宇宙ベーカリーは隕石ごとパンで包む
──宇宙に、焼きそばパンをぶっ放す物語。
平和(物理的な意味ではない)が戻ったのも束の間、空から隕石が降ってくる。けれどこの世界では、だいたいの問題はパンで解決できる。そんな前提が、いよいよ宇宙にまで拡張されてしまった今回のお話。
思考も空間もどんどんバグっていくけど、そこにちゃんと“笑い”と“パン”があればいいじゃない。
焼きそばパン、それは希望──たぶん。
「……ねえ、空が変じゃない?」
セリスティアがぽつりとつぶやいた。
空一面に、巨大な“膨らんだ何か”が迫っていた。
青空に浮かぶそれは──
「パンじゃねぇか!!」
焼きそばパンの形をした隕石が、宇宙から猛烈なスピードで落ちてきていた。
「どういうこと!?」「誰の仕業!?」「またお前かカグラァ!!」
「……いや、今回はマジで知らん。俺は寝てただけで……あ、パンは焼いてたかもしんねぇ」
周囲の面々がカグラを睨む中、ひとりだけ喜ぶ声が響く。
「うおおお!!宇宙パンとか夢のまた夢!!これぞベーカリー界のビッグバン!!」
パン工房《せれす亭》の屋根に登ったミルミが、双眼鏡を手に歓喜していた。
「……あの子、テンションおかしい」
セリスティアが呆れるが、空の“パン隕石”はどんどん拡大していく。
それはすでに、空全体を覆う規模に達し──
「このままだと、地上がサンドイッチされるぞ!!」
「ってことは俺が具かよ!」
「いや、主役はパンじゃなくて人間でしょ!?」(←誰かのツッコミ)
──ギャグと混乱の中、地球最大の“パン災害”が幕を開けた──!!
地上がパニックに陥る中──突如、空に巨大なゲートが開いた。
ズガァァァァァン!!!
宇宙空間から、ピンクとゴールドの光を放ちながら姿を現したのは──
**「銀河系最古のパン屋」**を名乗る浮遊型店舗だった。
その名も……
《ギャラクティックせれす亭》「星々の願いを、パンに込めて」──
「は!?うち!?えっ!?私、知らないよ!?聞いてないよこんなの!!!」
セリスティアが顔を真っ赤にして叫んだ。
看板には確かに書かれていた。
『創業者:セリスティア・アルマ=レーヴェ(※本人未承認)』
「勝手に創業者!?詐称よ詐称!!」
「俺、たぶん寝ぼけてサーバーと契約してたわ……宇宙ホスティングで……」
カグラが肩をすくめると、店の中からもうひとり──
“星のパンマスター”ミルミが登場。
「わたしがプロデュースしましたー☆」
「お前かーーーッ!!!」
ズドォォォォン!!!
空から巨大な火球が落ちてくる。
「隕石だあああああああ!!!!!」
「避難だあああああああ!!!!!!」
人類側も魔王軍も関係なく、空を見上げて悲鳴を上げた。
だが次の瞬間──
ボフッ!!!
