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最終章 第四節 最後の戦い

健の死闘が続く。そして要山和尚を射殺した最後の犯人との

死闘を繰り広げ、そしてついに勝利した。

 その頃、小夜子の住む正堂寺裏の住まいに三人の客が訪れていた。

 松本、橋本、森の三人である。

 「久し振りです小夜子さん。松本です」

 相変わらずゴツイ顔だ。知らない人が見たら後ずさりするだろう。

 「あ! 皆さん。お久しぶりこんな所に良く訪ねてくれました。どうぞ中に入って」

 小夜子は三人を招き入れた。松本達は健の事を訊ねたが、もうすぐ帰って来ると小夜子の返事だった。

 それから二時間が過ぎ時刻は夜の十時近くなった。


 「それにしても遅いですねぇ、いつもそうですか?」

 橋本は小夜子が気にしている事を小夜子に問い掛けた。

 いつもだと遅くても夜の八時頃には帰ってくるだが、それに松本達が来る事も知っているはずなのに。

 その時間はとうに過ぎてしかも連絡もない。次第に小夜子も嫌な胸騒ぎがして来た。


 松本「ちょっと心配だな。見に行ってこようか? 小夜子さん」

 「でも来たばかりなのに・・・でもやっぱり心配です。宜しいですか」

 やがて小夜子を乗せて四人は、松本達が東京から乗って来た車で探しに出た。

 小夜子は心辺りのある方へと案内する事になった。銀のネックレスを握り締めた。

 小夜子の脳裏に嫌な予感がした。(健、無理をしないでと言ったのに・・・)

小夜子は暗闇の中をフルスピード疾走する車の助手席で呟くのだった。


 一方こちらは決着がついていた。長身の沖田も完全に健の前に屈した。

 「悪かっただと!?・・・どう悪かったのか聞かせてもらおうか!」

 「確かに、お寺の住職を狙ったのは俺達だ。しかし恨みがあった訳ではない。だから許してくれ」

沖田は最初の勇ましさは何処かに飛んでいた。腕が折れては抵抗も出来ない。

「ふざけるな!! 恨みが無いのに人殺しが簡単に出来ると思うのか!」

「頼まれたんだ。ここの地元の有力者に」

「ハッキリ言えよ! それは盛田一政の事だろう」

  沖田は口には出さないがコクリと頷いた。やっと白状させた。

 あとは盛田の数々の悪事を、どうやって立証させるかだ。


 その時だった。暗闇から一筋の閃光が。パア〜ンと云う音と共に鳴り響いた。

  健の近くに銃弾が着弾した。健は車の陰に沖田をそのまま残して隠れた。

 健の正面に、いつの間にか二台の車から五〜六人ほど降りて来た。

 なんと、その中に沖田と一緒に居た健が蹴り飛ばした男が居る。

 沖田と戦っている最中に逃げ出して仲間を呼びに行ったのであろう。

 沖田との戦いに夢中に成りすぎた失態だった。


その仲間五人がバラバラと闇夜に散った。

 そして最後の一人残った中年の男が、その状況を見守っている。

 なんと! その男は盛田一政ではないか!

