プロローグ ササヤカお神
「わーい、久しぶりの魂なのじゃ!」
甲高い声に目を開けたら、ホワイトアウトしたような真っ白な空間。
うん、これ知ってる。
アニメで何度か見た事がある。
大抵は白い服を着た髭のお爺さんなんだけど・・・。
俺の前にいるのは薄い、いや殆ど丸見えのベビードール?を着た綺麗なお姉さん。
光背っていうのかな、お姉さんは背中に光輝くオーラを纏っている。
お爺さんじゃ無いけど、見た瞬間に神様と判った。
これは異世界転生だ!
どうして俺がここにいるのか、状況は全く判らないけど、ファンタジーオタクの俺の直感が脳みそに喜びを伝えている。
やった~!
目の前に居るのが神様と言う事は判ったけど、その衣装、いくら何でも見えすぎじゃね?
しかもめっちゃ短いし。
ここは神界のオッパブか?
いやオッパブにしてはお姉さんの胸が“ささやか”すぎる。
ささやかだけど、めっちゃ形が良くって、俺の目が釘付けになってしまう。
待て待て、おっぱいに夢中になっている場合か。
ファンタジーでも、特に異世界ジャンル大好き人間の俺は知っている。
ここは間違いなく異世界転生を司る神様の部屋。
ファンタジー小説やアニメのお約束では、転生者に特別な能力やスキルを与える場所。
何故俺がこの部屋に呼ばれたのかは判らないが、今この瞬間に俺の異世界人生が掛かっている事は確実。
俺にスキルや能力を与えてくれる女神様にセクハラなんてダメ、絶対。
という心の声は聞こえているんだけど、おっさんのすけべぇ心は、不屈の魂で理性の声を跳ね除ける。
ごくりと唾を飲みながら、女神様の胸をガン見した。
ささやかな膨らみなのに、目が離せない程美しい、いや神々しい。
神様だから神々しいのは当たり前か。
ロリコン趣味が全く無い俺なのに、ささやかな胸の美しさに見とれてしまう。
今この瞬間、おっぱいは大きくても小さくても至高の存在であると心に刻まれた。
おっぱいは偉大なり!
「ふむふむ、前世はおっさんか。 おっさんはすけべぇだから嫌いじゃ、子供にしよう。」
すけべぇだから嫌い?
そう思うなら、すけべぇなおっさんの前にエロい衣装で出て来るな。
心の中で思っただけなのに、神様がじろっと睨んだ気がして背筋がゾクゾクッとする。
すみません、ごめんなさい。
私はドジでマヌケなすけべぇです。
「幼児では生き残れぬか、・・まあ10歳位が生き残れる限界じゃな。 いや待て、10歳だとすぐに大きくなって可愛く無くなるではないか。 見目美しい少年を愛でるのは目の保養じゃ、すぐに大きくなるのはわらわの権威に係わる。 成長を遅らせて長く楽しめるようにしよう。」
何となく物騒な事を言っている。
10歳の児童相手に如何わしい事をしたら犯罪だぞ
お巡りさん、こいつです。
思わず叫びたくなる。
いやいや、お巡りさんを呼んでいる場合ではない。
今は俺の異世界人生がどうなるかの正念場。
神様の機嫌を取って、良いスキルや武器を貰うのが最優先事項だ。
俺の明晰なる灰色の脳細胞が神様との交渉をしろと告げた。
「あの~。」
どうでもいいことばかりを呟いている女神様におそるおそる声を掛けた。
「今は忙しいのじゃ!」
怒られた。
「すみません!」
神様オーラが凄くて、1声聞いただけで股間がヒュンとなった。
めっちゃ怖かった。
「顔がおっさん臭いな。 スベスベプニプニの女顔の方が良いのう。 女顔に髭は似合わんな。 ムダ毛が生えない様にしておこう。」
女神様もムダ毛が全く無くてツルツル、ゲフンゲフン。
一瞬女神様が睨んだような気がして、スケスケのベビードール越しに見えるツルツルから慌てて目を逸らす。
出来れば俺のそこだけはムダ毛を生やして欲しい。
「お肌を綺麗に保つには健康でなくてはいかん。うん、病気にかからない様にしよう。」
どうやらアバター的なものを設定しているのだろうが、女神様の顔がだらしなく緩んで、めっちゃエロい顔になっている。
女神様が俺の体を上へ下へと舐めるように見回している。
自分の体を見下ろしたら、何と素っ裸。
めっちゃ恥ずかしい。
イヤ~ン。
思わず内股になってしまった。
「マッチョは嫌いだが、力が弱くては生き残れぬな。 柔らかくても力を出せる筋肉にしよう。 わらわはプニプニの2の腕やムチムチの太腿が好きなのじゃ。」
プニプニの2の腕やムチムチの太腿って、男としてどうなんだ?
女神様のショタコン趣味に俺の体を合わせないで欲しい。
女神様、こんな変態に様は要らないか。
服がスケスケだからスケベ姉ちゃん?
ちょっと失礼過ぎるか。
胸はささやかだが、巨乳好きだった俺の好みを微乳にまで押し広げた功績は侮れない。
うん、ササヤカお神にしておこう。
こらササヤカお神、俺の裸をエロい目で見るな。
しゃがんで下から覗くな。
というか、しゃがむなら足を閉じろ。
言葉に出すと怖いから心の中だけで罵った。
「ふむ、好みの体にするのに時間が掛かったが、なかなかうまく出来たぞ。」
ササヤカお神が満足そうに頷いている。
めっちゃ顔はエロいけど。
「しまった、能力を与えるのを忘れてた。 早くしないと設定時間が終わってしまうのじゃ。」
おいおい、異世界に行くのなら一番大事なのは能力だろ!
姿形よりも能力の方が大切だぞ。
何の能力が貰えるかで俺の異世界人生が決まる。
今こそ俺の意見を言うべき時。
臍下3寸に力を入れた。
勇気を振り絞ってササヤカお神に声を掛ける。
「あの~。」
「じゃかましい、忙しいと言っておるじゃろうが!」
凄い剣幕で怒られた。
あまりの恐ろしさに、ちょっとちびってしまった。
ダメだ。
ササヤカお神には、俺の話を聞く気など全く無いらしい。
「え~っと、確かぁ、無限収納・鑑定・言語理解は標準装備だからぁ、まずは身を守るスキルがいるかぁ。 剣と魔法の世界だからぁ、剣技とバリアを付けてぇ、怪我をした時の為に回復も必要かぁ。」
そうそう、まずは“命を大切に”だよね。
身を守る手段が貰えるのは有り難い。
「さて、ここからが大事な所じゃ。 わらわの世界で活躍するには強い魔獣を倒さねばならぬ。 めっちゃ強い武器と絶対に壊れない優れた防具、破壊力絶大な攻撃魔法が必要じゃ。武器はどれにしようかな。 え~っと・・何じゃ、もう時間かぁ?」
俺の体から光が溢れ始めた。
ひょっとして転生のお時間?
待て待て、俺はまだ武・・
溢れた光があっという間に俺の体を包み、突然眩い光に変わる。
眩しくて何も見えなくなった。
「間に合わなかったぁぁぁぁぁ~!」
ササヤカお神の叫び声が遠くへと離れて行った。




