規格外って、もはや何なんですか?
どうも、焼きそばパン在住の主人公・カグラ(無敵)です。
……え、在住じゃない?いやいや、もはや人生の半分がパンなんで。
今回は、謎の重装備集団に囲まれたり、光の矢で撃たれたり、世界律管理機構とかいうヤバそうな団体にバグ扱いされたり……。
え、これギャグじゃなかったの!?って思ったそこのあなた。
安心してください。パンはまだ温かいです。
そんなこんなで、
今回も「世界観?なんそれ食えんの?」精神で突っ走っていきます!
「ない……ない……ないっ!!」
朝から、カグラの叫び声が《白の庭園》に響き渡っていた。
「おいセリスティア!! 俺の焼きそばパン、どこいった!?」
「えっ!? 冷蔵庫に入ってたやつ?」
「そう!! 昨日の夜、明日の朝ごはんにしようって決めてたアレ!!」
「知らないよ!? 私は……昨日の夜はスープしか飲んでないし!」
「スープ!? 焼きそばパンの前では空気だぞ!?」
「知らんがな!!」
──こうして、庭園内で【焼きそばパン失踪事件】が発生した。
「絶対どっかにあるはずなんだ……犯人はまだこの中にいるッ!」
「ミステリー物みたいに言わないで!? てか、中って庭園広すぎて無理あるよね!?」
カグラは、謎のカツラをかぶって「名探偵モード」に突入していた。
「まずはセリスティア、君だ。お前は昨日の夜、どこで何をしていた?」
「だからスープ飲んでただけだって!」
「ふむ……スープね。味は?」
「……トマトコンソメ」
「くぅぅぅ! ちょっとオシャレ!! なお怪しい!」
「理不尽!!」
そこに突如──
「ミルミ参上〜〜〜!!」
「出たぁぁ!! お前かあああああ!!」
「え? なになに!? 挨拶しただけだよ!?」
「昨日のお前のセリフ、覚えてるか!?」
──『カグラの焼きそばパン、おいしそうだったね~♡』──
「完全に犯人じゃん!!」
「いやいや! 拾っただけだよ!? 庭の端っこに落ちてたから、てっきり誰か捨てたのかと!」
「おい、それ120km先で拾ったって言っただろ!!」
「記憶、改ざんされてるかも……(てへぺろ)」
「てへぺろの範疇越えてるわ!!!!」
セリスティアはぐったりしていた。
「……なんでこんなことで朝から疲れてるの、私」
──しかし、事態はまだ序の口だった。
次の瞬間、ミルミが懐から“何か”を取り出す。
「じゃーん! だから代わりに作ってきたよー! ミルミ特製・焼きそばパン(仮)!」
どこから見ても、ただのラーメン挟んだバンズだった。
「いやこれ……“焼きそばパン”じゃなくて“ラーメンバーガー”やろがい!!」
「だってさ、麺入ってるし、炭水化物in炭水化物だし!」
「概念が雑すぎる!!」
セリスティアも困惑している。
「これ……味の想像がつかないんだけど……」
「うっかりお湯かけたら膨らむ系パンじゃないよな……?」
──こうして、“消えた焼きそばパン”の謎を残したまま、ラーメンパンが着地して幕を閉じた。
「くそ……犯人は絶対、ここにいる……!!」
「もういい加減あきらめよ!? 焼きそばパンだけに執着しすぎ!!」
「……ということで!!」
セリスティアがドヤ顔で指を鳴らすと──
**ボンッ!!**という軽い爆発音とともに、庭園の地面がせり上がった。
「見て見て〜! 焼きそばパン屋台《せれす亭》、爆☆誕!!」
「出たーーー!! 何この屋台!? めっちゃメカメカしいんだけど!?」
そこにあったのは、どう見ても魔導炉で動いている半分メカ、半分和風屋台だった。
なぜかタコ焼き機も標準装備されている。
「……てか、さっきまで“中立拠点”だったこの庭園に、こんなの埋まってたの?」
「うん。地下にあるって言ってなかったっけ?」
「聞いてない!! 情報が唐突すぎる!!」
ミルミも大はしゃぎで店先に並ぶ。
「いらっしゃいませ〜☆ 当店のおすすめは〜〜、焼きそば“風”パン!」
「風ってなんだよ!! 本物どこいった!!」
