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38 2回言うと女性に白い目で見られそう

図書館に行けなくなったので、訓練に力を入れる事にした。

座右の銘は”命を大切に“。

今の俺には戦う術がまるで無い。

魔獣ならドンで追い払えるかもしれないけど、人間に使ったらどうなるのかは判らない。

たぶん跳ね飛ばすだけとは思うけど、転んだ拍子に豆腐の角に頭をぶつけて死ぬ者が出るかもしれない。

まだこの世界の豆腐は見た事は無いけど、異世界の豆腐なら頭に刺さっても不思議はない。

人を殺してしまえば罪に問われる可能性が高い。

今は体力を付け、逃げ足を磨くのが大事だと考えた。

剣よりも重い“魔鉄の柄“を使って、振り下ろしと振り下ろし右切り上げの練習をしている。

模擬剣よりも遥かに重いが、大幅にレベルアップしたおかげで、問題無く振れている。

まだ切っ先が動いて上手く切り上げられないけど、振り下ろしは結構いけてる感じ。

それでも精神を集中して振り下ろすまでに3秒位掛かるから、動く相手には当てられない。



回復弾の改良も考えている。

火属性が無いから爆発は無理だけど、“回復弾“にタンパク質を溶かして突き進むイメージや、瘴気を吸収するイメージを与える事が可能かもしれないなどと色々と考える。

弾の形を変えてそれぞれの形に特性を付ければイメージが固定し易いかもしれない。

魔獣の堅い皮を突き抜ける貫通弾は細長く、瘴気を吸収する弾はどんぐり型?

試行錯誤を重ねてはいるが、今の所目立った効果は出ていない。

せめて宿敵である鼠さんと戦える位の威力が欲しい。

回復弾は魔獣専門だから人間だと相手を回復させるだけで殺傷力は無い。

人間が襲い掛かって来たら専守防衛しか無いのが現状。



大型魔獣を倒せるような攻撃力が欲しくなった。

なぜ小型魔獣で無く大型魔獣かというと、大型魔獣の方が動くのが遅くて的が大きいから。

ふと、動きの速い小型魔獣は無理でも、大型魔獣なら時間の掛かる振り下ろしでも間に合うかもしれないと気が付いた。

教会に恨まれているらしいし、貴族達も大規模討伐の時には“みんな”で俺を殺そうとした。

何かの拍子で、ベルンの街に住めなくなる可能性が出て来た。

この街に住めなくなった時の為に、1人でも街の外に逃げられる力を用意しておきたい。

分厚い壁をぶつける”ドン”では地上にいる魔獣は倒せない。

沢山の魔獣に囲まれたら、攻撃手段が無いから、結界の中に閉じ込められるかもしれない。

剣はゆっくりと精神を集中してやっと真っ直ぐに振り下ろせるだけ。

魔獣と戦えるレベルでは無い。

何か攻撃に使える手段が無いかと考えを廻らせた。



ふと、レベルアップで硬度が上がったバリアなら、魔獣を切れるのではないかと思った。

切っ掛けはワイバーン討伐の褒賞として、公爵に貰ったミスリルの剣。

魔力が通り易いと聞いたので、剣に魔力を通しながらバリアのイメージで振って見たら剣先が伸びるような感じにバリアが現れた。

剣先に大きな斧の刃が付いたような感じなのに、重さは全く変わらないので速い速度でバリアを振り下ろせる。

剣先は弧を描くので、長ければ長い程速度が速くなる。

普通なら長くすると剣が重くなりすぎたり折れ易くなるが、バリアなので重くもならないし、折れてもバリアが砕けるだけで、剣が折れるわけでは無いので問題は無い。

バリアを長く薄く硬くすれば離れた所にいる魔獣なら切れる筈と考えて、イメージを何度も作り直しながら鍛錬を重ねた。



バリアはいざという時の防御手段なので展開速度が命。

バリアの展開速度に影響しない様に、剣先に出すバリアには新しい名前を付けた。

イメージはギロチン台の真横に立って、剣を振ると同時にギロチンの刃が墜ちる感じ。

鋭い刃が上から下へと落ちる”ギロチン“を略して、”チン”。

”ギロ“だと言い難そうだったから”チン”にした。

何となく料理が暖かくなるような気もする。

2回言うと女性に白い目で見られそうだけど、”ギロギロ”よりは言い易い。

何度もイメージを作り直しながら”チン“の練度を上げる。

大事なのは“チン“の長さと硬さと早い動き。

“チン”を支える腰の突き出しも重要。

長くて堅い“チン”を腰を起点に素早く動かせば、相手を倒せる筈。

毎日イメージを工夫しながら、”チン“の改善に励んだ。

剣先のバリアをギロチンの刃のように薄い楔型にして強度を上げた。

まだ振り下ろしにしか発動出来ないけど、切っ先より50㎝程先に延びたバリアで細い木の枝が切れるようになった。



毎日ミスリルの剣を振り下ろす。

ふと、剣から離れた所にバリアを出せればもっと速度が上がるのでは無いかと思いついた。

バリアは俺から離れた所でも張れる。

以前は5mだったが、ワイバーンを倒してレベルアップしたお陰で今では300m位離れた所でも張れる。

2m離れた位置にバリアを張るイメージを作って、思い切り剣を振り下ろす。

“チン”

凄い速さでバリアが動く。

太い木の枝に当たる前に、空中でパリンと砕けた。

流石にあの速さだと、空気抵抗だけでチンのバリアが砕けてしまうらしい。

まあそうなるな。

鼠さんとの因縁の対決は、まだまだずっと先になりそうだ。


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