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【全属性耐性ゼロ】だったのに、全ての攻撃が効かない最強バグスキルを手に入れました※タイトル詐欺です  作者: Y.K
第1幕

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怪獣、焼きそばパンに吠える

宇宙ベーカリーだの、怪獣だの、そろそろ読者が「何読んでたんだっけ?」となっていそうだけど大丈夫。

今回も焼きそばパンが世界の中心です。バグ? 怪獣? 空間圧縮?

それ全部パンの副作用だから安心して。

シオンもセリスティアもカグラも、たぶん本気で世界を救ってる(つもり)です。たぶんね。

「……なんか、空、赤くね?」


昼下がりの空の下、カグラは焼きそばパンをもぐもぐしながら空を見上げた。


雲が、焼けたパンの形になっている。

そしてその中心から、**ゴオォォォン……**という地響きのような音が鳴り響いた。


 


「パンの音がするぞ」

「そんなもん聞いたことないわよ!」


セリスティアがいつもの優雅さを失ってツッコむ。

そのとき、空の裂け目から、巨大な影が降ってきた。


ドォォォォォォン!!!


地面が揺れた。土煙が舞う。

そしてそこに、そびえ立つように現れたのは──


 


「……パン……の……怪獣?」


全長100メートル超。

全身がもっちりとした焼きたて生地で覆われ、背中には焼きそばパン製造炉を装備。

咆哮と共に、トッピングが飛び散る。


 


「おい待て待て! おれそんなつもりでパンの神とか言ってたわけじゃ──」


「うわ、やばいの召喚しちゃった系!?」「てか明らかにパンに人格あるでしょアレ!」


観測者たち、セリスティア、シオン、アロマ、ラドリウス──

なぜか全勢力がこの場に集結していた。


 


「──パンで滅びるのか、この世界……」


誰かの呟きが、夕暮れに染まる空へ消えていった。


「やべぇぞ! パンの咆哮で近隣10都市が焼きそばまみれだ!」


「見てください! 奴の背中から……新作の“超激辛ソース”が噴射されてます!」


 


──事態は予想以上に深刻だった。


焼きそばパン怪獣パンギラスは、街のベーカリーを片っ端から吸収し、巨大化を続けている。


 


「対パン用兵器を配備せよ!」

「パン用? 何それカロリーで倒すの?」


軍隊が応戦を試みるが、全ての砲弾は**“パンの中に吸収される”**という謎のチートバリアによって無効化される。


 


「おい、オレの“全属性無効”スキルと似てるぞあれ……」

カグラがパンかじりながらつぶやいた。


 


「ねえカグラ……あんたのチート能力、アレのせいじゃないわよね?」

「………ノーコメントで」


セリスティアの目が冷たい。焼きそばパンよりも冷たい。


 


そのとき、通信魔法が入る。


「こちら王立魔術院防衛局! 非常事態につき、**“コード・アークトースト”**を発動する!」


 


「えっ、コード・アークトーストって……まさか伝説の──」


「……ああもう、しょうがねぇなぁ」


焼きそばパンを片手に、カグラはゆっくりと立ち上がった。

彼の背後で、街がじゅわぁぁぁあと焼きそばの香りとともに沈んでいく。


 


「おいパンギラス、いい加減にしとけよ……俺の“焼きそばパン権”まで侵害してんぞ」


 


「カグラ。お前、本気を出す気か……!?」

セリスティアが空間を結界で固定し、周囲を静止状態に保つ。


「やめとけ、スキル“???”が暴走したらこの星がバターロールになるかもしれない……!」


 


──しかし、すでに遅かった。


 


カグラの背後に、巨大な“パンの紋章”が浮かび上がる。

同時に世界がバグる。空が食パン模様になり、重力がフワフワとバターのように揺れる。


「うわ、なんか“質量”がフランスパン級になってるぅぅ!」


 


その瞬間、パンギラスが吠えた。


「グォオオォォォォォォオオォォ……(ソース足りねぇ!)」


 


だが、カグラも叫ぶ。


「黙れ! 焼きそばパンは“ソース薄め”がちょうどいいんだよ!!」


 


ビキィッ!!


空間が割れた。


カグラが“無属性干渉”スキルを発動。

世界に干渉し、“焼きそばパンの理”そのものを書き換え始める──!


