取り戻された日常
ルナ・プレゼントから一年後の春。
高校二年生の陽菜と凛が過ごす日常。
…最後の、日常。
一年後、春。
「凛!遅いぞー!」
「ひ、陽菜ぁ!早いよぉ!待ってってば!」
4月。春だというのにまだまだ寒さは残る…うぅ、寒いの嫌だなぁ…。
私は凛の一足先を歩きながら両手を擦り合わせて、吹いた風に身を竦めた。
「は、早いんだよぉ陽菜はぁ…あぁ疲れた…でも少し暖かくなったかも…」
そうこうしている内に凛が追いついてきた。暖かいなんてそんな馬鹿な!
「抱かせろー!」
「うわぁぁ冷たいぃぃ離せぇぇ!?」
前言撤回。春でも寒いとくっ付けるから好きだ。
<…政府は『ルナ・プレゼント』によって降下した『天使』の回収、研究を進めており…>
「ひ、酷い目に逢った…」
学校に着いてヒーターの前を独占している凛。あの後結局、
通学路を教室まで凛とくっ付いたまま歩いてきた。
周りの目が気になるぅ…なんて凛は赤くなっていたけれど、
私たちの通う高校は女子高なのだから、今更過ぎやしないかと思った。
「実際、そーいう噂もチラホラ聞くしねぇ…」
「ん?陽菜、どうしたの?」
どうやら独り言を聞かれていたようで、凛が椅子に腰掛ける私を見上げてくる。
…女の私が言うのもあれだけれど、凛は可愛い。
すらっと延びた四肢と、高い背。黒髪ロング。瞳が心配そうに私を射竦める。
「んーにゃ、なんでもないよー」
そう言うと凛は「そっか、よかった」と笑みを零す。
こんな可愛い凛は、私以外の友人が居ない。つまりいつも私と一緒。
「もしかしたら私達も、そういう風に見られてるのかな」
聞こえないくらいの小さな呟き…聞かれたら恥ずかしいんだけれどね?
「陽菜?顔赤いけど大丈夫なの?」
「だ、大丈夫!それよか今日さ、放課後に遊びに行こう!」
「う?う、うん…」
凛は鈍感で落ち込みやすい。私の気持ちにもちっとも気付きはしない。
この気持ちに気付かれたら、どうなるんだろうな。なんて、そんなことを考え続ける。
そうこうしているうちにクラスメイトは続々と集まり始め、
気だるい授業だらけの月曜日が始まった。
ふと気付くと目は、凛を追いかけていた。
6限の授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、私は大きく伸びをした。
周りからはため息と、疲れたー、なんて声が聞こえてくる。
「ひなぁ…」
どうやら凛もみたいだ。寝ていたのだろうか、頬には袖の跡が付いている。
「ふふっ、跡付いてるよ?」
「え、ほんと?」
参ったなぁ…凛はそう言いながら、頬を掻いている。
「陽菜、早く行こうよ!」
でも全然気にしていないみたい。格好悪。
「あ、もう、先に行かないでよ、凛」
「ほら!陽菜!」
凛は振り向いて手をさし伸ばす。廊下の奥から差し込む夕日が、
凛の体を包むように照らしている。
ゆっくりと重ねた掌から、体温が伝わってくる。
「寒い!」
外はもう暗くなり始めていて風が体を芯から冷やしていく。
繋いだ凛の手が、ポケットの中、暖かかった。
「いやー楽しかった!」
「だね!誘ってくれてありがと!」
結局あの後、いろんなところに足を伸ばした。もう夜になる。
月明かりが、私達を照らしていた。
「寒いぞー凛ー!」
「わぁぁぁ抱きつくなってば!」
思い切り凛に飛びつく。いやぁ人肌っていいね。
凛もまんざらじゃなさそうだし、もう少しこのままでいいよね?
お久しぶりです、ぺんたです。
はい、2話完結。
女子高生の日常を描いたモノで終わってしまいましたね笑
次回から、いよいよ本題に入っていきたいと思います。
キャラクター紹介をすべきかどうか迷い中です、
みなさんは小説を書くとき、どうなさっていますか?