「今はないから、心で補って!」
「お前らほんとヤバいな!?」
だが──
突如、**“ぴろんっ”**という機械音が鳴り響く。
「えっ……?」
カグラが屋台の上に設置された謎の“オーダー端末”をのぞきこむと──
【ご注文:焼きそばパン×999】【お届け先:王国・魔術院前】
「いやおかしいだろ!!!!」
「うふふ……この屋台、王国の通信網にも接続済みなの♡」
「“文明属性”ってそういう意味だったのかよ……」
だがさらに──
**ゴゴゴ……ッ!!**という地鳴りとともに、屋台の“後部ハッチ”が開く。
「えっ……?」
「まさか……あれ、走るの……?」
「え、うそ、俺このあと絶対なんか巻き込まれるやつじゃ──」
「出発進行ッ!! 出前開始〜〜!!」
「待てえええええええ!!!!!!」
──《せれす亭》、謎の自走機構により王都へ向けて発進。
なんとカグラを乗せたまま、焼きそばパン999個を届けに行く大暴走が始まった──!
「誰だよ!! 焼きそばパン屋台に四次元エンジン積んだやつ!!!」
「私だよ!!」
「自白が早い!!!」
──王都・王立魔術院前。
突然現れた謎の屋台《せれす亭》が、異音と蒸気を撒き散らしながら突っ込んできた。
「どけどけどけーい!! 出前通りまーす!!」
「暴走してるぅぅぅ!?!?!?」
屋台の上で、カグラが泣きそうな顔でしがみついていた。
「止まれ!!止まれって!!焼きそばパンの納品に命かけるな!!!」
「大丈夫よカグラ、減速装置はちゃんとつけてあるわ!」
「ほんとか!?」
「……“たぶん”ついてる」
「絶対ウソだあああああああ!!!!」
そのまま屋台は、魔術院の正門前にドリフト着地。
タイヤないのにドリフトした。意味がわからない。
「ふぅ、到着〜。ほら、納品先ここでしょ?」
セリスティアが微笑みながら、焼きそばパンの入った箱を魔術師たちに差し出す。
「さぁ、どうぞ。“999個の焼きそばパン”よ!」
「……これは、いったい……?」
メルゼスが眉をひそめる。
「注文した記憶はないが……」
「え、えっと……」
奥のほうから若手の魔術師が小さく手を挙げる。
「お、お昼……混むから先にネット注文しときました……すみません……」
「お前かぁぁああああ!!!!」
その瞬間、魔術院前にあつまった兵士・魔術師たちが一斉に拍手。
「うおおおおおお!!」「神!!」「昼メシきたぁぁ!!」
なんとこの騒動、ただのデリバリーだったことが判明。
しかもめちゃくちゃ喜ばれている。
「いや喜ばれとる!! なんだこれ!? 俺、敵視されてたんじゃないの!?」
「うん。でもお昼はお昼だからね」
「ギャップすごいなお前ら!!」
──だがそのとき。
「おい、見ろ! 端末がまた……!」
魔術師のひとりが叫ぶ。
セリスティアの胸元の魔導端末が、また赤く点滅を始める。
【Warning:存在ログ異常】【構造干渉:不可逆性を検出】
「いやな予感しかしねぇえええええええ!!」
そして──
空間に、“ビリビリッ”と裂け目が走った。
「うわっ、また何か来るっぽい!! 今回は昼飯タイムにやめてえええ!!」
現れたのは──
以前と同じ、“世界律管理機構”の黒衣の観測者。
だが今回は、二人目の黒衣がいた。
「……観測対象:焼きそばパン屋台。レベル“意味不明”と判定」
「そりゃそうだろ!!!」
観測者たちは無表情で言った。
「……対象カグラ・シノノメ。“昼食による精神安定”が、世界構造に影響を与えています」
「影響与えちゃダメだろ!? 焼きそばパン食ってるだけだよ俺は!!」
──こうして魔術院前は、
・焼きそばパンで感涙する魔術師たち
・観測者による次元干渉警告
・セリスティアが屋台でたこ焼き焼き始める
・ミルミが意味なく踊ってる
という、カオスの極みとなったのであった──。
「カグラ・シノノメ、観測外個体としてのログがまた増加中です」
「いやいやいや、観測ってなに!? パン食ってただけなんだけど!?」