 


「まさか……“調理後概念”の再定義だと……!?」


「パンぱんりに手を出すなァァァァ!!」


 


──そして、世界は……。


焼きそばパンが勝つか、バグが勝つか。

この闘いが、「パンの歴史」に記録されることは、まだ誰も知らない──。


パンギラスの咆哮とともに、地表がトースト状に焼きあがっていく。

そこへカグラの“無属性干渉(Ver0.01β)”スキルが発動し、世界はさらにバグを加速させた。


 


「えっ!? なんか地面が“ふわふわ”してきたんだけど……」


セリスティアが困惑した顔で空を見上げる。雲が――食パンになっていた。


「これってもしや……空の主成分、小麦粉になってない?」


 


そのとき、アロマが緊急解析データを読み上げた。


「空間構成がバターとイースト菌に置き換わっています。このままでは……この惑星は“菓子パン”に変異します」


「地球改造、菓子パン計画……始まってたんだな」


シオンが詩的に呟くが、誰も聞いてない。


 


──そこへ再びパンギラスの咆哮が響く。


「グォオォォォ……!(クリームパン派なんだよぉ!!)」


 


「ふざけんな!!」

カグラが怒号と共に、空中に“焼きそばパン”を掲げた。


「焼きそばパンは、すべてのパンの中間に位置する【調和のパン】なんだよ!!」


 


その瞬間、空が割れる。


焼きそばパンから放たれた光が、天を裂き、パンギラスを包み込んだ。


 


「うわっ、まぶしっ!! なにこのパンから出る神々しさ……!」


「バターとソースの、完璧な調和……これが……“原初のパン”か……」


セリスティアが涙をこぼした。味覚と感動がごちゃ混ぜになっている。


 


だが──パンギラスは膝をついた。


「グルル……(うま……かった……)」


 


バタァン。


パンギラスは、“焼きそばパンの光”によって浄化され、満足した顔で地に伏した。


 


「……おつかれ、怪獣。お前も、焼きそばパンを……認めてくれたんだな……」


カグラがそっと、焼きそばパンの包装紙を握りしめた。


 


その瞬間、空が元に戻る。


世界も地面もパンじゃなくなり、日常へとゆるやかに収束していく。


 


だが、誰もが忘れないだろう。


この星が、一度“菓子パン”になりかけたことを。


焼きそばパンの光に包まれ、怪獣は去った。

だが、残された世界には“ほんのりソースの香り”が漂っていた。


 


「……あの怪獣、最後に笑ってたよね?」


セリスティアが言った。


「っていうか、途中から“パンのうまさ比べ大会”になってなかった……?」


 


「……俺さ、思ったんだけど」


カグラは空を見上げて言った。


「焼きそばパンって……戦争すら終わらせられるかもしれない」


 


「急に壮大なこと言うなよ!?」


セリスティアが思いっきりツッコむ。


 


シオンは遠くの空を見つめたまま、ポツリとつぶやいた。


「“焼きそばパン”──世界の調和の象徴……か。だが、まだバター派とメロンパン派の戦争が残っている……」


「その戦争、存在してたの!?」


 


アロマがタブレットを操作して、いつものように無言で表示する。


《焼きそばパン:世界平和指数 98.7%》


 


「数字にされると……説得力あるな」


 


ふと、セリスティアがパンをかじりながら言った。


「ねぇ、あたし思うんだけど……」


「うん?」


「宇宙がパンでできてたら……カロリー、すごいことにならない?」


「その理屈だと、宇宙服のサイズが3倍になるぞ」


 


──そんなゆるゆるな会話が続く中で、


世界はまた、いつもの日常に戻っていった。


どこかほんのり、パンの香りが残るこの世界で――


 


「……で、今日の昼飯なに?」


「焼きそばパンに決まってんだろ」


「それ、もはや呪いだよね」


──そして。


空は晴れ渡り、世界は静けさを取り戻した。


街にはパンくずと焼きそばの香りだけが残されていた。


 


「……じゃあ解散でいいの?」


セリスティアが言うと、アロマが小さくうなずいた。

タブレットには《状況:仮終了》と表示されている。


 


「仮って何……?」


「“いつもの”に戻ったってだけで、根本は何も解決してないって意味だよ」


シオンが妙に冷静なトーンで呟いた。


 


「うっわ、なんか真面目っぽいこと言ってる!」


「……さっきからずっと真面目だ」


 


カグラは地べたに寝転がりながら、空に向かって焼きそばパンを掲げる。


 


「お前が主人公だよな、焼きそばパン……」


 


(※彼が言っている“お前”はパンです)


 


「そういえば、怪獣ってなんだったんだろうね……?」


「パンを求めてたのか、パンそのものだったのか、パンが怪獣だったのか……」


「パンパン言いすぎ!」


 


みんなが口々に言いたい放題な中、

宇宙の彼方ではまた、パンの気配を嗅ぎつけた何かが──


 


……いや、もういいか。

今日はこのくらいで。


今回もありがとうございました。

怪獣が出てきたわりに、「あれ?出番短くない?」って思った方。正解です。

主役はあくまで焼きそばパンなので。

それにしても、世界がバグっても怪獣が来ても、結局日常に戻るのがこの物語のいいところ……かもしれません。

次は何が来るのか、自分でも全然読めてませんが、またゆる〜くお付き合いください。

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