──
ズズズズズ……
空を覆っていたP.A.Nの母艦がゆっくりと開き、そこから現れたのは……
“神パン級”超巨大食料生命体
「で、でけええええええええええええええええええええ!!!!!!」
全員の叫びが空に響き渡る。
ヤキソバオメガは一歩踏み出すごとに、地形をパンに変えていく。
カグラ「もう、これパン星じゃん……」
「――全長4000メートル。炭水化物、100%超。塩分濃度、致死レベル」
アロマが淡々とスペックを読み上げる横で、セリスティアは完全に固まっていた。
「……ちょっと待って、アロマちゃん。それ、もう“料理”っていうか“災害”じゃない?」
ジルドは剣を構えながら叫ぶ。
「こんなのにどう立ち向かえばいい!? 俺の魔力じゃ、こんがり焦がすのが限界だぞ!」
「つまり、追いソースか……」
シオンが詩的に呟くと、誰もが真顔になった。
だがそのとき――
「お待たせぇ☆」
宙に浮かぶ銀のトースターから現れたのは、あのミルミだった。
「やっぱこういうときは……“ウチの出番”っしょ?」
「まさか……!」
セリスティアが目を見開く。
ミルミが掲げたのは、謎の高出力デバイス。
「焼きそばパン粒子・中和装置《おむすびころりんMk-II》ッ!!」
ドォオオオン!!
炸裂した米粒エネルギーが、ヤキソバオメガの右足を吹き飛ばした。
「ぎゃああああああああ!!!」
(※ヤキソバオメガの断末魔)
一瞬の静寂――
だが、ヤキソバオメガは再生を始めていた。
「……だめだ、パンは“焼き直せる”」
シオンが誰よりも重く呟いた。
「くっそ……パンが……強すぎる……!」
カグラは焼きそばパンをかじりながら、再生を続けるヤキソバオメガを見上げていた。
「どうするつもりだ、カグラ……」
セリスティアの声が震える。
「決まってんだろ」
立ち上がったカグラの手には、**“世界律コード”**がねじ曲がったまま握られていた。
「パンのバグは、パンで制す」
そう言って、彼はもう一つのパンを取り出した。
それは、かつて誰にも渡さずポケットに入れていた――
“伝説の焼きそばパンVer.0.01β”。
「俺は……パンの向こう側に行く!!!」
パンが光り出した。いや、バグり出した。
カグラが宙に跳び上がる。ヤキソバオメガも咆哮する。
次の瞬間――!
「ごめん、寝てた」
カグラが地面に戻ってきた。
「え?」
全員が固まる。
「夢オチかよ!!!」
ジルドの総ツッコミが宇宙に響き渡る。
……だがその時、空に光が差し込んだ。
焼きそばパンは静かに分解され、
ヤキソバオメガは小さな一切れのパンへと変わっていた。
「おいしい……」
カグラが最後に一口でそれを食べた。
──世界は、静かに、何事もなかったように朝を迎えた。
「……ってことで、朝はやっぱ、焼きそばパンだな」
次回以降、ほんのり“日常”に戻るかもしれません(戻るとは言っていない)。
でもそろそろ、物語としてカグラの能力や「???」スキルの核心、観測外の意味、セリスティアの正体にもじわじわ触れていく流れになるかもです。
もちろん、ギャグはそのまま暴走します。
焼きそばパンを片手に、次もゆるっといきましょう。




