祭りの日の二度寝
飛行魔法具を作ってから車に乗っていない。荷物が有る時は必要だから、教育大隊へ行く直前に親父さんに譲ろう。親父さんに譲るなら兄貴は文句を言わないだろう。
早朝だけどフォルテも飛んでいる。昨日までの二日間はベランダから離発着している。だから気軽に空の散歩が出来るよね。
フォルテの飛行魔法具は俺のに比べ格好良いよな。フォルテならカラーリングはパステルカラーかな。
俺のは二人で腰掛けて花火を見る為に作ったから今回は仕方ないか。俺の方が持ち運びしやすいけど、商店街を持って歩くには邪魔だから、出先では有人駐車場に置いとくしかないか。
盗難防止も何か考えた方が良いな。
「おはよう、天気が良くてお祭り日和だね」
「主さん、おはようございます。早いですね」
「フォルテもね。祭りの日だからかな。それで今日は食堂が休みでしょ。お腹が空いたから、モーニングをやっている店に行かないか?」
「この時間にですか? まだお日様が出ていませんよ」
「やっていないの?」
「海まで行けば漁師さん相手のお店が開いてるかもです。でもその前に着替えた方が良いですよ。タイカちゃんは私がお誘いします」
気軽過ぎてパジャマのままだった。
「フォルテはどうしたの?」
「私は朝のお散歩です。間もなくパン屋さんが開く時間ですから、買ってきましょうか? 私も着替えてからになりますが」
フォルテもパジャマだった。
似た者同士だ。
「俺は財布も持ってこなかったな」
「結局、お散歩ですね。私達似た者同士ですね。主さん」
「同じことを思った。不思議ちゃんではないけどね」
「でも、パジャマでお空を散歩していますよ」
「そうだね。でも、こんなに早く起きると、花火の時に眠くならないか心配だな」
「私は元々、二度寝をするつもりでパジャマのままなのです」
「俺も少し寝ようかな。フォルテに会えて、なんか良い夢が見られそうだから」
「私も。それでは夢の中でお待ちしています」
「俺は戻るね」
「私も戻ります。おやすみなさい」
「また後でね。おやすみ」
戻るとエアちゃんが起きている。
『主。おはよう』
「エアちゃんおはよう。俺はもう少し寝るね」
『うちのお風呂のお水とご飯、変えてからにしてね』
「はい、了解です」
二度寝はなぜ、すぐ眠れるのか?
そして、なぜ寝坊するのか?
お祭り開催の花火の合図で目が覚めたのは、俺だけではなかったので安心したが、たとえバイトでもお仕事がある人は注意をしないとね。
慌てるとスリッパで行くことになりますよ。
いえ、一般論です。不特定多数が対象です。叫んでいないで、早く行ってください。
「行ってらっしゃい」
「ランちゃん、気を付けてね」
ランさんのベランダ側に浮かんで見送るつもりが、飛行魔法具に跨がったと思ったら、今度は鞄の中を漁り始め、なかなか出掛けられないようだ。
「無い無い無い。なーい。何で無いのよ。ごめんフォルテちゃん、あとから予備の魔石を交番まで持って来て」
「はい、分かりました。いってらっしゃい」
「戸締りも御願いね、いってきまー」
「はえー。ようやく出掛けたと思ったら、もう着いた」
「速いです。急旋回と急上昇以外の全ての急をランちゃんが実験してくれました」
「そろそろ、タイカを起こしてご飯を食べに行こう」
「起きたみたいですよ」
「おはよう。何か騒がしかったね」
「おはよう、タイカ」
「タイカちゃんおはよう。ご飯を食べにいきましょう」
「おなかが空いていないから二人で行って、私はもう少し寝ることにするから」
「「えっ?」」




