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あーくんあのね、きょうね。  作者: 吐 シロエ
であいとなかなおり
14/38

14 だいじないばしょ

 あーくんが最後に目覚めた場所は、真っ暗闇の世界です。


 今までの場所とは違い、どこかほの暗さを感じました。


 ゆっくりとお月さまの色をした目を開き、あーくんは周りを見渡します。


「あーくん、怖いの……」


 そう言って抱きしめたはずのこぐまさんが、いないことに気づきました。


「こぐまさんがいないのは、さびしいの……」


 あーくんはずっと、こぐまさんを信頼していました。


 五年間ずっと一緒にいたこぐまさん。寝るときもいつも一緒で、抱きしめないと落ち着かない、あーくんが大好きな小熊のぬいぐるみ。


「うっ……ぐすん」


 あーくんの瞳から涙が流れました。しかし、この世界では下に落ちるはずの涙は、上へと吸い込まれていきます。

 

「こぐまさん、ごめんなさい……。けんかして、ごめんなさい……」


 その時です。あーくんと同じように、すすり泣く声が聞こえてきました。


 よく見てみると、その人は縮こまって涙を流しています。


「だいじょうぶ……?」


 その人は短い茶色の髪をしていて、つぶらな黒い瞳をしていました。


 まっさらな白い長袖シャツを身に包み、黒い短パンと真っ赤なリボンが目立ちます。


 あーくんは、似たような人を見たことがあるような気がしました。けれど、なかなか思い出すことができません。


「大丈夫じゃない……」


 茶髪の人はそう言いつつも、涙をぐいっと拭って立ち上がります。


「おれ、ずっと待ってるんだ」


 あーくんは何か分からなくて、首をかしげました。


「おれとずっと一緒にいてくれて、大事にしてくれる人を」


 途端、あーくんは茶髪の人に抱きしめられました。あーくんは目を見開いて固まってしまいます。


「ずっと、待ってた」


 あーくんは一つの可能性を口に出します。


「こぐま、さん……?」


 すると小さかった茶髪の人が、人間のこぐまさんの姿へと変わっていきます。


「あぁ、そうだ。旦那が大好きなぬいぐるみの、こぐまさんだよ」


 こぐまさんは優しい笑みを浮かべ、右目から温かい涙を流します。


 真っ暗な世界が、あーくんの部屋に変わります。そこにはくらげさんもいました。


「めでたしめでたしー」


 くらげさんは、二人の写真をガラケーで撮影します。


「えへへ、めでたしだね」


 あーくん達に幸せな空気が包まれていきます。


「おい! オレはまだ旦那と冒険してねぇぞ! それに……」


「それに?」


「なぁにー?」


 あーくんとくらげさんは、何の気なしにこぐまさんを尋ねます。


「まだ話したいことがいっはいあるんだよ! まだベッドで『ぼよんぼよん』もしてねぇし!」


「あ、ほんとだ!」


 あーくんは納得して軽く手を叩きました。


「ほらぁ、こぐま。やっぱりこぐまは一人ぼっちじゃないし、愛されてるじゃん」


「うっ、うるせぇな!」


 くらげさんはこぐまさんをからかって、ガラケーの再生ボタンを押しました。


『ずっと、待ってた』


「ぎゃあぁぁぁ!?」


「恥ずかしい……。やめろ、本当……」


 こぐまさんの顔はリボンよりも赤くなり、恥ずかしさで顔をおおいます。


「これからも、ずっと一緒だねぇ。ひゅーひゅー」


「うるせぇぇ!!」


 こぐまさんとくらげさんの喧騒は、お月さまが空に映るまで続きました。

勘違いされる方もいるかもしれませんが、まだ完結はしてないです…!

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