「……パンの咀嚼音ですら、空間波に干渉している」
「意味がわからん! 焼きそばパンは無害だろ!?」
観測者のひとりが、端末を取り出して読み上げた。
「6月某日──“焼きそばパンをむしゃむしゃ食べたら空間がゆがんだ”。
7月某日──“パンが潰れて号泣してたら、周囲の魔力が不安定になった”。
同日──“庭園でパンをかじっただけで観測不能領域が発生した”──」
「ちょっと待って!? 俺のパン日記じゃん!? それどっから流出した!?」
「我々が記録しました」
「だから観測やめろってば!!」
セリスティアが庇うように前に出る。
「この子は、たしかにちょっと意味不明だけど、悪いやつじゃないのよ!」
「意味不明って言ったな今!?」
そのとき、突如として空間に“通信妨害”の警告が。
【警告:観測ログが過負荷です】
【スキル“???”の副作用により、解析不可能なエラーを検出──】
観測者たちが一斉にざわつく。
「……あのログ、“読めない”……」
「構文崩壊?」「いや、これは……“存在の定義が、外れている”……?」
「だから意味がわからんて!!俺はただの焼きそばパン男子だっつの!!」
「いやもう、その“焼きそばパン男子”って呼称がまず意味わからん」
そのとき、またしても──
“ノイズ”とともに空が歪んだ。
今度は観測者ではない。
「ぬわぁぁぁ!! もう無理!!」
そう叫びながら、ミルミが逆方向からすっ飛んでくる。
「拠点に迷子になって戻れなかった〜〜!! でもパーンの匂いで来たぁ!!」
「鼻で来たんかお前!?」
「でも……うふふ、よかった……カグラが、食べられてなくて……」
「いや誰が何に食べられそうだったの!? 空間!? 世界!?」
すると観測者の一人が、すっと手を挙げる。
「……結論。彼の存在は、因果律を超えている。**焼きそばパンすら“触媒”**と化す」
「なんだその結論!!」
カグラはついに叫んだ。
「お願いだから!!もう俺を観測しないでくれぇぇぇ!!」
すると──観測者たちはそろって黙り込み、しばらく考えた後……
「……了解した。“観測打ち切り”を提案する」
「おぉ、話わかるじゃん」
「──だがその代わり」
「ん?」
「“記録映像”として、YouTubeにアップロードする」
「やめろおおおおおおお!!!!」
セリスティアが真顔で言った。
「やめて。肖像権」
「姫、強ええええええ!!!!」
こうして、王立魔術院前の混乱は収束──したかに見えたが。
──翌日。
カグラとセリスティアは、焼きそばパンを求めて街へ出た。
「ちょっと待って!? なんで王都を経由しないとパン屋行けないんだよ!!」
「王都がいちばん焼きそばパンの品揃えいいのよ。マニア界隈では有名」
「そんな界隈あるの!? てか俺いつからそっち側に!??」
だが、王都に入る前に──
「待てい!!!」
バアァン!!!
馬車を止めて現れたのは、筋骨隆々の男──**“焼きそばパン税関騎士団”**だった。
「本日は国王陛下の命により、すべての焼きそばパンの搬入・持ち出しを検査するッ!!」
「え!? なんで俺たちパン密輸犯みたいになってんの!?」
団長らしき人が、キリッと眉を吊り上げる。
「報告によると、“焼きそばパンを経由して空間が歪んだ”と……。
──この国にとって、パンはもはや兵器である!」
「兵器言うな!! ふにゃってるんだぞ!? やわらかいぞ!?」
セリスティアが馬車の窓から顔を出す。
「王命? 誰の命令?」
「それは──国王陛下より、直々に」
カグラ、そっとセリスティアを見る。
「……お前の親父?」
「……多分、私のパンの買い食い記録がバレた」
「えええええええええ!!?」
団員がひとり、袋を掲げる。
「発見しました! カグラ=シノノメの“常温保存焼きそばパン5個パック”!」
「やめろおおおお!! 俺の非常食!!」
「一応、全部検査します。いただきまーす」
「食うなあああああああ!!!!」
その瞬間──
バゴォォォン!!
