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あーくんあのね、きょうね。  作者: 吐 シロエ
ねがいとぼうけん
16/38

16 あたらしいせかい

「すぅ……んん……」


「旦那~、そっちは落とし穴だぜ……」


「これは……絶対映えるやつだよぉ~」


 お月さまも眠りについた頃。あーくんとこぐまさん、くらげさんは思い思いの寝言を呟いています。


 その時です。急にまばゆい光とともに、家がぐらぐらと揺れました。


「何!?」


「地震か!?」


「わーお」


 似たようなことがあることを、あーくんは思い出します。少し前に、お星さまが現れた時とほとんど一緒です。


「お、お母さんは!?」


 あーくんは急いで部屋のドアを開けると、そこにはなんと森の木々やツタなどの広大な自然が広がっていました。


「え……」


「どうした旦那……ってうお!?」


「森だねぇ」


 あーくんのお母さんはというと、異変に全く気づいておらず、部屋のベッドで薄く微笑みながら眠っていました。


 あーくん、こぐまさん、くらげさんの三人は恐る恐る森の方へと歩いていきます。


「なんでだ……? さっきまで、普通の部屋だったのに」


「だよねぇー」


 こぐまさんとくらげさんが呟くと、どこからか声が聞こえてきました。


「それはなぁ。お天道様(てんとさま)が、お前さんたちの願いを叶えてくれたんだよ」


「誰!?」


「誰って言われてもなぁ」


 あーくんが叫ぶと、青年は器用に木の枝に立って地面へと着地します。


「俺は正真正銘の狼人間。気軽に『おおかみさん』って呼んでくれ」


 おおかみさんは黒い髪に灰色の瞳。服装は黒いズボンとジャケット、インナーをはおっていました。


 極めつけには猫耳と、ふさふさの尻尾が生えているのです。


「お……」


「お?」


「おおかみさんだー!」


 あーくんはおおかみさんへ飛びつき、おおかみさんの猫耳を興味深くさわったり、おおかみさんに『高い高い』をしてもらいました。


「なぁ、旦那とあいつって知り合いだったか?」


「さぁねぇ」


 こぐまさんはくらげさんに耳打ちすると、くらげさんはのんきな返事をしました。


 それを聞いたこぐまさんは、誰にも聞こえない程度に舌打ちをします。


「……おおかみぃぃ!!」


 そして、おおかみさんに全力で蹴り技を放ちました。


「おっと、なんだ!?」


 しかしこぐまさんの怒りは打ち破られ、おおかみさんに避けられます。


「……」


「むしゃあ」


 あーくんは突然の光景に呆気に取られ、こぐまさんはポップコーン片手につまんでいます。


「どっちが旦那の相棒にふさわしいか勝負だ!」


 こぐまさんの申し出に驚いたおおかみさんでしたが、誰にも聞かれないくらいに呟いて、


「……あぁ、そういうことね」


「いいぜ、こぐま! 勝負しよう」


 ギザギザに尖った白い歯を見せながら、にやりと笑ってみせました。

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