第53話 カオスの心
長らく空いてしまいました。
本当に申し訳ございません。今回はカオスの思いが詰まったものとなっております。
雪不動にはまだついていませんが久しくあの人も出てきますのでお楽しみください。
「はぁ・・・俺ってそんなに残念なのか?」
ゼストは前回のことでとても悩んでいた。美沙に残念な旦那とレッテルを張られて、それに対してみんなが笑う。やはり残念なのだろうか?
「ねぇねぇゼスト?」
「ん?カオスか・・・お前も俺のこと残念だと思うんだろ?異世界の魔王だもんな?」
「え?思ってないよ?私からしたら・・・がんばってる親戚のおじさん?ってかんじだよ?」
「親戚のおっさん…」
そんな話をしているとゆかりがカオスとゼストの前に顔を出した。
「ゼストさんもカオスちゃんもどうしたんですか?」
「なんだ、おまえか・・・」
「んとね、ゼストが自分の事残念だと思ってるんだって。」
ゆかりは目をぱちぱちさせて「はて?」といった顔ゼストを見る。
「お前だって俺のことを残念だと思ってるんだろ?わかってるさ。」
「えっと・・・全然思っていませんよ?むしろその逆です。素敵な方だと思っていますよ?」
「そうだろそだろ・・・どうせ俺なん・・・今なんつった?」
「え?ですから、ゼストさんは素敵な方だと・・・」
「っしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!だよな!そうだよな!お前いいやつだな!お前この旅が終わったら家の城で近衛兵長、いや俺直属の部隊長にしてやるからな!」
「あ、いや、そういうのはべつに・・・」
さっきまでしょんぼりとしていた男はガハハハハと大口を開けて馬鹿みたいに笑い始めた。カオスはそれを見ていて思った。「あぁ・・・これが残念ということかと。」
「ちょっと!ゼストうるさいんですけど!」
「なんだみさっち!お前もこっちにこいよ!一緒に飲もうぜ!」
あまりのうるささに美沙、マリ、リナ、あかねと続々と集まりショウが最後に来て宴会が始まる。いつもの光景でいつものバカ騒ぎ。今まで目立つことのなかったゆかりも自然とその輪の中に言っていくのである。
バカ騒ぎ場始れば、終わりも来る。気が付けばショウとカオスがバルコニーで夜風に当たっていた。
「・・・」
「・・・」
「ねぇショウ?」
「ん?なんだいカオス?」
「ショウは私のことをどう思っているの?・・・やっぱり・・・いいや。なんでもない。」
そういうとカオスはショウに背を向けてバルコニーの手すりに起用に体育座りした。
ちょこんと座るカオスの頭をショウは優しくなでた。ショウに撫でられたカオスはなぜか安心しながらも心のどこかに不安を残していた。
「そうだなぁ~カオスはいい子だと思うよ。」
「う~!馬鹿ショウ!そういうことじゃないし!」
「ははは、そうだったね。初めて会った時のカオスは何というか、チカラは持っているけど発散の仕方がわかっていないというか、有り余って仕方がないから仕方なくあの人に力を貸していたっていう感じがしたんだよね。」
「う、うん」
「まぁ、あの人は自業自得だと思うし。でもね、カオスとあの時にたたかって分かったこともあるんだ。」
「え?そうなの?」
「そうなんだ、あぁ、僕は異世界の魔王とも互角、いやそれ以上に戦えるようになったんだなぁ~って。本当にカオスには感謝してるよ。それにね。」
カオスはショウの顔を見てのどが鳴るかもと思うぐらい唾をのんだ。
「カオスさ、あの時僕に剣を託してくれたでしょ?」
「うん、だってあの時はもうこの世界には出てこれないと思ったし、それなら自分を倒す力を持ってるショウに使ってもらいたかったから。」
「うん、でもねあの時にわっかってたんだよ。あぁ、この魔王さんはすごくいい人なんだなって。今度会ったら一緒にいろんな話していろんなことを一緒にしていきたなって。」
「私も!私もそう思ったの!」
「だからね、今こうしてカオスと一緒にいていろんな話ができていろんなことができるのがとてもうれしいんだ。魔王とか勇者とか抜きにしてね。それにこの間も言ったけど今の僕にはカオスがいや、魔神剣カオスが一番しっくりるんだ、これはカオスと僕の心が一つになったんだと思っているからだよ。ま、ほかの剣がダメってわけじゃないんだけどね。」
カオスは魔王となってから初めて涙を流していた。異世界で生まれただ強いというだけで魔王と恐れられて、毎日毎日が命のやり取りだった。こんな優しい言葉をかけてくれる人なんていない。ショウだって本当はいつか嫌気がさして自分をまた壊すんじゃないだろうか?と・・・そう思っていた。カオスは本来心の優しい少女として異世界に生まれる、生まれた時から持っていた莫大な魔力により世間から虐げられた。ある日カオスの父と母がその国の王様に呼び出された。とてつもない拷問の末、父と母は処刑された。罪名は悪魔の子を産んだ罪・・・カオスは泣いた。泣いて泣いて泣き飽きた時に・・・復讐を始めた。自分を虐げたもの、父と母を殺した人間。カオスは自分の魔力をフルに使ってその国を滅ぼした。そしてそれは瞬く間に全世界に伝わると勇者といわれる者たちが魔王カオス討伐として何十年何百年戦いを挑んできた。カオスもいつの間にか人間ではなく魔物の王として人を超越した存在となっていた…
「ほらカオス、泣かないで。笑顔が似合うんだからね?」
「う、うん・・・ぐじゅ・・・」
「そうだよ~カオスゥ~!カオスわぁ~私とショウの初めての娘なんだからねぇ~!」
「わわわ!ミサ!」
「ほらほら、みさっちもああいってるんだから、そろそろみんなを信用しなさいよ。」
「何よマリィ~私の娘に文句あるの!?」
「やれやれ、困った母親なのじゃ、カオスもこれが母親だなんで困るのじゃ。」
「きゅぃぃ!?(僕の妹!?)」
「あはは・・・う、うん困ったママだよ!ぐすん!えへへ!」
カオスはいつの間にかみんなに支えられて美沙とショウに大事に抱えられて・・・これ以上ない幸せの中にいた。
「あれ?ミサがママってことは僕がパパ?!」
「うふふ、これからもよろしくね。パパ!」
「あ~うん!そうだねカオス、下手な奴には嫁にやらないからな!なんて。」
「「「「「親ばかか!」」」」
全員がショウに一斉に突っ込みを入れるという珍しい形でその日は過ぎていった。
そしてカオスは・・・
「えへへ、パパ、ママ、だ~い好き!」
そういって二人の手を大事に大事に繋ぐのだった。
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