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【全属性耐性ゼロ】だったのに、全ての攻撃が効かない最強バグスキルを手に入れました※タイトル詐欺です  作者: Y.K
第1幕

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焼きそばパン、戦争を終わらせる。

世界は今、戦争の瀬戸際にある──

魔王軍 vs 人類の全面衝突。

なのに。

その中心にいるのが、「焼きそばパン持ったまま寝てるやつ」だったら、どうする?


ギャグとバグが吹き荒れる、未曾有の大戦。

真剣な顔でパン投げてる奴らに、世界は止められるのか──。

荒野に、怒号が響きわたる。

漆黒の旗と、純白の紋章。

空を裂く稲妻。大地を踏み鳴らす軍馬。

──人類と魔王軍。ついに全面戦争の火蓋が切られようとしていた。


「陣形を整えろ!前衛、盾を構え!後衛は──」


「焼きそばパンいかがっすかー!!!」


……響いたのは、まさかの屋台の掛け声だった。


 


「……は?」


王国の将校がきょとんと前を見る。

そこには戦場のど真ん中に、見慣れぬ移動屋台。

白く輝く布に「せれす亭」と、手書きで書かれている。


「えっと……カグラくん?」「ああ。営業中だよ」


 


屋台ののれんをくぐって出てきたのは、焼きそばパン片手にあくびするカグラ。

鉄板ではソースがじゅうじゅう音を立てていた。


「ここ戦場だぞ!」

「知ってる。出店許可もらったし。**“戦争特区臨時営業許可証”、これね」」


セリスティアがさらっと証明書を掲げる。しかも公印つきだ。


「そんな制度あったか!?」


「知らなかった? ほら、“戦地での士気向上と栄養補給のため”ってやつ」


「それは兵站の話だろ!なんで個人営業で焼きそばパンなんだよ!」


 


だがそのとき──


「……パンの匂いが……?」


魔王軍の前線兵士が、鼻をひくひくさせた。

続けて、王国兵も、鼻をくんくん。


「ま、まさか……!」「この香ばしさ……!」


「──焼きそばパンだァァ!!!」


 


ズドドドドド!!!


戦場が、走る。


敵も味方もなく、屋台に向かって突撃してきた!


「やめろ!貴様ら何をしている!」「そのパンだけは譲れねぇ!!」


「並べ!並べぇぇぇぇ!!」


 


──こうして、戦争は「パンの取り合い」から始まった。


「一列に並んでくださーい! 押さないでくださーい!」


セリスティアが白のエプロン姿で叫ぶ。

屋台《せれす亭》の前には、戦士・魔族・ドラゴン(?)まで並ぶ異常事態。


「焼きそばパン1つで争うなっつってんだろ!!」


ガンッ!!


リリィが鉄拳で殴り飛ばしたのは、パンを盗もうとした王国兵と魔族の2名。

「パンはな!命懸けで、清く正しく並んで手に入れるもんなんだよ!!」


「……お、お嬢様こわっ」


ジルドはドン引きしながらも、横で優雅に紅茶を啜っていた(戦場とは)。


 


「……あれ、これ戦争中じゃなかったっけ?」


カグラが鉄板をカンカンと叩きながら、ふと我に返ったように言う。


「戦争? いや、パン戦争ならやってるよ?」


セリスティアがさらっと答える。

彼女の背後では、**“パン争奪戦 第1ラウンド”**の鐘が鳴っていた(物理的に)。


 


「おい待て!なんで魔王軍の将校が審判やってんだよ!!」


「公平性重視だ。我々も焼きそばパンを求める者として、正々堂々と勝負する所存」


手にはホイッスル。完璧に審判スタイルのラドリウス。


 


「焼きそばパン、一体何者なんだよ……」


王国軍も魔王軍も、今は一つ。

目指すはただ一つ──**“せれす亭”の焼きそばパン**!!


 


だが。


「そろそろ、スキル使うか……」


カグラの目が、ふと虚空を見つめる。


手にしていた焼きそばパンが、一瞬きらりと光る。


「【???】、発動──」


 


次の瞬間。


パンが、


浮いた。


「──……え?」


 


屋台が浮かんだ。パンが踊った。

カグラの周囲に、パンを崇める謎のフィールドが展開された。


「ははっ……バグってるだろ、これ……!」


戦争は、今──

“神のパン”によって、次の次元に突入した。


「──カグラ様……!」


魔王軍の兵士がひざまずいた。


「そのパン……まさに神の造形……!」


「何言ってんだお前!? あいつが焼いたただの焼きそばパンだろ!?」


王国の参謀が叫ぶが、もはや誰の耳にも届かない。


空に浮かぶパンが、まばゆく輝いているからだ。


 


「我ら、今こそ目覚める……パンの神よ!」「“炭水化物の救済”を!」


カグラの足元には、謎の宗教団体が自然発生していた。


その名も──


 


《パン教団(The Breadlight Order)》


「やめろ!勝手に派閥作るなぁぁ!!」


セリスティアがパンを投げながら全力で否定したが、

信者はさらに増え、ついにパン教団のバナーが掲げられる。


 


「我は、神を見た……焼かれし鉄板の上に、奇跡が宿るのだ」


そう語るのはかつて“世界律観測機構”にいた者。

彼の名前は──シオン=ヴァレア。


「すまんカグラ……ちょっと信仰してみたかったんだ」


 


「やめてくれシオン……お前までパン信者になると、ほんとにバグる……!」


カグラが震える手で、パンを抱える。


その瞬間──世界の演算が歪んだ。


 


