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導入

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全天アトラス    : 稼働中

擬似天球ミュール  : 稼働中

 ミリシアフォルダ : ロード中


SCENE LOAD

TITLE : 導入

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学術都市に着くなりアレスターさんの執務室に招待された。

応接テーブルに載った沢山のクッキーを摘む。

これはバタークッキー。

サックリとした食感とバターの香りがとても良い。

「次はどれが良いかなー? 」


これはなんだろう?

変わった色のクッキーを眺める。

「それは薬草研究室が試作した、香草クッキーですね」


「香草?薬草じゃないんだ? 」

「物は言いようね〜 」

「味は保証しないとの言伝を預かっております」


甲斐甲斐しくお世話をしてくれるアンナさんが、ちょっと怖い事を言ってる。

綺麗な制服を着て微笑んでるアンナさんを見てみる。

どうやら、追加情報はくれないらしい。

これは行くしかないか!


「……えいっ!」

口の中に広がる草の香りと僅かな酸味。

噛み締めるほどに滲む苦味。

どことなく感じる舌の痺れ。

「不味いぃぃ!!」


「そうか、なら俺はこっちを食うか」

「さすが我が信仰の友!その飽くなき探究心が神への一歩なのですね!」

「……わ、私は、え、遠慮……します……」

「ありがとう、ミリシアちゃん」

「どうぞ、こちら口直しのお飲み物です」


ひぃぃ。 口の中がイガイガする!

何が入ってたんだろう?雑草みたいな味がした。




「随分と楽しそうですね。 私も混ぜて貰いたいのですが……」

書類の山からアレスターさんの声が聞こえる。


「総代は書類を終わらせて下さい。承認待ちの研究が溜まっております」

「そんなっ、一ヶ月分ですよ!手伝ってくれても良いのでは!? 」

「総代がいらっしゃらない間、私が穴を埋めたのですが? そちらに関しては何も無いのですか?」

「ぐっ! それは申し訳ないとは思っています……」

「大体、いきなり迷宮都市に行きたい、などと言い出した時は、ついに疲労が限界を超えたのかと思いました」


「いや、あれは私が行くしかないと思ったからで……」

「まあ、こんな可愛らしいお客様を連れてきて下さったから、少しは感謝しております」


アンナさんに渡された蜂蜜クッキーを頬張る。

甘い香りと食感がお口に広がる〜。


「そ、そうか! アンナも分かってくれるか!」

「総代に、このような女性の趣味があったと初めて知りました…… 」

「違う! そこは断じて違うから!」





────ドンドンッ


乱暴なノックの音と同時に、執務室の扉が勢いよく開いた。

「アレスター殿は、いらっしゃいますか!!」


アンナさん、素早い!

乱暴に入ってきた人の前に、いつの間にか立ち塞がってる……。


「ご用件をお伺い致します」

「なんだ貴様?どけ!邪魔だ!! 」


「 ご用件をお伺い致します 」

「ああ? 邪魔だと言ったのが聞こえなかったか?」


「 ご用件をお伺い致します 」

「……貴様っ!!」


アンナさんの声がすごく低い。

鳥肌が立ってきた……。


「使用人風情に用などないわ! 私を誰だと思っている!! 」

「 ご用件を── 」


「良いよアンナ。通してあげて」

「はい、かしこまりました。 どうぞ 」


「ふんっ。 初めからそうしておけば良いんだ! 」



思わずクッキーをバリッとかみ砕く。

ララさんの目が冷ややか。


「さて、それではご用件をお伺いしましょう」

「ご用件もなにも、この報告書ですよ」


手に持った紙の束をブンブン振ってる。

報告書?


「どの件についてでしょうか?なにぶん仕事が立て込んでおりまして。 瑣末な事はあまり覚えていないのですよ」


「学術都市の総代が、随分とお気楽な物ですなぁ。 ああ、だからこんな間違った報告書を学園に届けてしまったのですね?」


「はて? 間違った報告書? そんな物は送った覚えはありませんよ」

「ほう。ならばこれはどう言う事でしょう?あなたの承認印が押された偽造文章となりますね! これは大変な問題だ!」


「ええ、ですから。 間違った報告書など送ってはいませんよ? 正しい報告書なら送りましたが……」

「この問題を取り上げてしまったら、あなたの立場も悪く……今、なんと? 」


「私が直接現地で確認を行い、ギルドの調査員とも連携し、当事者の聞き取りも私が行いました。あ、書いたのも私ですよ?」

「……いや、しかし。 こんな荒唐無稽な……あり得ない報告書を捏造されては困ります!」



「つまり貴方は、この私が故意に、嘘の報告書を学園に送った。 と、そう言いたいのですね?」

「あ、いや。嘘……とまでは……訂正。そう、訂正して頂きたいだけなのです」


「なるほど。 私も人間です、誤字脱字でもありましたか?」

「そうではなく! ここですここ!」



二人で報告書覗き込んでる。

あ、アンナさんお茶のお代わり下さい。



「特に間違いは見当たりませんね? 貴方の見間違いでは?」

「はぁぁ!? どこに目を付けてるんですか!ここです!討伐時の使用魔法!学園では教えてない魔法が使われております!」


「ええ、そうですね。 それが何か?」

「……それが間違いだと、さっきから言っているのです!!」


「つまり、貴方は通常のコール魔法のみで、大型で非常に耐久力のある、動きの速い魔物を短時間で討伐が出来るのですね? 素晴らしい!今すぐ冒険者か近衛兵に志願するべきです! 推薦状書きましょうか?」



そういえば、私の魔法だと焦げしか付かなかったなぁ。

あ、このクッキー美味しい。 メリッサも食べた?



「はぁ……。論点をズラさないで頂きたい! どうやら総代も混乱されている様子、よほど巧妙に仕組まれているのでしょう。この議題は学園内で会議を行います、総代もいつまでもその席に座って居られると思っていたら大間違いですよ! では失礼する!」





乱暴に扉を閉めて、慌ただしく出て行っちゃった。

変な人だったなぁ。メリッサの魔法がどうとか言ってた感じがしたけど……


「最後まで名乗りませんでしたね、あの方」

「そうだね、残念な人です。 でも、学園ではあれが普通なのだと思うよ」


アレスターさん知ってるみたい。

「アレスターさん、結局今の人はどこの誰だったんですか?」


「ミリシアさんは知らないか。魔法学園の学年主任だよ、確か担当学年は……メリッサ嬢の学年じゃなかったかな?」

メリッサの……学年主任?


「メリッサ? 知ってた?」

「……えっと、……はい……」

「あんなのが学年主任かぁ。面倒そうだねー」

「……」

「メリッサちゃん。大丈夫かしら、顔が真っ青よ?」


ほんとだ!大変!

「メリッサ。ほらここ膝に横になって!」

「……あ、いや……大丈夫……」


調子が悪い時は横にならないと。

「はいはい、大丈夫だよー。えいっ!」

「ひゃぁ!……あ、あの……恥ずかしい……ですぅ」


顔に赤みが差して来た。良かった!

「……は、恥ずかしいぃ……」




「相変わらず仲が良くて良い事です」

「ええ、とても目の保養になります。良くやりました総代」

「そこで褒められるんだ……君、私の秘書だよね?」

「それが何か?」

「なんでもないです……」



魔法学園かぁ……メリッサ帰って大丈夫なのかな?





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