空中で隕石が爆ぜたかと思うと……
降ってきたのは、あつあつの“バゲット・ミサイル”だった。
「パンじゃねーか!!!!」
「マジで隕石、焼かれてるぅううう!!?」
地球の大気圏で熱々になった隕石が、《ギャラクティックせれす亭》の自動焼成フィールドに触れ、
ことごとく焼きたてパンに変換されていたのだ。
「これぞ、宇宙パン迎撃システム《HEAT-O-BAKE》!」
ミルミが得意げにポーズを取る。
「何その最先端すぎるパンシステム……」
「でもまぁ……地球、救われたな」
「うん。パンで」
「焼きそばパンは焼いたけど、まさか隕石まで焼くとはな……」
《ギャラクティックせれす亭》は静かに宙に浮いていた。
ただの屋台だったはずのそのパン屋は、今や地球軌道上に浮かぶ**宇宙拠点**であり、
一方で──
「全宇宙に“焼きたて”をお届けする、星間パン戦争の始まりや!」
──セリスティアが言った。
なぜか完全に関西弁に戻っている。
「待って!? なんか戦争始めようとしてない!?」
「だって、向こうの宇宙パン屋が営業圏かぶせてきたんやもん!」
「宇宙にもパン屋があるのかよ!?」
セレスティアが指差したモニターには、**“競合ベーカリー:銀河焼成堂”**のロゴとともに、
謎のパン職人軍団がバゲット型宇宙船に乗り込み、こちらへ接近してくる映像が。
「焼きそばパンだけで満足してた時代はもう終わったんや」
「知らんけどォ!?!?!?」
ミルミはもう“宇宙営業用ののぼり”を広げ、
アロマは黙って**“多次元広告波”**をばらまき始めていた。
「おいおい……ちょっとパン焼いてただけなのに……」
カグラが頭を抱えた瞬間、
「──てめぇらのパン、甘く見てんじゃねぇぞ!!!!」
銀河焼成堂の代表がモニター越しに叫んだ。
「我らが宇宙酵母は一億年熟成だァァァァァ!!」
「熟成しすぎぃいいいい!!!!」
交渉の余地など、最初からなかった。
銀河焼成堂の宇宙船〈バゲット・ドレッドノート〉が、パン型砲台をこちらに向けてきたのだ。
「エネルギーチャージ完了!焼成濃度90%、クロワッサン粒子発射準備完了です!」
「どんなパン粒子だよ!? 想像つかないんだけど!!」
セリスティアが《せれす亭》の主砲──**“焼きそばパンキャノンMk-III”**の操作パネルに手を伸ばす。
「うちらの焼きそばパン、負けへんからな……っ!」
「だからなんでガチの戦争みたいになってんの!?」
そのとき。
「我が名は……クロワッサン十三世!!」
銀河焼成堂の船長が名乗りを上げ、フランスパンのような宇宙服に身を包んだ姿でスクリーンに映し出された。
「焼きそばなど、所詮は地球のローカルパン! 宇宙標準に屈しろォ!!」
「ローカルに誇り持って何が悪いんじゃァ!!」
カグラがパンを掲げて立ち上がる。
「てめぇらの宇宙酵母、こちとら“購買部の焼きたて”でぶっ飛ばしてやらァ!!」
その瞬間、焼きそばパンキャノンが自動でロックオン。
バシュッ──!!!
放たれた焼きそばパンが、一直線に銀河焼成堂のコアをぶち抜いた。
「グワァァァァァ!!!!! 焼きたての香ばしさが……宇宙を支配するというのか……!!!」
パンが爆ぜ、宇宙にソースの香りが広がる。
「よし、勝った!」
「うん、勝ったの……かな?」
ミルミとセリスティアが顔を見合わせる。
「──てか、宇宙空間にソースの匂いって、どういう原理だよ」
「焼きたてに理屈は要らん」
焼きそばパンを宇宙にぶっ放した直後。
異常空間のバグが修復され始め、空間の歪みが徐々に落ち着いていく。
セリスティアはため息まじりに、ぼそりとつぶやいた。
「……焼きそばパンで宇宙を救うとか、マジで想定外」
「てか、なんでパンで全部済むんだよ……」
カグラはまだ食べかけの焼きそばパンをもぐもぐしながら言う。
「宇宙、意外とちょろかったな」
そこへ、観測者のアロマが静かに言った。
「……パンによる時間軸の修正、完了を確認」
「よし、じゃあ俺たちは今日も平和ってことで──」
ドン!!!
突如、画面の向こうに**“銀河焼成堂・第二艦隊”**の姿が。
クロワッサン十四世(そっくりな人)が叫んだ。
「これは焼きそばパンに対する宇宙の宣戦布告である!!」
「続きあんのかよ!?!?」
「もうええってパンの戦争はァァ!!」
セリスティアが吠える中、背後でちゃっかり焼きそばパンを追加焼成しているカグラ。
「大丈夫。俺の焼きそばパンは、無限だからな──」
※バグです。
画面フェードアウト。
──“この宇宙に、焼きそばパンの香りが満ちるその日まで。”
今回もありがとうございました!
まさかの「宇宙ベーカリー」からの「焼きそばパン銀河突入作戦」、そして新たなる敵(というかパンのライバル?)の登場へ……ギャグに全振りしながらも、ちょいちょいバグスキルのチラ見せを続けている感じ、楽しんでいただけたら嬉しいです。
次回は宇宙とパンの因縁に、もう一歩だけ踏み込むかも……いや、別のバグが始まるかも?ゆるーく、お楽しみに!




