異世界“再起動”してたら地球バグった件
「ドーナツ怪獣が、せれす亭に襲来する」
そんな一文から始まる今回の話。
ついにスイーツサイドも黙っていなかったらしいです。
焼きそばパンVSドーナツ。
果たして、この勝者は誰か。いや、勝者が必要なのか?
カグラは、いつものように焼きそばパン片手に朝を迎えていた。
だが──
「……なあ、あれって“バグの空”じゃね?」
空がカクカクしている。雲が左下にだけしか流れていない。
しかも背景の空がたまにロード失敗して“黒”になる。
セリスティア「こ、これは……バグの二次感染!? 時空レベルで描画ミスが……!」
シオン「ついに来たか。再起動の副作用、“現実世界まで巻き込む”現象……」
ラドリウス(空中にふよふよ浮いて)「なんか、天の上からも苦情きてるよー。“地球が不安定”って」
──やがて、巨大な黒い影が空を覆う。
「おい、あれ……デカくね?」
焼きそばパンよりも、宇宙戦艦よりもデカい、謎の“巨大生命体”が空を覆っていた。
「うわ……バグりすぎて、怪獣まで出てきた!?」
空を覆う巨大怪獣、その姿はどこか“作りかけの3Dモデル”みたいにポリゴンむき出し。
輪郭は時々チカチカとグリッチして、見る者に軽いめまいを与える。
セリスティア「……なにあれ!? テクスチャ貼り忘れた!?」
カグラ「もしかして:俺のせい?」
シオン「間違いない。“空間圧縮パン”の副作用で次元のメッシュが崩れて、スクリプト上で“存在”として処理された怪獣だ」
ラドリウス「つまり、そいつはプログラム的には“食べ物”として登録されてる可能性が──」
怪獣「グルアアアアアアア!!!!!」
セリスティア「喋った!? ていうか、今『おかわり』って言った!?」
ミルミ「いやー怪獣さん、お腹空いてるだけじゃないかな? パン食べてる匂いしてたし」
カグラ「おれの焼きそばパン……?」
(バグ怪獣が口を開ける。そこから現れたのは、**“巨大なバグパン”**だった──!)
カグラ「え、俺の焼きそばパン、あんなに育つの!?」
バグ怪獣は、空間にバグったパンをばら撒きながら暴れ始めた。
セリスティア「なにあれ!? 焼きそばパンが空中で自己増殖してるんだけど!」
カグラ「俺のパンがッ……俺の焼きそばパンが、世界を侵食してる……!」
ミルミ「ちょっと! パンってあんなに膨らむの!?」
アロマ「……観測不能。圧縮率、通常空間の3.14倍。カロリー換算不能。あと熱量がちょっと宇宙規模です」
ラドリウス「つまり、爆発したら……終わりか」
カグラ「焼きそばパン、宇宙終焉を招く説やめろ」
そして次の瞬間──
怪獣が大口を開き、巨大なパンをカグラに投げつけてきた!
カグラ「避けるのめんどいから、喰う!!」
(ガブッ)
シオン「いや食うな!? それ絶対バグるから!」
カグラ「うおおおお!? 味が……時空の味がする!! なんか5分前の俺がチラついた!!!」
セリスティア「だめだこりゃ!」
──戦場は、もはやグルメバトルと化していた。
そして空からもう一匹、怪獣が降ってきた。
セリスティア「え、2匹目いるの!?」
怪獣B「……カレーパン……」
カグラ「そいつはダメだぁぁぁあああああああ!!!」
舞台は──なぜか、白の庭園の地下にあるパン工房《せれす亭》。
ガタン。
椅子に座ったバグ怪獣(仮名:グルメーザ)は、両手を前に置きながら、真剣な眼差しをカグラに向けていた。
グルメーザ「……志望動機? おいしいパンが焼きたくて」
カグラ「なるほど。うちは週1出勤、まかないあり、宇宙干渉自由、バグ耐性要。大丈夫そう?」
グルメーザ「バグは得意です。あと、宇宙、ちょっと壊しました」
セリスティア(なんだこの会話……)
そして隣では、怪獣B(カレーパン個体)がエプロンをつけて、黙々と揚げパンの準備をしていた。
ミルミ「なんかもう、怪獣っていうより職人だよ!?」
アロマ「観測不能。パン工房における怪獣の戦力指数が高すぎる」
シオン「いや、何やってんの!? お前らさっきまで世界滅ぼしてたよね!?」
カグラ「焼きそばパンには、平和の味があるんだよ」
シオン「名言っぽく言うな!!」
そのとき、突然工房の奥から轟音が響いた。
ドォン!!
