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【春陽】
キラが俺のチームが拠点を置いている街に来ると碧が知らせて来たと同時にライブのチケットも送って来た。
『その日、休みでしょ? 可愛い妹の勇姿ちゃんと見に来てよ』
『休みの日は休みたいんだよ』
何度かそんなラリーのメッセージをしたが最終的に俺が折れた形となり数週間後に開催されるライブへ行くこととなった。
ライブなんてキラと付き合っていた時にキラが招待してくれたのを何度か見たくらいだった。
今キラはどんなだろうか、ちゃんとご飯は食べているだろうか、別れた後もライブ映像は見ていたが華奢だった体がより一層小さくなったのは俺のせいだろうか。
そんなことを考えいるうちにライブが始まる。
観客の興奮した声が聞こえる。
試合とは違う熱だ。
キラの綺麗な歌声が会場中を包み込んだ。
あぁ、ここにいちゃ行けない、ここにいたらあの日放した手をもう一度繋ぎに行きたくなってしまうから。
俺は急いでその場から立ち去った。
後から碧には死ぬほど責められた。
『ハル、いい加減にしなよ』
『私の世界一かっこいい兄貴はこんな腑抜けじゃないはずだろ』
碧から来たメッセージに返信はしなかった。
腑抜けでもいい、腰抜けでもいい、俺はアイツが幸せならそれでいい、会いたいのに会えないのは辛かった、ライブの日やっと会えるはずだったその日、インタビューが長くなりライブ会場に行くことはできなかった、キラからの『大丈夫だよ』の文字がキラの大丈夫ではないことも知っていたから、俺がそばにいればキラを我慢させることが増える、だから手を離した。これ以上キラを大丈夫だと言わせたくなかった。
あの日迷子になった俺を助けてくれた、これが俺のできる唯一の恩返しだった。




