21/30
21
【キラ】
ハルはずっと謝っていた、謝って、謝って。
私がもういいよと何度も言ってもハルは謝り続けた。
「ね、ハル?」
「……」
ハルの目は真っ赤になっていた。
「最後抱きしめて?」
「……」
「……それでいいのかよ」
「それがいいの」
海外移籍のニュースを知った日すぐにハルに電話をした。
「なんで言ってくれなかったの?」
ハルは何も答えてくれない。
「何か言ってよ」
「悪い」
私を思って言わなかったのは知っていた。
でも、私がハルの人生に関わることができなかったのは辛かった。
いつか来るかもしれないと心のどこかでは覚悟していたのかもしれない。
目を真っ赤にしているハルに私ができるのはこれくらい、最後くらいは私がちゃんとしなくちゃ。
行かないでって言いたくてもそれを飲み込んだ。
でも、これくらいのわがままは言ってもいいよね。
ハルは壊れものを触るように優しく抱きしめてくれた。
ハルの体温、心臓の音、匂い、それを感じれるのも今日が最後。
「ハル、大好きだったよ、バイバイ」
「キラ、愛してた」




