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【全属性耐性ゼロ】だったのに、全ての攻撃が効かない最強バグスキルを手に入れました※タイトル詐欺です  作者: Y.K
第1幕

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パンがないなら、空を食べればいいじゃない

パンは空を癒やし、そして“意味”が空に問われた。

……何を言ってるのかわからない人も、安心してください。

僕もよくわかってません(作者)


ということで、第13話では「空焼きそばパン(伝説)」が誕生しました。

焼いたら空間がバグったので、とりあえず持ち帰りました。

冷凍保存のうえ自然解凍してからお召し上がりください。


今回はちょっとだけ“新しい風”も入りましたね。

座ってただけの謎の男、彼が今後どう関わるのか──


 


……関わるのか?(未定)


焼きたてのパンと共に、次回もお楽しみに!

──事態は深刻だった。


 


「……ない」


 


セリスティアが、顔を青ざめさせながら冷蔵庫を開けたり閉めたりを繰り返していた。


 


「……本当に、どこにも……ない……」


 


カグラは床に寝転びながらパンをもぐもぐ。


「何がないんだ? 俺の焼きそばパンならここにあるけど」


 


「それが最後なのよ!!」


 


「なにィィィ!?」


 


《せれす亭》の、パン在庫が。

今ここに、ゼロになった。


 


──最大級の緊急事態である。


 


ミルミは屋台の床下から、奇妙なカゴを引きずってきた。


「なんとかなるよ! ほら、非常用の“乾燥パンの耳”が──」


 


「それ賞味期限3年すぎてるやつ!!!」


「でもカッチカチで、武器にもなるよ?」


「パンに求めてるのは食味!! 武力じゃないの!!」


 


セリスティアが魔導端末を叩きながら言う。


「発注ログは停止中……冷却炉もソース抽出機もメンテ明け待ち……」


 


「つまり?」


 


「──焼きそばパンが作れない。」


 


「ひぃぃぃいぃぃいいいい!!!!」


 


絶叫とともに、屋台の天井がバゴォォォン!!と吹き飛ぶ。


※ミルミが驚きすぎて飛び上がっただけです。修理は後ほど。


 


「どうする!? このままじゃ明日からただの“焼いてないパン生活”になる!!」


 


「そんなのパンじゃない!!」


「ううん、ただの“パンの器”だね!」


「“具が入ってない概念”ってなんだよ!!」


 


──と、そこへ。


カグラが空を見上げながら、ぽつりと言った。


 


「……じゃあ、空でも食うか……」


 


沈黙。


 


セリスティアが、眼鏡をくいっと上げた(※掛けてない)。


「それだわ」


 


「え、えぇ!? おい今の“とりあえず言っただけ”だよ!?!?」


 


セリスティアが魔導端末を開き、空中の魔力分布を高速スキャン。


 


「未登録の浮遊島……魔力構造異常……“空を喰らう”という伝承が残る未開領域……」


 


「なんでそんなピンポイントで“空を食う系の場所”あんの!?!?」


 


「カグラ、出るわよ」


「どこに!?」


「空へ!!」


「パンがなくなっただけでなんで空行くんだよぉぉぉぉ!!!」


 


──こうして。

また《せれす亭》は、パンを求めて──いや、空を求めて飛び立った。


パンがないなら、空を食べればいいじゃない。


 


まさかそれが、次のバグの引き金になるとは──

このときのカグラはまだ、微塵も考えていなかった。


なぜなら──


 


「腹減ったし、とりあえず最後のひとくち食べよ」


 


──もぐ。


──出発から数分後。


《せれす亭》は、空に浮かぶ雲の上をぐんぐん進んでいた。


 


「てかさ、ほんとにあるの?“食べられる空”って……」


カグラが焼きそばパンの包み紙をいじりながらボソッと呟く。


 


セリスティアは操縦席(らしき場所)で真顔。


「魔導地図によれば、ここら一帯は“観測不能空域”。

過去に、飛行型の魔族が消息を絶った記録があるわ」


 


「いや、それ完全にやべーやつじゃん!

