【01】 法律と市役所職員
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【あらまし】
15年前、ひとりの女性が二人の予想屋を好きになった。
そして『全12レースで的中を競い合い、勝った方と結婚する』と言い出した。
予想屋『六さん』と『光太郎』、果たして勝つのはどっちなのか?
それから15年後、六さんの命の灯火が日々消えゆく中、
彼は予想屋最期となる予想をする。
大勢の『六さん』ファンが、その予想に乗り舟券を購入した。
運命の第9レース、その結果は?
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【主な登場人物】
穴吹六郎 58歳男 主人公・余命宣告されたボートレースの予想屋
光太郎 六郎の隣の予想屋。ひとりの女性をめぐって六郎と勝負。
井手五郎 50歳男 国民年金課長。死にゆく者の矜持を深く理解する理解者。
烏丸千歳 42歳女 国民年金課係長。窓口の背後で六さんの物語を聞く。
金塚年昭 40歳男 国民年金課主任。冷静、沈着で誠実な男
吉川美南 27歳女 国民年金課主事。窓口の背後で六さんの物語を聞く
来客女性 52歳女 橋田愛実。穴吹六郎の内縁の妻。
丸橋清子 59歳女 自然博物館館長。知識の提供者。
客A 国民年金保険料免除の申請にやって来た自営業者。
客B 国民年金保険料免除の申請にやって来た会社退職者。
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【前書き】
●この小説には多くの数字が出てきます。そこで読者の皆様が読み易いように横書きとなっております
●多人数での会話も多いことから、誰が話しているのか、すぐにわかるよう会話の頭に台本形式で、氏または名を付けて表現しました
●本文の推敲・校正、登場人物の整理、後書きにつきましてはAIを利用しております
●この物語はフィクションです。実在の個人・団体、実際のレースとは一切関係ありません。ボートレーサーと市役所職員をモデルに、フィクションとして制作されたものです
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市役所年金課のカウンターには、
ふたつの席がある。
そこにひとりの男性客がやってきて座った。
用件は、
国民年金の掛け金を
免除してほしいということだった。
国民年金課職員の金塚年昭(かねつか・としあき・42歳)が対応していた。
金塚「ご職業は?」
客A「商売をやっています。住まいの家賃が7万円です」
金塚「所得と家族の人数を教えていただいてよろしいですか?」
客A「所得は240万円、家族は3人です。妻は病気がちなんです。」
金塚「それですと免除は無理ですね」
客A「そうですか。随分と厳しいんですね」
金塚「すみません」頭を下げた。
一般的に見て、
そこから毎月夫婦の年金掛け金
3万3千円(2人分)を支払うのは
かなり無理とも思われるが、
免除には該当しなかった。
そこにもうひとり客がやってきた。
職員吉川美南(よしかわ・みなみ・29歳)の美南が
隣の席で対応した。
美南「ご職業は?」
客B「会社員でしたが、つい最近辞めました。今は無職です」
美南「去年の収入と家族の人数を教えていただいてよろしいですか?」
客B「去年は年間で収入1800万円。家族はいないです」
美南「単身ということですね。離職票はお持ちですか?」
客B「はい、持っています」
美南「では、全額免除ですね」
客B「良かった!」
隣の客Aがその話を聞いていた。
客A「収入1800万円もある人が免除で、所得240万円の私が免除出来ないなんて、おかしくないですか?」
金塚「すみません」頭を下げた。
客A「いったい、どういうことなんですか?」
金塚「『退職している』と免除が出来るんです」
客A「もし、その人が退職後に就職したら?」
金塚「それでも、免除できます」
客A「そんなバカな! なに、それ?」
金塚「すみません」
不均衡な法律のせいで、
金塚はひたすら頭を下げ続けた。




