第一章 Vol2.06 珍獣発見?!
祝PV500超え こんな拙い話を読んで下さりありがとうございます。
引き続きお楽しみいただけるようお願い申し上げます。
本日最後の上映が開始される。
日付変更線を超え、国道を走る車も少なくなってきた。
静寂に包まれた深夜の商業施設に、ほんのわずかに人の気配が残っているだけだ。
販売ブースの片づけに取り掛かる。
ソフトドリンクのサーバーを丁寧に清掃し、甘い香りのするポップコーンの屑をこっそりつまみ食いしながら、着手できるところから少しずつ片づけを進めてゆく。
販売ブースのグッズは、映画終了時にもわずかに売れることがあるため、カウンターには女性のバイトが一人残っている。
気怠い時間がゆっくりと流れていく。
長時間の立ち仕事で足がむくみ、靴の中でじんわりと痛みが広がっているのを感じる。
「瀬上、温水さんは見たことあるだろ?」
トイレの掃除を済ませ、ジョブリストをチェックしながら歩いていると、松山氏がすれ違いざまに声をかけてきた。
「彼女、面白いから、話しかけてみると退屈しないぞ」
カウンターに立っている女性へ視線を送りながら通り過ぎる松山氏の表情は、何とも楽しげだ。
……俺に話しかけろって、上司命令ですか?!
まぁ、手持無沙汰だし、いいか……。
深夜1時を回り、まともな思考回路が動いていない脳に鞭打ち、俺はその提案に乗ることにした。
いや普通は乗らないんだけど。
「温水さん、お疲れでないですか?」
俺の声に、女性はゆっくりと顔を上げた。
「……ん?……瀬上君……でよかったっけ?」
お?俺の名前、覚えてくれてるんだ。
ぽっちゃりした胸・大きなつぶらな瞳が、こっちをじっと見つめている。
制服のボタンは上から2つほど開いていて、本人曰く息苦しいので閉められないそうだ。
パッと見は高校生に見えるけど、短大2年の20歳だという。
おっとりとした雰囲気で、まるで優しいお母さんみたいな印象を与える。
「……う~ん、不思議なのよねぇ、海の生き物って……」
突然、斜め45度から不思議そうな視線で疑問が投げかけられた。
「はぁ……?」
「だってさ、海の中にはあんな辛い生き物がいるでしょ?」
「……おっしゃってる意味がよくわからないのですが……」
「明太子って海の底をうねうね泳いでるんでしょ?」
……誰だ、その奇妙奇天烈な生き物の存在を彼女に教えたのは?!
「どこが口で、何食べたらあんなに辛くなるのかなぁ……」
「私、もう3か月くらい考えてるの……」
痛いです、早くネットで調べてください……。
俺の動揺する姿を見て、松山氏がフロアの隅で声を殺して爆笑しているのが見えた。
深夜の静寂の中、こみ上げる疲労と精神的ダメージに俺は深いため息をつく。
……これから先、まだ何時間もこの仕事は続くんだよな。
バイト上がりのラーメンって美味しいですよね。
遅い時間に食べると太るのが玉に瑕ですが・・・・




