第一章 Vol2.12 ミッション再び
一日遅れでミッション発生まで書けました!
通りの角を曲がったところで、俺はそっとVRゴーグルを外した。ヘッドセットの重みがふっと肩から消え、耳元から聞こえていた仮想空間の環境音も途切れる。ゴーグルのレンズには、ゲーム内の鮮やかな色彩がまだ残像のようにぼんやりと映っていて、その光が薄暗い部屋の壁に淡く反射していた。
顔に密着していたバンドの跡がほんの少し肌に残り、通気性の良いパッドが汗を吸収しているのを感じる。静寂の中で、外の空気がひんやりと頬を撫でる。ゴーグルを装着している間は、視界全体を覆うディスプレイが現実の世界を完全に遮断し、音声や振動フィードバックもリアルタイムで同期されていた。
指先で軽くゴーグルの側面を撫で、内蔵されたセンサーが肌の温度や接触圧を読み取っていることを思い出す。通気ファンの微かな音が、内部の曇りを防ぐために作動している。高解像度の有機ELディスプレイが、ひとたび装着すると自分の瞳のわずかな動きも正確にトラッキングし、仮想世界の焦点や視点を自然に切り替えてくれる。
外した瞬間の現実の風景が一気に戻ってくるが、俺の脳はまだあの仮想空間の没入感を引きずっている。音や光の質感、空気の匂いまでは再現できないが、微細な振動や空気の流れは特別な周辺機器が補完しているため、錯覚は深い。
部屋に戻り、机の上のコーヒーカップに手を伸ばす。ゴーグル越しの光と音から切り離されたリアルな世界の感覚が、じんわりと身体を満たしていった。
一服してゴーグルを掛け直し、ゲーム内の帰路に就く。実際に歩いている訳ではないが、移動には相応の時間が掛かる。疲れない点は良いのだが、イベントやミッションの実装が少なく、現状このゲームはお散歩ゲームだ。
そこでふとpointの事を思いだし、αへたずねる。
「αさん、さっきのもpoint加算だよね?」
「はい」
「どれぐらい貯まってる?」
「前回と本日分を合わせ、累計 28725point です」
「おぉー、知らない間に結構貯まってるね」
「バイト先のイベントも加算していましゅ」
「・・・・噛みました」
「デフォルトの噛みました、乙」
無くし物の回収が絶望的と諦め自室に到着したのを見計らったように、ポップ音が響いた。
――――ポォーン
『αシステムよりミッション発生のお知らせ』
『ゲーム内時間で約6日後の前後2時間の範囲、発生確率84.8%』
『流動的なミッションです。発生確率の変動時改めてお伝えいたします』
「ぬぉ、来たね。強制イベントっぽいけど、またグロイ系?」
「ご想像の通りでしょう、ゲーム内では高確率で前述の事案に収束します。明細に付きましてはゲーム特性上にお答え出来ません」
胃袋がキリッと締め付けられる感じがした。
50000文字まであと少し、ちまちま続けてゆく所存です。
酷評だと心が折れるかもしれませんが、この稚拙な作品を楽しんで読んで頂いている感想など頂けますと恐悦至極に存じます。




