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婚約破棄された令嬢は変人公爵に嫁がされる ~新婚生活を嘲笑いにきた? 夫がかわゆすぎて今それどころじゃないんですが!!  作者: 杓子ねこ


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【コミカライズ開始記念】王都の新たな噂

 どっさりと積みあがった封筒に、テオドシーネはため息をついた。どれも、紙に花がすかしてあったり、よい香りがしたり、家の紋章を大々的に入れたりと、必死のアピールをしている。

 

 これらは、シエルフィリードとテオドシーネ宛の招待状だ。

 

 先日、シエルフィリードとテオドシーネは結婚の報告のため、王都にのぼった。

 王宮でふたりを迎えた国王は、今回の騒動をあらためて謝罪し、結婚を祝福してくれた。

 その夜はテオドシーネの実家ユフ家でささやかなパーティが開かれ、親しい貴族たちが集まったのだが――。

 

(皆様、ぽかんとしてシェル様を見つめていたものね……)

 

 長いあいだ囁かれてきた『変人公爵』のあだ名に反して、現れたのはかぶりものをしていないシエルフィリード――つまり、麗しの若き貴公子。

 ユフ家の招待した貴族たちだけあってあからさまに表情に出したりはしないが、「この人は誰……?」感がものすごくあった。

 

 少々(?)引っ込み思案で人間不信な面のあるシエルフィリードだが、テオドシーネの励ましもあり、パーティのあいだは堂々とふるまった。

 

 やがて、本当の本当にこの美貴公子が噂の『変人公爵』なのだと皆が理解するにつれ、パーティは興奮に包まれていった。

 

 パーティで明らかにされたのは、シエルフィリードの素顔だけではない。

 

 シエルフィリードが領地に引きこもりがちだったのは、人見知りもあったが、広大な公爵領の管理に手いっぱいだったという事情もあった。

 次期王太子妃としてピエトロの補佐を務めてきたテオドシーネには、そのことがよく理解できた。

 

 公爵領は国の端、辺境にある。

 シエルフィリードは国境防衛を担い、しかも文句なくその責務を全うしていたのだ。

 

 貴族たちは国王が婚約破棄について謝罪し、シエルフィリードとテオドシーネの婚姻を認めたことも知っている。

 そして、パーティの場で、シエルフィリードが領主としても優秀で、物腰は柔らかで作法にも明るく、国防に功績のあることも知った。

 

「ま、招待状攻勢になるのは当然よね……」

 

 もちろん、いまのシエルフィリードとテオドシーネは王都から遠く離れた領地にいる。

 招待状の山も王都の公爵邸から転送されてきたものだ。しかし中には、わざわざ領地宛てに、「王都へお越しの際はぜひお寄りを」とか、「よろしければ我が領地にどうぞ、お近くですので」といったものまである。

 

「招待状なんてもらったのは初めてだ」

 

 自分のことながらどこか他人事のように感心して言うシエルフィリードは、招待状をテーブルに戻して首をかしげた。

 

「これは、いいこと、だよね……? どうしてテオは難しい顔をしているんだい」

「複雑な気持ちです」

 

 シエルフィリードの言うとおり、彼の本当の姿が明らかになり、評価が覆っているのはよいことだ。

 でも――……。

 

「私しか知らなかったシェル様のよさが、王都の貴族たちに伝わってしまいました……」

 

 そのことがほんの少しだけ、テオドシーネの心をざわめかせる。

 

「おとなげない嫉妬、です」

 

 小さく息をつき、テオドシーネは正直な気持ちを吐きだした。

 

 誰からも称賛され、ひっぱりだこになるのが本来のシエルフィリードの評価だと思う。

 しかし当然、これからは貴族の婦人方からも熱い視線を向けられることになるだろう。シエルフィリードの実力なら殿方からも。

 

 それに、シエルフィリードには王都のしがらみには縛られず、清らかな妖精のようにいてほしかった――。

 

(うん、だいぶこじらせていると、自覚はあるのよ)

 

 テオドシーネは顔をあげた。

 

「変なことを言って、申し訳ありません」

 

 悶々とした内心を振り払い、シエルフィリードにほほえみかける。

 

 そして、硬直した。

 

 シエルフィリードが真っ赤な顔で、涙のたまった目を潤ませながらテオドシーネを見ていたから。

 真っ白になった頭に、シエルフィリードの可憐な仕草だけがどばどばとそそぎ込まれていく。

 

 テオドシーネの手を握ると、薄く色づいた唇を震わせ、シエルフィリードは懸命に言葉を紡いだ。

 

「ぼくが、好きなのは、テオだけ……本音を言えるのも、テオだけだから……それじゃ、だめかな」

 

「――いいえ、だめではありません。最高です。問題ありません。それでいきましょう」

 

 考える前に即答すると、シエルフィリードはほっと息をついてはにかんだ。

 

 そのほほえみに心撃ち抜かれつつ、テオドシーネもまた、シエルフィリードの手を握り返したのだった。

お久しぶりですー!!

なんと、このたび、『変人公爵』のコミカライズが始まりました!!!!

念願のコミカライズです!やったー!!


漫画をご担当いただくのはコヤマナユ先生です。

美麗なシエルフィリードとテオドシーネがシュールなやりとりをしております!!

第1話ではテオドシーネに衝撃を与えた初登場シーンが、

書籍版準拠なので、第2話からはWEB版にはない設定やキャラがもりもりです。

こちらもめちゃくちゃ楽しいです!!


↓↓下部にリンクあります♪

楽しく仕上げていただいていますのでぜひぜひ見てくださいねー!!

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― 新着の感想 ―
変人公爵コミカライズ 脳内再生以上の美しさ♡被ってる馬まで美しい♡ 2人のストーリーを美しい2次元で追っていけるとは♡感謝です 書籍化されている2人も改めて楽しみに 読ませていただきます
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