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【05】 迫力の映像と胸の鼓動

金塚「私は恥ずかしながら、近くにボートレース場がありながらボートレースの事を全然知らなくて、今、穴吹様から聞いていることが全て新鮮で、まるで今自分がボートレース場に居るかのような感覚です」


六郎「そうかぁ、良かった。ひとりでも多くの人にボートレースのことを知ってもらうのは、俺の喜びでもあり、ボートレース選手、ボートレース関係者すべての者にとって、うれしいことだからね。テレビでもいろいろな方が知恵を絞り工夫して最高の映像を創り出して放映しているが、なかなかボートレース場に足を伸ばしていただける方の数は増えないんだ」


金塚「あのテレビのCM映像、素敵ですよね」

六郎「ありがとう。ボートレース振興会に代わって礼を言うよ」


金塚「ボートの動きがすごい迫力がありながらも、その反面綺麗な歌と穏やかな水面も映し出されていて、その静と動を見事に映像化し、見ている私は胸を打たれました」


六郎「そうかい、そりゃぁ良かった。話は元に戻るけれど、結婚を賭けたレース予想、あの日ほど俺の心臓の鼓動が、胸を打っていたことはなかったなぁ」

金塚「心臓に悪いですね。レースに『お金』じゃなくて、『一生』を賭ける訳ですから」


六郎「ああ、その通りだった。なんとしても勝ちたかった。そして1レース目、4コースのカド(ダッシュスタートをするボートの中で最も内側のボート)を取った4号艇がスタートから一気にまくって1着となった。俺の予想も隣の予想屋の予想もハズレた」


金塚「結構、払戻もついたんでしょうね」

六郎「ああ、高い払戻だった」

金塚「いつものあなたなら、当てていたのではないですか?」


六郎「そうなんだよ。だから、悔しくて悔しくてたまらなかった。いつもの自分なら、絶対に4号艇を買い目にしたはずなのに。でも、それだけその子に対して結婚したい気持ちがあったんだろうな」

金塚「本当に好きだったんですね」


六郎「うん。でも、俺はダメな奴さ。女のために、自分の予想を変えちまうんだから。情けないよな。最低だよ。予想屋が、私利私欲のため、予想を変えちまうんだから」


六郎が、首をうなだれガックリと肩を落とした。


六郎「だから2レース目からは変えたんだ、本来の自分の予想をしようって」

金塚「でも難しいですよね。やはりインコースの1枠から毎回買ってた方が当たる確率は絶対高い訳ですからね」


六郎「うん、その通りなんだ。そのときだった、その子が俺たち予想屋二人に、『今からルールを変えます』って言ったんだ」

金塚「えっ! ルールを変えるって?」



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