ラドリウス「……あれは、新たな怪獣だ」
セリスティア「え、今度は何!?」
煙の中から現れたのは──
「……ドーナツ怪獣・シュガードです」
シオン「名前が甘いわ!!」
「ぐおおおぉぉぉぉぉぉ……!!」
ドーナツ怪獣・シュガードが、ベーカリー前の庭をズリズリと滑ってくる。
粉砂糖をまき散らしながら迫るその姿は──ただの巨大ドーナツだった。
シオン「いや、お前、どう見ても”動くスイーツ”だろ!」
ミルミ「むしろかわいくない!? ねぇ連れて帰っていい?」
アロマ「接近に伴い、糖度が臨界値突破──観測機構がベタつきで沈黙しました」
そして、ドーナツ怪獣が口(らしき穴)を開いた。
「おいしさのライバルは、つぶす……それが、ドーナツの宿命……!」
セリスティア「宿命って何!? パンvsドーナツってそんな因縁あったっけ!?」
カグラ「焼きそばパンを敵に回したお前が悪いな……」
──パン工房《せれす亭》、防衛モード起動。
窓から、巨大な「トング砲」が飛び出し、パンくずミサイルが発射される。
ドゴォォォォン!!!
グルメーザ(バグ怪獣)「……敵に火を通します」
熱線パン窯を構えて立ちはだかるバグ怪獣。
カグラ「よーし、俺も行くか。チートスキル──《???》、発動」
ビリッ、と空間が裂けた。
時空の向こうから、無限に焼かれた焼きそばパンが飛来し──
\ パン連弾!! /
ドーナツ怪獣「うわああああああああああ!!」
\シュガー……オーバーロード……!/
──そして、静けさが戻った。
ミルミ「勝ったの……?」
シオン「ていうか何に勝ったの!?」
アロマ「敵、ドーナツ。現在、蒸発済み」
セリスティア「……もしかしてこれ、またバグった?」
カグラ「いや、バグじゃない。“正しいパン文化の拡張”ってだけだ」
シオン「もうお前、言ってること哲学になってんじゃん……!」
戦いが終わった《せれす亭》。
粉砂糖が舞い、焦げたドーナツの香りがまだ微かに残る。
セリスティア「……えーと、とりあえず。勝ったのかな?」
カグラ「勝った。焼きそばパンが。」
シオン「世界の防衛がパン頼りって、どうなんだ……?」
そのとき──空が、裂けた。
ギィィィィン……!
空間がひしゃげ、赤い稲妻が走る。
アロマ「……これは。別次元のベーカリー網が、干渉してきています」
ミルミ「え、もしかして……“パン連邦”?」
カグラ「やべぇ、いよいよパン戦争が始まる……」
──そして、画面がフェードアウトする寸前、
カグラがつぶやいた。
「なぁ、焼きそばパンって……どこまで世界に干渉するんだろうな」
そこに、どこからか届いた”声”が響いた。
???「──その答えは、“まだ焼けてない”よ」
一同「誰ぇぇぇぇぇぇ!!?」
──つづく。
今回は「巨大ドーナツ怪獣とのパン戦争」という、もはや言葉の暴力のような回でした。
カグラの《???》スキルは、もはやバグではなく世界を焼くフォースになりつつあります。
敵が出てきた理由?
それは「焼きそばパンが宇宙ベーカリーの秩序を乱したから」──以上です。深く考えないでください。