「おのれ盛田!! やっと正体を現したな」

 健が闇に向かって叫んだ。だが、いきなり銃弾が健に向かって放たれた。

 健は近くの林に逃げ込む。その間に近くの道路を数台の車が何事もないように通り過ぎて行った。

 海岸通を走る一般の車だ。そんな事が起きているとは知らずに通り過ぎて行く。

 五人もが林の中に入って来た。しかし暗闇だ。五人は健が隠れている場所を探し始めた。


 健が確認した限りでは、拳銃を持っているのは二人だのように思えた。

 いや正確には、まだ持っている奴がいるかも知れない。

 健と云えども拳銃を前にしては戦えない。

 ガサ、ガサッ!健の近に敵の一人が近寄ったが、健が側に潜んでいるのに気付かない。

 健はその男の口を後ろから押さえ込んだ。

 途端にこめかみの辺りを殴りつけて続けざまに強烈なボデーブローを浴びせた。

 その男は声も出せずに、その場で失神した。次に遠くから状況を見守っている盛田が見えた。

 健は大きく深呼吸して一気に全神経を集中させて手を合わせた。


 健は要山師匠の極意、波動拳を放った。ウッリャァー闇の中で空気が裂けた。

 三十メーター離れた盛田が、闇の中で誰かに殴られたように倒れた。

 健の必殺波動拳が炸裂した瞬間だった。

 一方の盛田は何が起こったか判らず頭に手を当て、のたうち回っていた。

 しかし距離があり過ぎて決定的なダメージを与えることが出来なかった。


 健は次の標的を探し始めた。さすがに撃って来ない。

 同士撃ちの恐れがあるからだろう。そして又一人、健の目の前に現れた。

 今度は敵も気が付いて「居たぞ〜〜」と、叫び終わらないうちに健の手刀が首筋に炸裂して、あっと言う間に崩れ落ちた。


 しかし! 再び暗闇から銃声が響き健の左腕を貫通した。  

 「ウッ」健の左腕が燃えるように熱く、痛みよりただ熱くそして血が噴出した。

 それでも健は、その銃声の方向に足を引き摺りながら走った。

 また銃声が闇に鳴り響く。今度は当たらなかった。健は大きく跳躍した。

 その男を目掛けて相手の顔面に炸裂した。男は二メーターも吹っ飛んだ。

 更に健は、その男を蹴りつけて拳銃を奪った。健は拳銃を使った事はないが、引き金を引く事くらいは出来る。


 健はいきなり拳銃を周りに居そうな敵に向かって立て続けに三発撃ちまくった。

 その弾にまぐれ当たりか一人の男が悲鳴を上げた。

 どうやら腿の辺りを抑えて転げ回っている。あと敵は何人居るのか周りに気を配る健。

 だが健も出血が止まらず、顔が痛みでゆがんでいた。

 その時だった。また銃声が暗闇から鳴り響き今度は健が、もんどり打って倒れた・・・。

 どこに当ったかは分からないが体中が熱くて堪らない。

 やがて健は意識が朦朧となって来て、体中が燃えるように熱い。激痛が走る。


 「オイ! やったぞ」近くで声が上がった。

 現れたのは二人だった。いや、もう敵も二人しか満足なのは居ないのだ。

 だが健は動けない。一人の男が拳銃で健の頭を叩く。

 死んでいるか確認の為だろうか再度、健の頭を叩こうとしたその時だ!

 意識が薄れ行く中で健は、その男の足を渾身の力で引っ張る。

 男は倒れ込んだ。健は強烈なパンチを顔面に浴びせた。

 と、もう一人の男が健に再び拳銃を放った。


 どこかを掠めたようだが健は必死で応戦する。しかし出血が噴出して止まらない、

 それでも健は、その銃声の方向に向き直り、引きずり倒して顔面に肘打ちを数発浴びせた。 敵は失神して静かになった。だが健も血だらけなのだろうズボンが濡れている。

 健は必死で、盛田が恐怖におののき倒れている場所まで這って行く。

 何とか辿り着くやいなや、最後の力を振り絞っても盛田を殴りつける。


 「もっ盛田! 住職の無念を思い知れ!!」

 健は盛田をまたも数発殴りつけた。それも徐々に力がなくなり執念とも云える動きだった。

 盛田は恐ろしい程の健の形相と執念に、失禁するほどに震え上がった。

 「もりた! 誤れ! 住職に詫びろ! でないと殺す」

 「わっ悪かった。許してくれ。だから殺さないでくれ!」

 恐怖に怯えて哀願する盛田を見て健はホッとし顔を浮かべて。やがて意識が薄れていった。

 健は眠るようにその場に崩れ落ちた。その表情は満足そうだった。


殺し屋を雇ってまで小夜子の父が持っているお寺の

土地を買収しようとして、そして和尚夫妻を殺させた。

その黒幕の手下と対決する健、だが銃弾を数発浴びて

重傷を負う健。心配して駆けつける小夜子達。

次回、最終回。お楽しみに。


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