パンの袋が爆発した。
「うわああああ!?!?」
「なんで爆発したの!?」
セリスティアが真顔で一言。
「カグラのスキル、“無効”が入り込んでパンに変質したのよ」
「なんでそんな地雷パンみたいになってんの!!?」
団長が泣きながら叫んだ。
「こんな危険物を……! よくぞ素手で食べていたな!!」
「いや、知らんかったんだって!!ただ腹減ってただけなんだって!!」
そのとき──
「緊急速報!! 魔王軍が国境を越えて“焼きそばパン工房”を占拠した模様!!」
「おいおいおいおいおい!? パンで戦争始まってない!?」
──そのとき、空に爆音が響きわたった。
「空を見ろ!!」
「焼きそばパン型の飛行艇が……!」
ズドドドドド!!!
空を割って現れたのは──
魔王軍特製・浮遊戦艦。
巨大なパン型機体が、天を覆う。
「パンの形してんじゃねーか!!!」
「しかもめっちゃふっくらしてる……あれ絶対、いい焼き加減だわ……」
そこから現れたのは──
「やっほーーー!! また会ったね、カグラくん!!」
魔王の娘・ミルミが、ソースの香りをまとって登場した。
「またお前かああああああ!!!」
ミルミはきらきらした目で手を振る。
「見て見て~! 焼きそばパン量産機だよ! 魔導炉でフル回転中っ!」
「なにそれ!? ていうかパン製造で空間歪めるな!!!」
地上では、王国軍が展開し始める。
「魔王軍のパン工房を取り戻すぞーー!!」
「パンの自由を守るのだ!!」
空ではパンミサイル、地上ではソース爆弾。
──世界は、いま“炭水化物による戦争”の時代へ突入しようとしていた。
そのとき、静かに現れたひとりの人物。
黒髪ロング、無表情。
魔王軍所属・情報解析官──アロマ。
「状況、記録中……。カグラのスキルが、焼きそばパンに干渉した結果、現実改変の連鎖が始まっている……」
「やめて!? パンで現実改変しないで!?!?!?」
アロマはそっとメモを取りながらつぶやいた。
「この世界、もう終わりかもしれない……」
「やめてえええええ!!!」(カグラ)
そして──
「まもなく、カグラ=シノノメの“第三のスキル”が発動します」
「なにィィィ!? 俺まだスキル隠してたの!?!?!?」
「発動条件:焼きそばパンの“耳の部分”が潰されたとき」
「そんなピンポイントトリガーあんの!?!?」
その瞬間──
ぺしゃっ……
「うわあああああああああ!!! 耳が潰れたああああああ!!!!」
【スキル:???《Ver glitch-∞》発動──】
世界が、バグった。
空が裏返り、パンが浮かび、軍隊がカオスなダンスを踊りはじめ──
「……もう知らん!!!」(カグラ)
「わたし、ついていくよ!!!」(セリスティア)
そして、世界は“パンに支配された混沌の戦場”へ──
──次回予告──
魔王軍?パン焼いてからでよくない?
お疲れ様でした。
焼きそばパンは無事でしたか?(半分潰れたけど)
セリスティア姫がついに「ガチ保護者」として本領発揮し始めた今日この頃、
世界は着実にバグってます。主人公もバグってます。
さて、次回は「魔王軍?パン焼いてからでよくない?」ということで、
カグラのスキル「???」の謎に……はあんまり迫らないかもしれません!
とりあえず、次も焼きそばパン片手に、お楽しみに!




