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ー第3節 ミオが作成したエクセル表は、歴代監査部が見逃してきた巧妙な横領やリベートの痕跡を可視化する神の検索機能だった。特級の機密情報を前に、冷徹なエースは驚愕し絶句する。

第3節 ミオが作成したエクセル表は、歴代監査部が見逃してきた巧妙な横領やリベートの痕跡を可視化する神の検索機能だった。特級の機密情報を前に、冷徹なエースは驚愕し絶句する。


 私の背後で、レイ部長が「あっ……」という、彼に似つかわしくない間の抜けた声を漏らした。

 私が無心で作成したエクセルの画面。

 それは、ただのファイル名や保管場所を羅列した単なる目録などでは到底なかった。

 各年代のプロジェクトの全体予算、実際の決算額、発注先の企業群のリスト、それらの企業群の代表者の変遷。さらには、別々のプロジェクトであるはずの経費の不自然な流れが、複雑なマクロ関数と精緻なハイパーリンクによって網の目のように結合されている。

「こ、これは……どういうことだ……?」

 レイ部長の声が震えていた。

 彼は私の肩越しに身を乗り出し、画面に顔を近づけた。冷徹なエースという仮面が剥がれ落ち、純粋な驚愕だけがその横顔に張り付いている。

「発注先の企業群が……ダミー会社を経由して、すべて一つの親会社に繋がっている……? いや、それだけじゃない。この資材単価の不自然な高騰、数年ごとの予算の付け替え……」

 彼は画面をスクロールするよう私に指示し、次々と現れるデータの羅列を目で追った。

「信じられない。歷代の監査部が何十年もかけて調査し、それでも決定的な証拠が掴めなかった『黒い資金の流れ』が、完全に線として繋がっている。しかも、こんな一目でわかるような形で……」

 レイ部長が絶句したのも無理はなかった。

 彼が今目にしているのは、大都ゼネコンという巨大企業を長年蝕んできた、巧妙極まりない横領やリベートの痕跡そのものだったのだ。

 点と点でしかなかった断片的な領収書や稟議書の数字。それらを私が年代順に入力し、関連する項目同士をパズルのようにリンクさせた結果、意図的に隠蔽されていたはずの『不正の全貌』が、エクセル上に赤裸々な真実として可視化されてしまっていた。

 これは、一部の権力者が会社を私物化してきたことを証明する、会社を根底から揺るがす特級の機密情報である。

 しかし、その重大さを、私自身はまったく理解していなかった。

「あの、レイ部長? これで原本のファイル番号が特定できました。この『G-05』から『G-12』までのボックスに、該当する紙資料が入っています。すぐにお持ちしますね」

 私が呑気に立ち上がろうとした瞬間。

 ガシッ! と強い力で両肩を掴まれた。

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