なんでその記録読み上げる前に出発したの!?!?」


 


ミルミが嬉しそうに跳ねながら言う。


「うふふ〜! なんか“空の味”がしてきたよ〜☆」


 


「お前、空吸いすぎてハイになってない!?」


 


と、そのとき。


前方に、ぼんやりと揺れる“島”のようなものが見えた。


 


──正確には、島というより……

“空に浮かぶ、もこもこした塊”だった。


 


セリスティアが分析する。


「魔力密度、変動中……

これ、気体のはずなのに“質量”がある……!?」


 


カグラが思わず口を開けて言った。


「うわ、アレ……見た目は完全に……」


 


「──パンだ。」


 


一同、沈黙。


 


「いやいやいやいやいや!! 空がパンってどゆこと!!」


 


島の表面は、なぜかきつね色。

ところどころ、“焦げ目”のような模様すらある。


 


「……ほんのり香ばしい香り……」


「わぁ、これ絶対トーストしてるでしょ!!」


 


セリスティアが真顔で言った。


「カグラ。あれが、空を喰らう島──“ソラミミ領域”よ」


 


「ソラミミ!?」


「正式名称:ソラミ=ミーム=エアリア。略してソラミミ。

古代語で“意味の抜け殻”っていう意味らしいわ」


 


「意味あるようで全然ないーーー!!」


 


《せれす亭》は、そのままパンっぽい空島に“着陸”──というか、“沈み込み”はじめた。


 


ミルミが跳ねながら言う。


「すごーい! 足元フカフカ〜!!」


 


「ねぇこれ本当に空!? いや、見た目パンじゃん!?!? ていうかもうパンでいいよコレ!!!」


 


カグラがふらふらと歩くと、地面(?)が“もちっ”とへこむ。


 


──そのとき。


地面の奥から、“もぐもぐ音”が響いた。


 


「……ん?」


 


「カグラ、今……下、何か喰ってる音しなかった?」


 


カグラが立ち止まる。


そして──


 


地面の下から、聞こえた。


 


「喰うのか? それとも、喰われるのか?」


 


 


「喋ったあああああああああ!!!!」


──地面の下から、声がした。


 


「喰うのか? それとも、喰われるのか?」


 


「いや選択肢どうなってんの!?!?

普通『A.パンを食べる』『B.空を見る』とかじゃない!?」


 


セリスティアがすかさず魔導端末を起動。


「反応あり! 地面の下に、魔力生命体が存在してる……!」


 


「パンの下に生き物いんの!?!?」


 


すると──


 


もこっ……


 


地面(?)の中心が膨らみ、

そこから、**“顔だけ出てる謎のもこもこ”**が現れた。


 


「なんか……マシュマロっぽいな……」


「いやそれ空だよ!? 空がマシュマロになって喋ってるのおかしいでしょ!?」


 


その謎生命体──**“ソラミ=もぐもぐ”さん(仮)**は、

目を細めて、ぬぼ〜っと言った。


 


「我は、この領域を漂いし、空を喰らうもの……」


「おお……!」


「そして──時折パンの味がする空を“焼いて”から食べている」


「焼いてたあああああああ!!!!」


 


カグラが思わず一歩踏み出す。


「え、それうまいの? ていうか俺にもくれよ」


 


「……お前は、焼かれていない。

だが、“焼きそばパンの余韻”を纏っている……」


 


「うわ、その表現やめて!? なんか美味しそうに言わないで!?」


 


セリスティアが静かに状況整理を始めた。


「おそらくこの存在、“空間に漂う記憶”や“意味の残りカス”を喰ってる……

つまりこの島は、**“存在の抜け殻”の集合体”**なのよ」


 


「お、おう……で、それって食えるの?」


 


「うん、たぶん食える」


「マジか!!」


 


もぐもぐが目を光らせた。


「貴様らは、“何を食べて生きている”?」


 


ミルミ「パン!」


セリスティア「パン」


カグラ「もちろんパン」


シオン「……意味を」


 


「お前だけ重いんだよおおおおお!!!!」


 


ソラミ=もぐもぐはしばらく沈黙した後、静かに言った。


「我の“腹”の一部、分け与えよう。

その代わり……お前の“焼き”を見せろ」


 


カグラ「え、焼くの!? 今ここで!?」


 


ミルミがすでに屋台の中で準備していた。


「ふふふ……見せてやろう、“空焼きそばパン”の真髄を!!」


 


「勝手に命名してるぅぅぅ!?!?」


 


──謎の空生命体に“焼き”を披露する謎展開が、今始まろうとしていた。


パンはない。でも空がある。


 