「わっ!? なんか空間がパンの匂いする!?」

「てか今、空間に“バター”って文字浮かんだよな!?!?」


 


この世界は今、完全におかしい。


人間も魔族も、観測者も、お嬢様も、

すべてが一つの真理に集束しつつあった。


 


──焼きそばパンこそ、神である。



「……“匂いのログ”が……パンで上書きされていく……!」


観測者が震える声でつぶやく。


周囲の空気は、もう完全に“焼きそばパンの香ばしさ”で満ちていた。

あまりにリアルで、空腹じゃなくても腹が鳴るレベル。


 


「……おかしい、俺が焼いたのは1個だけだぞ?」


カグラがぼそりとつぶやく。


その手の中の焼きそばパンは、

今や四次元構造を持ち、時間軸を浸食しながら無限に増殖していた。


 


「世界が……パンになってるッ!!」


叫ぶセリスティア。


「いや、世界は最初からパンだったんじゃ……」

と哲学的になるシオン。


 


\ピギャアアアア!!!/


空が割れる。


空間がねじれ、“クロワッサン型の裂け目”が現れた。


そこから出てきたのは……


 


──パン・ゴーレムΩ(オメガ)。


全長30mの、焼きそばパンでできた魔導兵器である。


「開戦だァァァァァァァ!!!!」


魔王軍が叫ぶ!


「我らはパンとともに進軍する!」


王国軍も謎の共闘モードに入る!


 


その時──


「ちょっとまって。落ち着けみんな」


カグラがパン片手に言った。


 


「……今朝の焼きそばパン、ちょっと焦がした気がするから、これ全部バグってるわ」


 


\……えぇぇぇ!?!?!?/


世界の軍勢がずっこけた。

数万の兵士たちが、一斉に地面にダイブ。


パン・ゴーレムΩは自己消滅し、

空間の裂け目も「てへっ」と言って閉じた(効果音付き)。


 


「……まぁ、今日も焼いてくるか」


カグラがそうつぶやいた時、

“空間そのもの”が少しだけ正常に戻り始めていた。


でも、どこかに──ほんの少しパンの匂いが残っている。


「……なんだったんだ、今のは」


観測者のひとりがぽつりと漏らす。


焼きそばパンによって始まり、焼きそばパンによって終わった戦争未遂。

その残骸すら、すでに世界から綺麗に“上書き”されていた。


 


「記録には……何も残っていない。パン・ゴーレムΩのログも……ない……?」


アロマが眉をひそめる。


彼女の端末には、謎の一文がだけが残されていた。


「美味しかったです。またよろしくお願いします。by カグラ」


 


「ふざけてるのか……?」

「いや、これは高度なバグ情報だ」

「違うわ、ただの食レポよ」


議論が噛み合わない。


 


一方、カグラはというと。


「焼きたてのパンはさ……記憶に残るんだよな……(サクッ)」


今日もまた、せれす亭で焼きそばパンを焼いていた。

周囲には、あの戦いに参加していたはずの面々が、

なぜか普通にパンを食べている。


 


「なんだっけ? さっき、なんか戦争の話してなかったっけ?」


セリスティアが口元をぬぐいながら首をかしげる。


「いや、それたぶん夢だと思う。パンの夢」

「パンの夢ってなに」

「焼きそばと希望が詰まってた気がする」


 


焼きそばパンは、すべてを包む。

世界の演算すら、味と香りに包まれればただの副作用である。


 


「ま、今日も平和だな」


そう言って、空を見上げたカグラの目に──

“パン型の雲”がゆっくりと流れていくのが映った。


 


──世界は修復された。

だが、そこには確かに“焼きそばパンの記憶”が、ふんわりと香っていた。


「それにしても……ほんとに直ったのか?」


シオンが空間をそっと指でなぞる。

空は青く、空間も安定している。パンの粒子も見当たらない。


 


「うん、だいたいね」


カグラが焼きそばパンを頬張りながら答える。


「“だいたい”って何……?」


「バグは修正した。けど、ちょっとだけ世界の“設定ファイル”いじっておいた」

「何してくれてんの!?」


 


セリスティアが頭を抱える横で、ジュースの泉が再び湧き出す。

──だが今度は、ミルクセーキになっていた。


「飲めるようになったから……逆に進化では?」


「進化って言えば許されると思ってない!?」


 


その時、ふと風が吹いた。


その風に乗って、どこからか声が聞こえる。


「焼きそばパンの記憶が、世界の書き換え権限に干渉していた──」


観測者の誰かがつぶやく。


 


アロマが、静かに言った。


「彼の“???”スキル……あれはおそらく、“現実に保存された記録”にアクセスしてる。パンを通じて」


「おい、どんな理屈だそれ!?」


「記憶媒体だよ、パンが。焼くことで、事象が……」


「いやだからどんな理屈だよ!!!」


 


そんな中、カグラはまったく聞いていなかった。


「うーん……焼きが足りないな。もうちょっとカリッとしたい……」


 


今日も彼は、平和な世界で焼きそばパンを焼いている。


記録の干渉?

スキルの謎?

世界の構造?


そんなものより──


「うん、うまい!」


この一言のほうが、よっぽど重要だった。


 


世界は、焼きそばパンで回っている。

少なくとも今のところは。


ついに始まった「世界大戦(仮)」!

魔王軍も人類も、観測者たちも、

ぜんぶまとめて巻き込んで、パンのバグはますます拡大中。


……でも、カグラがいるから大丈夫。

何がどう大丈夫かは説明できないけど、なんか、そういうことにしておこう。

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