第234話 とりあえず、一安心かな。
「えー、みなさん無事に帰られたということで、このココ=ジャスミンより統括をば!
ポーターというのは八人パーティーとは別に、一緒に連れて行く事が出来る特別なクラスでして、
もちろんパーティーの補助魔法外となってしまうのですが、それに目を瞑っても余りある強力な仲間として……」
夕方の冒険者帰還ラッシュが始まる前に、
全パーティーが戻って授業のシメに入っている、
ティーナさん達はというと『仕方が無い、一旦退こう』という謎の言葉で帰っていった。
(あっ、サフィ先生は冒険者学校の教師なので残っています)
ジャスミンさんの横についてら。
それはそうと、念話魔法で改めてお礼を。
『アトリちゃんありがとうね、元のパーティーにはバレなかった?』
『はい、休憩所みたいなエリアでポーターの先生が熱弁しているタイミングだったので』
『それにしても凄かったね最近覚えた性転換魔法』『物凄く上位の淫魔が、魔力の分だけかけられる魔法です!』
そう、魔法の名前なんだっけ、まあいいや、
ややこしくて意味不明で怖いから僕は使わなかったんだけど、
アトリちゃんが覚えて初めてそれが性転換魔法だってわかったんだ。
(魔力を込めただけ、長い時間、性別を変えられる)
しかもアトリちゃんの場合、
近くに居るだけで魔力を吸い続けることができ、
当の僕はというと底なし、無限の魔力だ、ということは……
(性転換したい相手を何千年と変え続ける事ができる!)
事実上、死ぬまでだ、
もちろん術者であれば戻す事もできる、
凄いな、魔王が倒される時、愛し合っている男女の片方を性別変えて死ぬ事とかできるんだ、もはや呪いだ。
(さすがにそれを喰らっちゃティーナさんも、ってあの場合は百合を片方、男にって形だったけど)
でも効果はてきめんというか抜群というか、
これでしばらくは大人しくしてくれるはず、
とりあえずは一安心かな、一旦とか言ってたから油断は出来ないけど。
『あのっ、よろしいですか』『うおっマネアちゃん、どうしたの』
『ひとりで街へ出かけるとき、その魔法で男性になってみたいです!』
『ええっと、あっそうか、やっかいなのがついて来ちゃうから』『でも性別を変えれば』
ストーカー対策か、
露出してあきらかに男だって見せれば、
まさかマネアちゃんとは思うまい、頭いいな。
『ねえグランくん』『はいはいイレタちゃん』
『まさか女になってみたいとか』『それは無いかな』
『本当に?!』『さすがにそういう趣味は興味無いから安心して』
というのもですねえ、
前世で役者をやっていると、
女形とかオネエ役とかオカマ役とか、ざらにやるんですよ。
(それで思ったんだ、あっ、これ俺には向いてない、って)
趣味的な意味でね、
役者としてはいくらでもたるが、
プライベートでは吐き気を催す感じ、あくまで自分が自分の女装を見て。
『グラ兄ぃ、じゃあもう正体をばらされる事は無いの?』
『んんっと、国王陛下からの呼び出しがまだ引っかかるけど』
『それがティーナさん経由かも知れないってこと?』『そうだけど、まあ様子見だね』
グンタが颯爽と陛下の枕元へ、
っていう手も考えなくもないけど、
不敬で一生指名手配はさすがに……ってまた姿を変えたら良いだけの話かも?
『グラン、それでNNNの活動は続けるのよね?』
『もちろん、むしろ邪魔者がいなくなった、まである』
『マネアちゃんが、はりきっているから』『あっそうだ、ウォルちゃんにも相談が』『何よ』
ちょっとだけ躊躇するけど、
ここは念話魔法だし、思い切って!
『ウォルちゃんNNNでは拳闘士だよね』『そうだけれども』
『ティーナさんのお母さんって、現役冒険者時代は伝説の拳闘士だったんだって』
『へえ』『それで二つ名がね、おっぱいの魔術師っていうんだけど、それを』『さいっっってーーーねっっ!!』
はい最低いただきましたー!!
うーん、幻術で再現してみて欲しかったんだけど、
12歳のウォルちゃんじゃ駄目かぁ、仕方がないなあ。
(ここはブルラズの姐さんにお願いしてみようっと)
ってあのサキュバス、
戦闘とかできたっけ???
「……以上です、ではよろしくお願いしますね、特にそこのグランさんっ!」
「は、はいっ!」「お願いしますね?」「わっかり、ましたっ」「はい決まり、解散っ!!」
え、えっ、えええええ?!?!
『いったい何が決まったの』
『グラン様、薬師一行の警備の件ですわ』
『えっ、それが僕に?! しまったあああああ!!!!!』
真面目に話を聞いていないから……。
(まあいいや、どっちみち考えてはいたことだし)
ウォルちゃんが強制参加だからね、
あくまでも地味に、人数合わせってことで!!