そして、もぐもぐの胃袋の一部が──

謎の“もっちり空生地”として、今ここに提供された。


 


「これ焼いたら……パンになるのか?」


 


「うむ。“意味”が宿れば、なんでもパンになる」


 


「それ、わりと名言っぽいんだけど納得したくない!!」


──空焼き、開始。


 


《せれす亭》の鉄板が、魔導熱炉でじわじわと赤く染まりはじめる。


そこに投入されたのは──もぐもぐ様から提供された、**“もっちり空生地”**である。


 


カグラが思わず口にした。


「うわ、なんだこの素材……ふわっふわしてるのに、ちょっと重力ある……」


 


セリスティアが顔をしかめる。


「空気密度が不安定……! 魔力が空間そのものに編み込まれてる……!」


 


「つまり?」


「焼いたら多分、世界が膨らむ」


「なんでパン焼いて宇宙膨張すんの!!?」


 


ミルミがゴーグルを装着して叫んだ。


「焼きそばパン特攻隊、出動しまーす☆!!」


「言い方やばいからやめて!!出動って何焼きに行く気満々なの!?」


 


──ジュゥゥゥ……ッ


 


魔導鉄板に生地が乗せられると、

空間そのものが“じゅわ~”っと反応した。


 


──周囲の色が変わる。


──雲が逆回転する。


──ソースの匂いが時空を遡って漂ってくる。


 


「やっぱおかしいってこのパン!!」


 


セリスティアの端末が、もはや悲鳴のような音を立てる。


【警告:この焼成行為は“構造干渉”を引き起こす恐れがあります】

【スキル“???”が非意図的に共振中】


 


「うわーー!なんか俺、今スキル使ってるらしいーー!!パン焼いてるだけなのにーーー!!」


 


だが、そのとき。


もぐもぐ様が“もぐ……”と一言うなずいた。


 


「見事だ……この焼き……“余白”を残しつつ、境界を香ばしく仕上げておる」


 


「何評価してんの!?!?」


 


シオンがぽつりと呟く。


「これは……“定義不能の美味”……存在しないはずの味……」


 


「お前も食べたんか!?!?!?」


 


──すると。


焼き上がったパン(仮)が、“ふわっ”と浮き上がり、

空間に**ぶわぁっ!!**とパン香を放った。


 


その瞬間。


 


空島の“一部”が、明らかに満たされたような光を放ち、落ち着いた。


 


セリスティア「えっ……これ、癒し効果ある!?」


 


もぐもぐ「お主らは、“空を焼ける者”だったのか……我は、満足した」


 


カグラ「満足した!? 空焼いただけで!?」


 


もぐもぐは、ふよふよと浮かびながら言う。


「この“パン”──持っていくがいい。お主らならば、“空の続き”すら食えるかもしれぬ」


 


「……え、なんかアイテム化したぞ!?!?!?」


 


──カグラ、“空焼きそばパン(伝説)”を手に入れた!


 


「やったー!! これで明日もパンが食えるー!!」


 


セリスティア「でも……ほんとに食べて大丈夫なの?」


「たぶん」


「“たぶん”やめろぉぉぉぉぉぉ!!!!」


──空焼きそばパン(伝説)を手に入れたカグラ一行は、しばしの静寂を迎えていた。


 


セリスティアがパンを包みながら呟く。


「空焼きそばパン……香りは、普通の焼きそばパン。

でも、魔力が……時間の流れにまで影響してる……」


 


「食べたらどうなるの?」


 


「多分、“明日”に飛ぶ」


 


「そんなバグみたいなパンあってたまるかあああ!!!」


 


その横で、ミルミがもぐもぐ様と話していた。


 


「じゃあね〜もぐもぐ! またパン持ってくるね〜!」


「うむ。そなたらが次に来る時まで、空を寝かせておこう……」


「寝かすんだ!?」


 


もぐもぐ様は、ふわ〜っと浮かびながら静かに告げた。


 


「かつて、我は“空の味”に飽いた存在であった。

だが、お主らの焼いたそれは……空を、パンに変えるほどの魔性だった」


 


「なんかすげぇ褒められてる気がするけど素直に喜んでいいのかわかんねぇ!!」


 


シオンが珍しくうなずく。


「空間に意味を焼き込む……

まさに、“概念をトースト”したような……」


「哲学ワードで遊ぶなあああああ!!!!」


 


セリスティアが真面目な顔で操縦席に座る。


「そろそろ、島が不安定化してきたわ。

焼きが入りすぎて、空間が柔らかくなってきてる」


 


「何そのバグ理論!? パンは空をも溶かすのか!?」


 


ミルミ「パンで世界が救える時代が来てるんだよ☆」


 


──そして、《せれす亭》は離陸した。


空島から離れるにつれ、背後の“もっちりパン空間”は

ふわふわと光を放ちながら、ゆっくりと閉じていく。


 


──まるで、それが初めから幻だったかのように。


 


カグラがぽつりと呟いた。


「……パンが……空を癒やしたのか」


 


シオン「パンが、“空っぽ”を満たしたのだな」


「やかましいわ!」


 


ミルミ「じゃあ帰ったら、さっそくこのパン……」


 


「食うなあああああああ!!!

まだ何が起きるかわかんねーんだから保存しとけー!!!」


 


セリスティア「ちゃんと冷凍して、解凍は自然解凍にするのよ?」


「保存方法が具体的ぃぃぃぃ!!!!」


 


──こうして一行は、謎の空島“ソラミミ”との邂逅を終え、

次なるバグへと向かっていくのだった。


──《せれす亭》、帰還中。


空を漂うパン香をまき散らしながら、ゆったりと飛行を続ける屋台。


船内では、みんなが静かに一息ついていた。


 


ミルミ「ねえねえ、カグラくん、あのパン半分こしよ?」


カグラ「やめろ、世界が分裂する」


 


セリスティアはというと──なぜかキッチンで“補助焼き”の準備をしていた。


「次の焼きに備えて、空気圧整えておかないと……」


「パン屋かよ!!」


 


そんな中──


ふと、視界の端に“白い点”が見えた。


 


セリスティアが目を細める。


「……視認範囲に、“動かない存在”を感知」


 


《せれす亭》が徐々に近づくと、そこには……

“浮島の端”、崖のような岩に腰かけて、静かに座るひとりの男がいた。


 


──白い髪、白いローブ。


片目を髪で隠し、微動だにせず、空を見つめている。


 


カグラが焼きそばパン片手に言った。


「誰……?」


 


セリスティア「魔力反応、ほぼゼロ……でも、空間が歪んでる……」


ミルミ「ん〜? なんかあの人、パンの匂いしないね〜」


 


そのとき、男が、ゆっくりとこちらに顔を向けた。


片方の目に、**“観測封印の紋章”**がうっすらと浮かんでいた。


 


男は、静かに口を開いた。


 


「焼きたての……匂いがするな」


 


「え!?パンの話!?」


 


男は、何かを確かめるようにゆっくりと立ち上がった。


そして、こちらを見て呟いた。


 


「君たちは……“焼ける側”か?」


 


 


「えっ!?どっち!?それとも食われる側!?さっきのもぐもぐの仲間!?」


 


男はそれには答えず、空を見上げたまま、ただひとこと。


 


「パンの夢を見ていたよ。

焼くことでしか、救えない世界の夢を──」


 


「急に詩人きたあああああああ!!!」


 


──そして、男はその場にふっと座り直し、何もなかったかのように静かに微笑んだ。


 


セリスティア(小声)「……あの人、見たことある……多分、昔、魔術院の資料で……」


カグラ(小声)「え、やばいやつじゃん」


 


男の周囲にだけ、時間の流れが、ほんの少し……違っていた。


風が止まり、空が静まる。


 


だが、そんな空気をぶち破るように、ミルミが叫んだ。


 


「とりあえず〜! このあと焼きそばパン食べる人〜!!」


「手ぇ挙げんなああああああああ!!!!」


 


──次回

『次回 その男、パンか意味かで悩んでいた』


お楽しみに!



お疲れ様でした!

空焼きそばパン、美味しそうでしたね(存在がバグってたけど)


今回は空島での焼きと癒やしの物語でしたが、

ラストには“意味深すぎる男”が登場しました。

名前? それは次回明かされるか、明かされないかのどちらかです!(投げた)


焼く者と、意味を問う者。

パン派か、詩人派か。


そんなことはどうでもいいので、

とりあえず次回も焼きそばパン片手に読みに来てください。

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